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前立腺がん疾患情報サイト

監修:
久米 春喜 教授
(東京大学医学部泌尿器科学教室)

前立腺がんの治療選択肢が増えた今、「自分にとって何が大切か」を考えながら方針を決めることが求められています。そのためには、医師との対話で理解を深め、ご家族とも気持ちを共有することが大切です。ここでは納得のいく治療選択に向けた「話し合い」のヒントをご紹介します。不安があっても大丈夫。自分らしい治療を見つけるために、少しずつ対話を始めていきましょう。

前立腺がんと向き合うために

自分らしい治療を見つけるための話し合い

前立腺がんと診断されると、「どの治療を選ぶか」「生活はどう変わるのか」といった不安を抱く方が多くいます。

近年、治療の選択肢が広がり、自分に合った方針を選べるようになった一方で、「自分にとって何が大切か」という価値観に基づいた判断がより重要になっています。

「長く生きたい」「副作用を抑えたい」「生活の質を保ちたい」など、優先事項は人それぞれ。

ここでは、自分らしい治療を選ぶための「話し合い」と「相談」のポイントをご紹介します。

治療方針を考える時に

大切にしたい視点

前立腺がんの治療法を決める際は、「どの治療が正しいか」だけでなく、「これからどう生きたいか」という視点も大切です。

また、再発や再燃がうたがわれたとき、治療による副作用や合併症が出たときなど、治療経過に応じて継続的に医師と話し合うことは、疑問や不安の解消につながります。

ご家族と話し合い、医師から医学的な説明を受けながら、自分にとって納得のいく選択を目指しましょう。

対話を重ねることで、「この治療を選んでよかった」と思える結果につながります。

主治医との対話を深めるために

こんなことを確認してみましょう

診察時に、「何を聞けばいいかわからない」「うまく気持ちを伝えられない」と感じる方も少なくありません。聞きたいことを事前にメモしておくと、限られた時間でも要点を押さえて話せます。

以下のような質問例を参考に、気になることから少しずつ確認してみてください。

検査結果について知りたい時:「PSA値やグリソンスコアなどの検査結果はどうでしたか?」、「CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィーなど、画像検査の検査結果はどうでしたか?、「その結果から、がんの進行状況や転移の有無はどのようにわかりますか?」
今の病状や、これからの見通しを知りたい時:「がんの進行度や悪性度はどのくらいですか?」、「今の治療が効かない、または終了した場合、次の治療の選択肢はありますか?」、「再発や再燃が疑われる場合、どのような手立てがありますか?」
治療法を選ぶ時に聞いておきたいこと:「私のからだの状態や希望(完治を目指す、負担を抑える、性機能を温存するなど)に合う治療法はどれですか?」、「それぞれの治療法のメリット・デメリットを教えてください」、「希望する治療はこの病院で受けられますか?無理なら他の病院を紹介してもらえますか?」
治療法の流れや、生活への影響が気になる時:「治療にはどのくらいの期間がかかりますか?」、「どのくらいの頻度で診察や検査が必要ですか?」、「治療中・治療後の、日常生活での注意点や制限はありますか?」、「家族の協力が必要になることのほか、あらかじめ伝えておくべきことはありますか?」
副作用や合併症について心配な時:「この治療には副作用がありますか?」、「どんな副作用が、どのくらいの頻度で起こりますか?」、「副作用への対策はありますか?」、「合併症が生じることはありますか?」
治療費について知りたい時:「この治療は保険が適用されますか?」、「自己負担額はどれくらいになりますか?」、「高額療養費制度などのサポートは使えますか?」
ご家族と一緒に治療を考えたい時:「診察に家族も同席できますか?」、「家族も一緒に治療方針を考えられますか?」、「家族が主治医の面談に参加するメリットは何ですか?」

ご家族や周囲の人と話しておきたいこと

支え合うために大切な対話

治療法を選ぶ前に、自分の気持ちや希望を整理し、ご家族や周囲の人と共有しておくと、より安心して治療に向き合えるようになります。

以下は、ご家族と相談しておきたい内容を目的ごとに整理したものです。気持ちが落ち着いている時に、少しずつ話し合ってみてください。

自分の気持ちや希望を整理する:まずは、どんな治療を望み、何を大切にしたいかを言葉にしてみましょう。それがご家族と話す第一歩になります。・今受けている治療に感じる自分の気持ち(つらい/続けたい/別の治療法に変えたい など)・今後、治療で一番大切にしたいことは何か長く生きること/生活の質を下げない/副作用の少なさ など)・治療のゴールをどこに設定をしたいか(根治する/がんと共に生きる/緩和ケアで痛みを軽くする)・治療がつらくなった時、どうしたいか(休みたい/続けたい)
ご家族の協力や支えについて話し合っておく:治療や療養の中では、ご家族の支えが必要になることもあります。どのようなサポートをしてほしいかを伝えておくと安心です。・副作用や痛みが強く、日常生活でご家族の協力が必要な場合、どの程度までの協力が可能か・治療や生活の決定を誰にサポートしてほしいか・ご家族に伝えておきたいこと、頼みたいこと
これからの過ごし方・人生の選択について考える:もしもの時や病状の変化に備えて、これからの過ごし方や死生観についても、少しずつ話し合っておくことが大切です。「まだ早いかな」と思う内容でも、共有することで安心感につながります。・病状が進行した場合の希望(入院/在宅/ホスピス など)・死生観について話すこと(抵抗感の有/無)

迷った時は、ひとりで抱え込まずに

不安や迷いを感じたら、信頼できる人に相談を

治療中は、誰しも不安や迷いが生じるものです。「この選択でよかったのだろうか」「他の選択肢はないか」と感じた時は、主治医やご家族、がん相談支援センターなど信頼できる相手に相談してみましょう。

不安を言葉にして伝えることは、前向きな一歩につながります。

自分の想いと向き合いながら、納得のいく治療選択を目指しましょう。

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