ご家族が前立腺がんと診断されると、「どう接すればいいのか」「何をすればいいのか」と戸惑うのは自然なこと。しかし、そばにいるあなたの存在が、ご本人の安心につながることもあります。 前立腺がんは治療の選択肢が多く、ご本人だけで決めるのが難しいことも。そんな時、ご家族の理解やサポートが納得のいく治療選択を後押しします。ここでは、日常の声かけや接し方、対話のヒントを紹介し、ともに病気に向き合う方法を考えます。
ポイント1. 日常会話での問いかけ
特にご高齢の方は、医師の説明を一度で理解しづらく、「よくわからないから任せるよ」とご本人が自分で判断することを避ける場合があります。そんな時、ご家族がご本人の気持ちや困りごとを把握して代弁することで、より納得のいく治療方針が見つかりやすくなります。
ただ、いきなり「治療についてどう思う?」と聞くと、ご本人が戸惑ってしまうことも。日常会話の中で、さりげなく気持ちをたずねるような問いかけをしてみましょう。
また、ご本人と向き合う時、どんな言葉をかければよいか迷うこともあると思います。ちょっとした言葉の選び方が、安心感につながることもあれば、心を遠ざけてしまうこともあります。気持ちに寄り添いやすくなる言葉と、避けたい表現の例をご紹介します。
ポイント2. ご本人との接し方
ご本人と寄り添うには、以下のような接し方を心がけるとよいでしょう。
ポイント3. 希望を引き出す対話
治療法を選ぶうえで、ご本人が「何を大切にしたいか」「どんなことを避けたいか」をあらかじめ共有しておくことは、治療を進めるうえで大切です。
たとえば、次のような観点でご本人の想いを聞いて整理しておくと、治療方針を選ぶ際の手がかりになります。
日々の対話が、治療選択を支える力に
納得できる治療のために、ご家族ができること
ご本人の想いや考えは、日々の対話の中で少しずつ見えてくるものです。気づいたことをノートなどに記録しておくと、主治医との面談でも要点を整理しやすく、限られた時間を有効に使えます。
ご本人が「自分の意思で選んだ」と納得できる治療のためには、こうした対話の積み重ねが大切です。ご家族が気持ちを理解し、必要に応じて主治医との“橋渡し役”となることが、大きな支えになります。
ときには寄り添うだけでいい
そばにいるあなたの支えが力になる
ご家族が前立腺がんと診断されることは、ご本人だけでなくご家族にも大きな衝撃をもたらします。不安や戸惑いを感じるのは自然なことです。
大切なのは、ご本人の気持ちを尊重し、これまで通りに接すること。無理に励まさず、そばで静かに話を聞く姿勢が安心感につながります。完璧でなくて大丈夫。無理のない範囲で、寄り添うことが何よりの支えになります。