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慢性骨髄性白血病(CML)の情報サイト

慢性骨髄性白血病(CML)治療の検査頻度や方法、分子標的薬にまつわる不安、奏効・効果などに関する疑問にお答えしたページです。

Q. 通っている病院では、分⼦遺伝学的大奏効(major molecular response;MMR)を検査できないようですが、どうしたら検査できますか?

Q. 分子遺伝学的検査で、検査値が上がっていました。今と同じ治療を続けても大丈夫なのでしょうか?

Q. 骨髄穿刺(マルク)の実施部位を変更することはできますか?

Q. 病院へ行くたびに血液検査をしています。毎回調べる必要はありますか?

Q. 検査はどのくらいの間隔で行うのでしょうか?

Q. CMLと診断され、分子標的治療薬での治療をはじめましたが、以前より体調が悪くなったようで不安です。薬を飲み続けなければいけないでしょうか?

Q. 分子標的治療薬を飲まない日をつくった場合、治療効果に影響はあるのでしょうか?

Q. 分子標的治療薬をずっと飲み続けて、効かなくなることはないのですか?

Q. 分子標的治療薬が効かない場合は、どうするのですか?

Q. 分子標的治療薬が効かない場合、原因としてどのようなことが考えられますか?

Q. 分子標的治療薬で治療を始めることになりましたが、どんな副作用がいつごろあらわれるのか、わかるのでしょうか?

Q. 分子標的治療薬の服用中に、他のお薬も服用しなければならなくなった時にはどうしたらいいですか?

Q. 分子標的治療薬の服用中に、摂らないように気をつけるべき食品はありますか?

Q. 医師に「分子標的治療薬の服用中は、定期的に体重を測ってください」と言われましたが、なぜですか?

Q. 化学療法薬によるCML治療とはどんなものですか?

Q. 造血幹細胞移植によるCML治療とはどんなものですか?

Q. 血液学的完全奏効(complete hematologic response; CHR)は、どのような状態をいうのですか?

Q. 細胞遺伝学的完全奏効(complete cytogenetic response; CCyR)は、どのような状態をいうのですか?

Q. 分⼦遺伝学的大奏効(major molecular response; MMR)は、どのような状態をいうのですか?

Q. 分子遺伝学的に深い奏効(Deep Molecular Response;DMR)は、どのような状態をいうのですか?

Q. 目標としてきた分⼦遺伝学的大奏効(major molecular response; MMR)を達成しました。主治医から、これからの治療についての話は特にされていませんが、治療をやめてもよいのでしょうか?

Q. 主治医から「どうですか?」「変わりないですか?」と尋ねられた時に、お話ししたいことがたくさんあるのに、つい言いそびれてしまうことがあります。医師とうまくお話しするための、何か良い方法はありますか?

Q. 治療を受けるには、入院が必要ですか?

Q. BCR-ABL蛋白の変形、変異とはどういうことでしょうか?

Q. 白血病細胞を早いうちに、悪性化する前にしっかり減らすメリットは何ですか?

Q. 主治医から、「分子標的治療薬は少なくとも何年かは飲み続けなければならない」と言われました。ただ、ほかにも持病を持っており、持病がCMLの治療に支障をきたさないか、また、CMLの治療を始めることで持病が悪化しないかどうか不安です。

Q. 薬を飲み忘れてしまうことがあります。飲み忘れを防ぐための工夫があれば教えて下さい。

Q. 貧血がひどく輸血を受けました。輸血にも副作用はあるのでしょうか?

Q. 通っている病院では、分⼦遺伝学的大奏効(major molecular response;MMR)を検査できないようですが、どうしたら検査できますか?

分子遺伝学的大奏効の検査(RT-PCR法など)が病院内で実施できない場合は、検査会社を利用して実施することができます。
もし病院で実施される様子がないようでしたら、遺伝子検査の結果を知りたい、と主治医にご相談されてみてはいかがでしょうか。
検査の実施頻度のめやすについては、こちらのQをご覧ください。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 分子遺伝学的検査で、検査値が上がっていました。今と同じ治療を続けても大丈夫なのでしょうか?

BCR-ABL遺伝子の値は、環境や測定機械など、さまざまな理由により増減することがあるので、前回より上がったとしても、かならずしも病気が悪化したとは判断できません。BCR-ABL遺伝子が今後増え続けていく可能性があるかどうかを主治医が判断し、治療方針が決められます。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 骨髄穿刺(マルク)の実施部位を変更することはできますか?

