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70歳代 男性 K.S.さん

ガストリノーマ患者さん。
薬剤師としての知識・経験を活かし、積極的に治療に参加し、約20年にわたり治療を続けられています。

ガストリノーマ患者さん

「NETの診断のきっかけは、難治性の下痢症状」

私の場合は、健康診断で「アミラーゼ値が高く、膵臓に影がある」と指摘されて、精密検査を受けました。当時は、NETに関する認知度は低く、膵臓の腫瘍は“のう胞性の変化”と診断され、“胃・十二指腸潰瘍や過敏性大腸炎”が疑われました。水溶性の下痢症状があり、プロトンポンプ阻害薬(胃酸の分泌を抑制する薬)を服用すると症状は改善しましたが、服用期間の制限があり服用を止めると症状が再燃しました。そうしているうち、下痢による脱水症状のため職場で倒れてしまいました。そのとき、胃酸分泌を促すホルモンである“ガストリン”が高い可能性にたどりつきました。測定の結果、血中のガストリン値はやはり高く、“ガストリノーマ”と診断され、55歳のときに手術を受けました。残念ながら、半年後には肝臓への転移があり、再手術を受け、その後は内科の処置で今日に至っています。

「どんな薬にも副作用はあるので、注意が必要」

自分の病気や薬についての情報はインターネットで得て、家族とも共有しています。薬については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)で公開されている添付文書※を見て、副作用の情報などを調べています。添付文書は専門用語で書かれていますので一般の方には難しいかと思いますが、薬の詳しい情報が分かります。分からない点があれば担当の医師や薬剤師さんに聞けばよいと思います。副作用はすべての患者さんに起こるわけではありませんが、副作用を念頭において治療を受けることは、自分の身体や命を守ることにつながると思いますので、調べてみることをおすすめします。
※医療用の医薬品に添付されている説明書で、公的な文書。

「外来治療中は、特に自分で体調に注意する」

私自身も外来治療中に心筋梗塞を経験しました。急に胸が苦しくなり、土曜日でしたがすぐに医局に連絡し当直の先生に相談しました。症状がすぐ治まったので様子をみて、定期診察日であった2日後の月曜日に“胸が苦しくなった症状”を主治医の先生に訴えました。緊急で検査となり、心筋梗塞が発見されました。幸いにも大事には至りませんでしたが、もし症状を先生に伝えてなかったら危険な状態でした。
がんの治療は「入院」から「外来」に変化していきます。入院中は先生や看護師さんに24時間見守ってもらえますが、外来治療のときは、自分自身で体調に十分注意して、何か気になる変化があるときは、適切かつ速やかに担当の先生に伝える必要があります。“何か様子がおかしい”と感じたら、例え休診日であっても、担当の先生に連絡してご指示をいただくべきだと思います。患者さん自身だけでなく、家族の方も患者さんの体調の変化に気を配るとよいでしょうね。 また、自分では薬の副作用とは感じられなくても、治療中に何か体調の変化を感じた場合は、担当の先生にご相談して判断していただくのがよいと思います。

「医師への疾患啓発と患者さんの治療参加がNET治療の進展につながる」

先生方へNETの疾患啓発がもっと広がるといいですね。教科書に載っているまれな疾患を頭の片隅におき、目の前の患者さんがNETである可能性を疑ってほしいです。また、がん診療における地域医療連携の重要性がますます高まっていると思います。
一方、患者さんは、“治療を受けるときは、自分にも責任がある”という自覚をしっかり持つことが大切だと感じています。先生にまかせっきりにしないで、家族も含めて患者さん自身が治療に主体的に参加したほうが、治療に対する満足度も高くなり、治療の向上にもつながると思います。自分の意向に沿った治療を選ぶためには、情報収集などの努力も必要でしょう。

「病気をポジティブに捉える」

私は長い間NETと闘病し大変な経験も多くしましたが、脳卒中などのように急に命を奪われる病気ではなくて、NETでよかったと思えるようになりました。幸いにも進行が遅いため、家族との大切な時間を過ごすことができています。 “がんの末期は痛みがひどいかも”と不安を持っている患者さんもいるかと思いますが、最近では、痛みをコントロールすることが可能になってきています。“やり残したことがないように、命があるうちにやってしまおう!”と前向きに考えてほしいですね。

「病気をポジティブに捉える」イメージ

"夢はエージシュート"

昨年から体力作りのために、病気になって止めていたゴルフを再開しました。週3回ほど、打ちっぱなしに行き、汗をかいています。いつかエージシュートができるといいですね。

※ゴルフの1ラウンド(18ホール)を自身の年齢以下の打数でホールアウトすること。

※内容はインタビュー時のものです