「転移があるかもしれない」と言われた時、不安を感じるのは自然なことです。しかし、現在は一人ひとりの状態に応じた治療を選べる時代です。大切なのは、今の状態を正しく理解し、主治医やご家族と相談しながら、これからの治療について前向きに考えていくことです。このページでは、前立腺がんの転移が発生した場合の治療方針についてご紹介します。
転移が発生した時の治療方針
転移の有無や性質により、治療の選択肢が異なります
前立腺がんが進行すると、骨やリンパ節、肺、肝臓など、からだの他の部位に広がる「転移」が生じることがあります。このような状態を「転移性前立腺がん」と呼びます。
転移が見つかっても、現在ではさまざまな治療法があり、ご本人の状態に応じた治療方針を立てることが可能です。まず大切なのは、転移の有無やその範囲、がんの性質、これまでに受けた治療内容を正確に把握することです。
その上で、前立腺がんが「ホルモン療法の効果が期待できる段階」にあるのか、あるいは「ホルモン療法に対して反応しづらくなってきた段階」にあるのかによって、選択される治療の内容が異なってきます。
転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)
ホルモン療法が効いている状態の前立腺がんで、骨やリンパ節などに転移している段階を指します。医学的には「mCSPC」や「mHSPC」と表記されることがあります。どちらも、ホルモン療法が有効とされる転移性前立腺がんを意味します。
転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)
転移性前立腺がんのうち、ホルモン療法に対する反応が次第に弱まり、病状の進行が確認された段階を指します。このような場合には、他の薬剤や治療法の検討が必要になります。
【図】ホルモン療法への反応性に応じた転移性前立腺がんの分類
※上図では、転移性前立腺がんをホルモン療法への反応性に基づいて「mCSPC」「mCRPC」に分類しています。
具体的な治療内容については、以下のページで詳しくご紹介しています。主治医とよく相談しながら、ご自身の状態に合った治療法を選んでいきましょう。