CMLの検査で骨髄液を採取する目的で行う骨髄穿刺(マルク)は、基本的には腸骨から採取します。何らかの医学的な理由により胸骨から採取することもあります。
どちらから採取するかは、医師や医療施設の方針により異なりますので、主治医にご相談ください。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 病院へ行くたびに血液検査をしています。毎回調べる必要はありますか?

CMLでは、治療効果が得られて安定していても、再び悪化してしまうことがあります。
定期的に血液や骨髄の検査を行い、CMLの進行に関連する白血球や染色体、遺伝子の変化を調べることは、移行期や急性期へ進行させないために必要なことです。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 検査はどのくらいの間隔で行うのでしょうか?

検査の実施頻度は主治医の判断によりますが、一般的なめやすは下記のとおりです[1][2]

  • 血液成分の検査:血液学的完全奏効(CHR)の達成までは15日毎、達成後は少なくとも3ヵ月毎、もしくは必要に応じて実施。
  • 骨髄による染色体の検査:診断から3、6、12ヵ月後、細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)達成後は12ヵ月毎に実施。
  • 血液による遺伝子の検査:分⼦遺伝学的大奏効(MMR)達成までは3ヵ月毎、その後は3~6ヵ月毎に実施。

※ 染色体検査はCCyRを達成した場合には血液を用いたFISHという検査で代替が可能とされています。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. CMLと診断され、分子標的治療薬での治療をはじめましたが、以前より体調が悪くなったようで不安です。薬を飲み続けなければいけないでしょうか?

CMLでは、診断された当初は自覚症状がない、という方はめずらしくありません。
そして、お薬での治療が始まると、副作用があらわれて、治療前より病気が悪くなってしまったように感じられることがあります。
しかし、治療を中止すると白血病細胞を減らせなくなりますから、副作用をコントロールしながらお薬を続ける方法を考えてみましょう。適切な対処により、軽くすることができる症状は多いですし、中には自然と消えていく症状もあります。不安や不満がふくらむ前に、まず主治医に相談して、副作用の対処法を知ることをお勧めします。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 分子標的治療薬を飲まない日をつくった場合、治療効果に影響はあるのでしょうか?

分子標的治療薬を飲まない日があると、治療効果が得られにくい、という報告がありますのでご紹介します。

分子標的治療薬を飲んだ回数が、本来飲むべき回数の90%を超えた(=服薬率が90%超)場合と、本来飲むべき回数の90%以下(=服薬率が90%以下)だった場合に分けて、6年間で分⼦遺伝学的大奏効(=MMR)を達成する割合を見た結果、服薬率が90%を超える場合は93.7%、90%以下の場合は13.9%でした。1)

図:6年間治療してMMRを達成した方の割合

監修:谷脇 雅史先生(一般社団法人 愛生会山科病院 内科)

Q. 分子標的治療薬をずっと飲み続けて、効かなくなることはないのですか?

CMLの分子標的治療薬による治療が行われるようになって10年以上経ちますが、「分子標的治療薬を長期間続けた方はCMLが悪化する」、という報告は現在のところありません。
ただ、一度得られた治療効果を失ったり、一定期間治療を続けたにもかかわらず十分な効果が得られなかったりしたために、治療方法の変更が検討されることはあります。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 分子標的治療薬が効かない場合は、どうするのですか?

決められた量の分子標的治療薬を服用しているのに効果が得られない場合は、別のお薬へ変更することを検討します。
病気の進み具合によっては、化学療法造血幹細胞移植を行う場合もあります。
分子標的治療薬が効かない理由として、主に考えられている原因については、こちらのQをご覧ください。

監修:檀原 幹生先生(鶴川サナトリウム病院 内科・老年内科)

Q. 分子標的治療薬が効かない場合、原因としてどのようなことが考えられますか?

分子標的治療薬が効かない理由として、主に考えられている原因を3つご紹介します。

① 血液中のお薬の濃度が足りない。
分子標的治療薬は、消化管で吸収されて血液中に入り、全身の白血病細胞へ行きわたり、効果を発現します。しかし、飲むお薬の量が少なかったり、飲み合わせが悪いお薬と一緒に飲んだりすると、血液中のお薬の濃度が十分に上がらない(足りない)ため効果が得られません。

