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前立腺がん疾患情報サイト

監修:
久米 春喜 教授
(東京大学医学部泌尿器科学教室)

ご家族が前立腺がんと診断されると、「どう接すればいいのか」「何をすればいいのか」と戸惑うのは自然なこと。しかし、そばにいるあなたの存在が、ご本人の安心につながることもあります。 前立腺がんは治療の選択肢が多く、ご本人だけで決めるのが難しいことも。そんな時、ご家族の理解やサポートが納得のいく治療選択を後押しします。ここでは、日常の声かけや接し方、対話のヒントを紹介し、ともに病気に向き合う方法を考えます。

ポイント1. 日常会話での問いかけ

特にご高齢の方は、医師の説明を一度で理解しづらく、「よくわからないから任せるよ」とご本人が自分で判断することを避ける場合があります。そんな時、ご家族がご本人の気持ちや困りごとを把握して代弁することで、より納得のいく治療方針が見つかりやすくなります。

ただ、いきなり「治療についてどう思う?」と聞くと、ご本人が戸惑ってしまうことも。日常会話の中で、さりげなく気持ちをたずねるような問いかけをしてみましょう。

まずは体調から。具体的な症状や気分を聞き、変化に気づくきっかけに「最近、体調はどうなの?」
以前話していたこと(例:痛みの場所、食欲など)を再確認し、変化に寄り添う「前に〇〇っていっていたけど、今はどうなの?」
診察への同席を提案し、ご本人の気持ちに寄り添いつつ情報の共有について話す「次の診療、一緒に話を聞いてもいいかしら?」
具体的な手助けを申し出、ご本人の負担を軽減したい気持ちを伝える「私にできることがあればいってね」
漠然とした不安も拾い上げる。話せる範囲で聞く姿勢を見せる「何か気になること、困っていることはないかしら?」

また、ご本人と向き合う時、どんな言葉をかければよいか迷うこともあると思います。ちょっとした言葉の選び方が、安心感につながることもあれば、心を遠ざけてしまうこともあります。気持ちに寄り添いやすくなる言葉と、避けたい表現の例をご紹介します。

寄り添う言葉 応援する言葉:「あなたがどんな選択をしても応援しますよ」、協力する言葉:「一緒に考えましょう」、尊重する言葉:「あなたの気持ちが一番大事」
避けたい言葉 尊厳を傷つける言葉:「もう年だから仕方がないですよ」、意思決定を奪う言葉:「全部こっちに任せていればいいから」、個人の意思を否定する言葉:「みんなそうしていますよ」

ポイント2. ご本人との接し方

ご本人と寄り添うには、以下のような接し方を心がけるとよいでしょう。

自然体で接する:過度に心配せず、これまで通りに接し安心できる時間を保ちましょう
本人の価値観やペースを尊重する:ご本人が大切にしていることや、ペースを尊重し、無理に急がせないように心がけましょう
病気や治療に関心をもち、正確な情報を得る:信頼できる情報源から知識を得て、ご本人と一緒に考える姿勢をもちましょう
共感的に話を聞く:意見をいう前にまずは耳を傾け、気持ちに寄り添うことを大切にしましょう。ご本人の言葉にしづらい想いにも気づけるかもしれません
冷静に対応する:意見が分かれた時や難しい話題にも感情的にならず、落ち着いて向き合うよう心がけましょう
必要に応じて専門家(医師・がん相談支援センター など)への相談を促す:困ったときは、無理に抱え込まず、専門家に頼ることも大切です。一緒に相談先を探すのもご家族にできる支え方のひとつです
ご家族も自身の生活を大切にする:前立腺がんの方を支えるご家族自身の心とからだも、同じように大切にしてください。無理をせず、ご自身の時間も大切にしましょう

ポイント3. 希望を引き出す対話

治療法を選ぶうえで、ご本人が「何を大切にしたいか」「どんなことを避けたいか」をあらかじめ共有しておくことは、治療を進めるうえで大切です。

たとえば、次のような観点でご本人の想いを聞いて整理しておくと、治療方針を選ぶ際の手がかりになります。

整理のポイント:治療の効果と身体への負荷のバランス、副作用の少なさ、性機能・排尿機能の温存、仕事・趣味など生活への影響、金銭的負担、遠方への通院、など

日々の対話が、治療選択を支える力に

納得できる治療のために、ご家族ができること

ご本人の想いや考えは、日々の対話の中で少しずつ見えてくるものです。気づいたことをノートなどに記録しておくと、主治医との面談でも要点を整理しやすく、限られた時間を有効に使えます。

ご本人が「自分の意思で選んだ」と納得できる治療のためには、こうした対話の積み重ねが大切です。ご家族が気持ちを理解し、必要に応じて主治医との“橋渡し役”となることが、大きな支えになります。

ときには寄り添うだけでいい

そばにいるあなたの支えが力になる

ご家族が前立腺がんと診断されることは、ご本人だけでなくご家族にも大きな衝撃をもたらします。不安や戸惑いを感じるのは自然なことです。

大切なのは、ご本人の気持ちを尊重し、これまで通りに接すること。無理に励まさず、そばで静かに話を聞く姿勢が安心感につながります。完璧でなくて大丈夫。無理のない範囲で、寄り添うことが何よりの支えになります。

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