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60歳代 男性 S.Y.さん

症状のない膵・消化管NET患者さん。
術後の病理診断でNETと診断され、経過観察中。

症状のない膵・消化管NET患者さん

「健康診断がNET発見のきっかけ」

私の場合は、会社の健康診断の腹部エコー検査で「膵臓に影がある」と指摘され、膵臓に3cm大の悪性腫瘍が見つかりました。手術が必要だと診断されたため、セカンドオピニオンを受けました。手術の必要性が再度確認できたため手術を受けましたが、健康診断から激動の約4ヵ月でした。術後の病理診断の結果、NETと診断され、現在の病院で経過観察中です。転居したため近くの病院へと転院も考えましたが、主治医の先生を信頼していますし、最先端の治療を受けることができるため、毎月1回、片道1時間以上かけて車で通院しています。主治医はとても忙しい方ですが、気さくで、毎回分かりやすく説明していただき、本当に感謝しています。

「手術の前の検査も大変だった」

手術の前に約1ヵ月にわたって検査が必要でした。CTなどの各種画像診断を含めて、さまざまな検査を受けました。ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)で膵管の検査をしたり、EGD(上部消化管内視鏡)検査をしたり、あらゆる検査を受けました。初めて体験することばかりで、今思い起こしても大変だったなあと思います。病気を患ってしまったことを嘆いてもしょうがないので、腹をくくるしかないと覚悟を決めて、検査・手術に臨みました。

「術後は体重が10㎏以上減少」

膵臓と消化器の大手術であったため、術後は口から食事が摂れず、中心静脈からカテーテルで高カロリー輸液を受けました。サラリーマン生活で増えていた体重は一気に10㎏以上減少し、高校時代の体重になりました。入院が長期におよび、家族に心配をかけ、会社にも迷惑をかけてしまうという思いに苛まれ、精神的にもつらかったです。特に、妻には入院中毎日、病院に来てもらい、心配をかけました。頭が下がる思いでした。
手術後に退院してからも、胆管炎による高熱を繰り返したり、強い痛みを伴う膵炎を起こしたり、入退院を繰り返し、色々と大変でした。

「体力をつけるために、毎日運動」

退院後すぐは、200メートルを歩くのもつらいほど体力が落ちていました。体力をつけるために、時間を見つけて運動するように努めました。ウォーキングから始めてランニングを行い、ストレッチも効果的でした。
現在は、毎日、午前中は家の中でダンベルを使って筋力トレーニングをし、夕方は近隣の湖の周りをウォーキングしています。私が退職後の住処として選んだ土地は豊かな自然に恵まれています。とにかく、空気、水、食べ物がおいしく、温泉地も多くあります。季節の移り変わりを楽しみ、近くの学校のチャイムや子供たちの声をほほえましく聞きながら、歩くのを楽しんでいます。

「体力をつけるために、毎日運動」イメージ

「現在の治療」

現在は通院して採血検査の上、ソマトスタチンアナログの治療を受けています。

「糖尿病の影に潜む腫瘍」

私の腫瘍が発見されたのは健康診断のおかげである反面、“なんでこんなに大きくなるまで見つからなかったのだろう?”とも思います。“健康診断で問題ないという結果が出ていても、がんの心配が全くないわけではない”といえますので、注意が必要だと思います。
膵腫瘍は、早期発見が生死を分けます。不幸中の幸いで、私は手術を受けることができましたが、多くの方は手術ができずに亡くなってしまいます。膵臓は胃の裏側に位置するため、通常の腹部エコー検査だけでは、膵腫瘍の早期発見は難しいのが現状のようです。PET やMRI、CTなどを検診にも応用し、膵腫瘍を早期に発見できるように、検診の精度のさらなる向上が望まれます。
また、糖尿病の発症や急な悪化が膵腫瘍の診断のきっかけとなることも多いそうですので、糖尿病の方には膵腫瘍の検査をおすすめします。

"目標は、2回目の東京オリンピックを見ること"

夢は腫瘍がなくなって病気が治ることです。NETはまれな疾患ですが、治療薬も開発されており、今後の新薬に期待したいです。新薬による治療を受けて、80歳を迎えたいと思います。まず、最初の目標は、人生2度目となる東京オリンピックを見ることです。
人生は一度きりです。うまく病気とつきあい、苦しくても前向きに気持ちを切り替え、楽しい人生になるよう希望を持って生きたいです。

※内容はインタビュー時のものです