② 白血病細胞の中のお薬の量が足りない。
分子標的治療薬が白血病細胞に入りにくい状態、もしくは白血病細胞から分子標的治療薬が出て行きやすい状態になっていると、白血病細胞の中のお薬の濃度が足りず効果が得られません。

細胞内濃度不足イメージ

③ お薬のBCR-ABL蛋白を抑える力が不十分。
分子標的治療薬は、CMLの発症や進行の原因であるBCR-ABL蛋白にくっついて、その働きを抑えることで効果を発現します。したがって、遺伝子レベルでの変容によりBCR-ABL蛋白が構造的変化を起こしお薬がくっつきにくくなっているなどの理由で、お薬のBCR-ABL蛋白を抑える力が不十分だと効果が得られません。

BCR-ABL蛋白が変形すると、お薬がくっつきにくくなる

監修:檀原 幹生先生(鶴川サナトリウム病院 内科・老年内科)

Q. 分子標的治療薬で治療を始めることになりましたが、どんな副作用がいつごろあらわれるのか、わかるのでしょうか?

分子標的治療薬も新しいお薬が使用可能となっていますが、あらわれる副作用は、それぞれのお薬ごとに異なります。ただ、臨床試験の結果や治療経験の蓄積などにより、お薬ごとにあらわれやすい副作用の症状や時期、どのような対処法が適切か、などがわかってきていますので、あらかじめ主治医や看護師、薬剤師に聞くなどして理解しておくとよいでしょう。

一般的に、分子標的治療薬を服用し始めてから皮膚症状(発疹、かゆみなど)や消化器症状(吐き気、下痢など)があらわれる時期は、数週間以内です。お薬の服用を中止することなく自然に消失することが多いですが、症状がひどい場合は対症薬を用いることもあります。血液検査値の異常は、服用し始めてから1ヵ月以内にあらわれることが多く、状態によってはお薬の服用量の調節が必要になることがあります[3]。また、服用開始後遅い時期にあらわれる場合もあるため、定期的に血液検査などを受けることが大切です。

監修:中世古 知昭先生(国際医療福祉大学成田病院 血液内科)

Q. 分子標的治療薬の服用中に、他のお薬も服用しなければならなくなった時にはどうしたらいいですか?

分子標的治療薬は、ある種のお薬と服用することで効果が必要以上に強く出たり、反対に弱まったりすることがあります。分子標的治療薬の種類によっては、胃のお薬や抗生物質など、ふだんの生活で何気なく服用するお薬との飲み合わせが良くない場合もありますので、お薬の処方を受けるときや市販のお薬を購入するときは、分子標的治療薬を服用していることを医師や薬剤師に伝えてください。飲み合わせをチェックし、適切なお薬を選んでくれます。

監修:目黒 邦昭先生(国立病院機構仙台医療センター 血液内科)

Q. 分子標的治療薬の服用中に、摂らないように気をつけるべき食品はありますか?

グレープフルーツジュース、及びセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品は、分子標的治療薬の効果に影響を及ぼすことがあるため、摂取を避ける必要があります。
セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)は、薬局などで市販されているハーブの一種で、うつ状態や不安に効果があるとされているものです。
このほかにも、食品や食事に関して分子標的治療薬ごとに異なる注意点がある場合がありますので、服用にあたっては主治医や薬剤師の指示に従ってください。

監修:目黒 邦昭先生(国立病院機構仙台医療センター 血液内科)

Q. 医師に「分子標的治療薬の服用中は、定期的に体重を測ってください」と言われましたが、なぜですか?

分子標的治療薬の副作用として、体液貯留があらわれる方がいらっしゃるためです。
体液が大量に貯留すると、呼吸困難やおなかの張り、疲れやすさなどの症状によって生活に支障をきたすようになりますから、体液貯留の早期発見のために、体重を定期的に測定してください。そして、もし体重が増えた場合は主治医に伝えてください。
体重の記録には、医療機関で配布される服薬手帳をお役立てください。

※ 体液貯留:胸水、腹水(胸、おなかなどに水分が溜まった状態)が出現したり、顔、手足などの、浮腫みが生ずること。

監修:目黒 邦昭先生(国立病院機構仙台医療センター 血液内科)

Q. 化学療法薬によるCML治療とはどんなものですか?

化学療法薬は、血液細胞のがん化により増加した白血球数を正常値まで減少させ、CMLのさまざまな症状を軽減させます。しかしながら、白血病細胞を十分に減らすことができず、病気が進行するのを防げないため、しばらくすると移行期、急性期へと進行し、正常化していた白血球数は増加してきます。
主な副作用は、発疹、吐き気・嘔吐、脱毛などです。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 造血幹細胞移植によるCML治療とはどんなものですか?

