薬物治療は、手術の適応がない場合などに行います。下記のような薬が、腫瘍が大きくなるのを抑えたり、症状を改善するために使われます。
腫瘍の性質(悪性度など)によって、使われる薬が違います。詳細は、担当医にご相談ください。
分子標的薬(腫瘍が大きくなるのを抑える)
分子標的薬は、がん細胞にある特定の標的を狙って攻撃することを期待して開発された薬です(図)。
現在は,膵臓のNETに対する分子標的薬として,mTOR阻害剤,キナーゼ阻害剤などが使用されています。また、mTOR阻害剤は、消化管または肺のNETに対しても使用できます。
主な副作用は、口内炎、食欲不振、下痢、吐き気、疲労などが報告されています。
抗がん剤による化学療法(腫瘍が大きくなるのを抑える)
血液の中に入って全身をめぐり、体内のがん細胞を殺して腫瘍が大きくなるのを抑えます。
正常な細胞にも影響を与えます(図)。
ソマトスタチンアナログ(腫瘍が大きくなるのを抑える、症状を改善する)
膵臓や消化管にできた腫瘍から過剰に分泌されているホルモンの分泌を抑えます。消化管ホルモン産生による、下痢や顔面紅潮(顔がほてって赤くなる)などの症状を和らげます。ガストリノーマやVIPオーマ、カルチノイド症候群などに使用されます。
また、膵・消化管NETに対して、腫瘍が大きくなるのを抑える効果が示されています。
主な副作用は、脂肪便(便は軟らかく量が多くなり色が薄くなる)や無症候性の胆石などが報告されています。
放射性核種標識ペプチド治療(PRRT)
放射性核種標識ペプチド治療(PRRT)は、NETに高発現するソマトスタチン受容体に結合し、放射線でがん細胞を直接攻撃して腫瘍の増殖を抑える治療薬です。
主な副作用は、悪心(吐き気)、腎機能障害、骨髄抑制などが報告されています。
対症療法薬(症状を改善する)
症状にあわせて、お薬が使用されることがあります。
例)ガストリノーマの消化性潰瘍に対するプロトンポンプ阻害薬(胃酸を抑える薬)
イメージ図:分子標的治療薬と抗がん剤のちがい
NETの性格によって、比較的おとなしいもの(NETG1/NETG2/NETG3)と活発なもの(NEC)に分けて、悪性度の程度を分類します。この悪性度の分類により治療方針が異なりますので、薬も担当医と相談して選択します。
※各治療薬の副作用に関しましては、担当医にご相談下さい