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ITP特発性血小板減少性紫斑病の情報サイト

監修:
埼玉医科大学病院
血液内科教授
宮川義隆

ITPってどんな病気?

ITPとは「特発性血小板減少性紫斑病(とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)」のことです。

ITP(idiopathic thrombocytopenic purpura)とは「特発性血小板減少性紫斑病」のことで、はっきりとした原因がわからず(特発性といいます) 、血小板の数が10万/μL(マイクロリットル)以下に減少する病気です。
なお、最近では免疫の異常が原因であることから、「免疫性血小板減少症」ということもあります。また、紫斑(しはん)病とありますが、紫斑(内出血で現れる斑点はんてん)がみられないこともあります。

なぜ病気が起こるの?

ITPの患者さんでは血小板の破壊が進み、さらに血小板の産生量も少なくなっています。

私たちのからだには、外から入る異物から自己を守るという機能(免疫といいます)が働いています。しかし、何らかの原因でこの免疫の働きに異常が生じると、免疫細胞が正常な組織まで「異物」とみなして攻撃するようになります。
ITPの患者さんでは、この免疫細胞が血小板を攻撃して壊すだけではなく、血小板をつくるトロンボポエチンという物質が不足し、血小板の産生量が低下していることがわかっています。また、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染することでITPを発症するという報告もあります。

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ITPの症状は?

血小板には出血を止める働きがあります。
このため血小板が減ると出血しやすくなります。

皮膚の下で小さな血管が破れて起こる紫斑(しはん=あざのこと)や赤いそばかすのような点状出血のほか、鼻血、月経過多などがみられることもあります。特に血小板数が極めて少ない場合には重篤な出血( 脳内出血、消化管出血など)につながる可能性があり、注意が必要です。また、出血に対する不安から日常生活が制限されることがあります。

紫斑・点状出血
鼻血
月経過多
脳内出血

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ITPには種類があるの?

ITPは病状の経過により、「急性型ITP」「慢性型ITP」に分けられます。

急性型ITPは、発症後6ヵ月以内に血小板数が正常化するタイプで、ウイルス感染などの後に突然発症することがあります。子供の患者さんの多くは急性型で、大半は6 ヵ月以内に自然に治ります。一方、成人に発症したITPの9割は、急性型から慢性型に移行しますので、長い間病気と付き合う必要があります。

急性型ITPと慢性型ITPの比較

急性型ITP 慢性型ITP
発症から 6ヵ月以内に治癒 発症から 6ヵ月以上病状が継続
5歳以下に好発 中高年齢者に好発
5歳以下は男児が有意に多い 20~40歳では男女比 1:4
  1. 宮川義隆:臨床血液. 2013;54:350-356.

  2. 藤村欣吾:日本内科学会雑誌. 2009;98:1619-1626.

  3. 藤村欣吾:臨床血液. 2014;55:83-92.

  4. 藤村欣吾:日本内科学会雑誌. 2009;98:1619-1626. より改変