造血幹細胞移植とは、通常の何倍もの化学療法薬の投与や全身に対する放射線療法を行って、骨髄中の白血病細胞や造血幹細胞を完全に破壊した後、正常な造血幹細胞を移植して、骨髄の造血機能を回復させる方法です。つまり、がん化した血液細胞を健康な血液細胞と取り替える治療法です。
現在のところ、慢性骨髄性白血病を完全に治すことができる治療方法は、造血幹細胞移植のみです。ただし、この治療法を行うためには、HLA(白血球のタイプ)が一致する造血幹細胞の提供者(ドナー)が必要なこと、そして年齢制限などの条件を満たす必要があります。また、移植後早期には、感染症や急性GVHD(移植片対宿主病:移植した細胞が患者さん側の細胞を攻撃してしまうこと)が起こる危険性があります。また、移植後しばらくたってからも、慢性GVHDや再発が起こる可能性があります。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 血液学的完全奏効(complete hematologic response; CHR)は、どのような状態をいうのですか?

以下のすべての項目に該当する場合をいいます。

  • 白血球数が10,000/μL未満。
  • 血小板数が45.0×10⁴/μL未満。
  • 末梢血液中で芽球も前骨髄球もなし
  • 末梢血液中の骨髄球+後骨髄球が0%
  • 好塩基球が5%未満
  • 脾臓と肝臓の腫れがなく、髄外病変なし

【白血球、血小板の基準値について】
白血球の基準値は、成人3.3×10³~8.6×10³/μLとされています。また、血小板の基準値は、成人158×10³~348×10³/μLとされています。このように、CHRを達成しても、健康な方と比較すると白血球数と血小板の値はまだ少し高めの状態であり、引き続き治療を続けることが大切です。

参考資料:臨床検査法提要(改訂第35版), 金原出版

【白血球分画について】
白血球は、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球で構成されていますが、白血球分画の検査では、これらの白血球の種類や状態を調べます。

白血球分画について

【幼若顆粒球について】
白血球の中で好中球、好酸球、好塩基球は顆粒球ともよばれます。通常は顆粒球は成熟した状態で血液の中にありますが、CMLになると骨髄中から成熟していない顆粒球(幼若顆粒球)も血液中に押し出されてしまうため検査でみつかります。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 細胞遺伝学的完全奏効(complete cytogenetic response; CCyR)は、どのような状態をいうのですか?

骨髄中のフィラデルフィア染色体陽性細胞の割合が0%(20個中0個)の場合をいいます。

※ 染色体の検査は原則として骨髄血を用いて行われますが、末梢血を用いた好中球FISH という検査でもおおむね代替可能とされています。

【フィラデルフィア染色体陽性細胞の有無を検査する方法について】

① FISH法
白血病細胞のフィラデルフィア染色体上にあるBCR-ABL融合遺伝子に蛍光発色剤を結合させ、蛍光顕微鏡で直接みる方法で、迅速に検査を行うことができます。具体的には、末梢血好中球を100個以上観察し、フィラデルフィア染色体を持つ好中球の割合を評価します。

FISH法

② G-バンド法
骨髄細胞の染色体(ヒトでは22種類が各2本ずつと性染色体が2本の46本)を顕微鏡ですべて確認し、異常の有無を調べます。日数がかかる半面、フィラデルフィア染色体以外の染色体異常も検出できるというメリットがあります。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 分⼦遺伝学的大奏効(major molecular response; MMR)は、どのような状態をいうのですか?

