NETの治療は、症状の改善によるQOL(生活の質)の向上や生命予後の改善を目的に行います。
治療には、手術(切除術)、薬物療法、局所療法などがあります(表)。
手術の適応がある場合(安全に切除できる場合)には、手術を行います(図1、図2)。腫瘍をすべて切除できない場合でも、腫瘍の量を減らすために、腫瘍の一部を残して大部分を切除することがあります(減量手術)。
手術の適応がない場合は、薬物療法を中心とした治療を行います。薬物療法には、ホルモン療法、分子標的薬、抗がん剤などを用います。最近、放射線を用いた治療もできるようになりました。
治療方針は、腫瘍の状態や悪性度、転移の状況、患者さんの年齢、合併症の有無などによって選択されます。
表:NETの治療
治療方法 | 内容 |
---|---|
手術:完全切除 | 原発巣を完全切除した場合、治癒の可能性が最も高い治療法です。 |
手術:減量切除 | 完全に腫瘍が切除できなくても、転移巣を含めて可能な限り腫瘍を切除します。 |
薬物療法:分子標的薬 | 腫瘍にピンポイントに作用して、腫瘍が大きくなるのを抑えます。 |
薬物療法:ソマトスタチンアナログ | 腫瘍が大きくなるのを抑えたり小さくする効果が示されています。 また、腫瘍から過剰に作られるホルモンを抑えることにより、ホルモン由来の症状を和らげます。 |
薬物療法:抗がん剤 | 血液の中に入って全身をめぐり、体内のがん細胞を殺して腫瘍が大きくなるのを抑えます。 |
薬物療法:対症療法薬(内服薬) | 症状にあわせて、薬が使用されます。 例:ガストリノーマの潰瘍治療:胃酸を抑える薬。(プロトンポンプ阻害薬など) |
薬物療法:放射性核種標識ペプチド治療(PRRT) | 放射線でがん細胞を直接攻撃して、腫瘍が大きくなるのを抑えます。 |
局所療法:ラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓術(TAE)/肝動脈化学塞栓術(TACE) | 肝転移の個数や場所により治療を選択します。 できるだけ腫瘍を少なくします。 |
図1:膵・消化管の場合
- 膵・消化管NETの治療には、手術、薬物療法、放射線療法および局所療法があります。
- 手術の適応がない場合は、薬物療法を中心とした治療を行います。肝臓に転移がある場合には、肝臓の腫瘍に対する局所療法を行うこともあります。
- 痛みを和らげる目的で骨転移における放射線療法を行うことがあります。

- 症状がある場合は、症状を改善する薬物療法も併せて行います。
図2:肺の場合
- 肺NETの治療には、手術、薬物療法、局所療法があります。
- 腫瘍がすべて切除できなかった場合、薬物療法のほかに、局所療法として放射線療法を行うことがあります。
- 転移に対する局所療法には、骨転移や脳転移における放射線療法があります。また、脳への転移再発を予防する目的で、放射線療法(予防的全脳照射)を行うこともあります。
- カルチノイドの薬物療法では、分子標的治療薬などを使用します。神経内分泌癌の薬物療法では、抗がん剤を用いた治療が行われます。

- 治療後に予防的全脳照射を行うことがあります。
- 症状がある場合は、症状を改善する薬物療法も併せて行います。
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