分子遺伝学的検査(PCR法)でBCR-ABL遺伝子が0.1%以下の場合をいいます。

【分子遺伝学的大奏効の検査法について】
骨髄や血液中の細胞の遺伝子に蛍光色素で色をつけて増幅(増やすこと)すると、増幅するたびに蛍光を発します。この蛍光の強さから遺伝子の量を測定する方法がPCR法です。CMLの原因となるBCR-ABL遺伝子の量が、体内で機能している遺伝子(ハウスキーピング遺伝子)量の国際基準で1/1,000以下になった状態をMMRと呼んでいます。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 分子遺伝学的に深い奏効(Deep Molecular Response;DMR)は、どのような状態をいうのですか?

分子遺伝学的に白血病細胞が極めて少ない状態のことをいいます。

【分子遺伝学的に深い奏効の検査法について】
骨髄や血液中の細胞の遺伝子に蛍光色素で色をつけて増幅(増やすこと)すると、増幅するたびに蛍光を発します。この蛍光の強さから遺伝子の量を測定する方法がPCR法です。
PCR法で測定したBCR-ABL1遺伝子レベルのABLまたは対象遺伝子レベルに対する比を国際指標で補正したBCR-ABL1ISが0.01%以下になった状態(MR4.0)、0.0032%以下になった状態(MR4.5)、0.001%以下になった状態(MR5.0)があります。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 目標としてきた分⼦遺伝学的大奏効(major molecular response; MMR)を達成しました。主治医から、これからの治療についての話は特にされていませんが、治療をやめてもよいのでしょうか?

MMRを達成すると、身体の中の白血病細胞の数がかなり少なくなり、ずっと慢性期でいられる可能性がかなり高いといえます。
ただ、白血病細胞数がゼロになってはいないので、治療をやめることで残っている白血病細胞が再び増えてくる可能性がありますし、MMRを達成しても、ごくまれに急性期や移行期へ進行することが報告されています[4]。一方で、MMRより深い奏効状態である分子遺伝学的に深い奏効(DMR)を二年以上継続できた患者さんの一部(38%)は、治療を中止後60ヵ月以上奏効を維持したことが報告されています[5]
しかしながら、まだ日常診療のなかで安全に治療を終了できる基準が確立されていません。
将来、治療中止基準が確立されるまではお薬を続けていく必要があります。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 主治医から「どうですか?」「変わりないですか?」と尋ねられた時に、お話ししたいことがたくさんあるのに、つい言いそびれてしまうことがあります。医師とうまくお話しするための、何か良い方法はありますか?

病気の状態は検査結果からわかるのに、わざわざ主治医が「どうですか?」と尋ねるのは、検査ではわからない体調の変化やお薬の服用状況なども、治療において大切な情報としてとらえられている、ということを意味します。
話したいことを忘れてしまったり、うまく伝えられないことが多いようでしたら、体調の変化の記録や気になることをメモ帳などにまとめておいて、それを見ながら話してみてはいかがでしょうか? 事前にメモにまとめることで話したいことが整理できますし、大事なことの聞き忘れがないように優先順位をつけることもできます。
病気や治療に対する不安や心配を抱えているけれど、感情的なことは医師に話しにくい、という方もおられるかと思います。そのような場合は、看護師や薬剤師などの医療スタッフに話されるのがよいかと思います。患者さんの心のケアも、医療従事者の仕事の一つです。
CMLの治療は長期間続きますから、途中で息切れしないために、気になっていることはできるだけ解消し、納得することが大切です。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. 治療を受けるには、入院が必要ですか?

最近は患者さんにCMLの治療上問題となる持病や合併症がなければ、外来にてお薬の導入を行い、治療することが多くなりました。入院で治療するか外来で治療するかは、患者さんの体調や年齢、CMLの状態により異なりますので、主治医にご相談ください。

監修:高橋 直人先生(秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学講座)

Q. BCR-ABL蛋白の変形、変異とはどういうことでしょうか?

何らかの原因でBCR-ABL遺伝子に変化が起こることで、その遺伝子からつくられるBCR-ABL蛋白の形が変形することがあり、このことを点突然変異といいます。
一般的に、変形したBCR-ABL蛋白には分子標的治療薬はくっつきにくく、十分な効果が得られないことが多いといわれていますが、BCR-ABL蛋白の変形のかたちはさまざまで、その変形の種類によって、くっつきやすい分子標的治療薬の種類が異なります[6]
そのため、これまで使用していた分子標的治療薬でBCR-ABL蛋白の変形がみられ、十分な効果が得られない場合でも、別の種類の分子標的治療薬に変更することで、治療効果が期待できることもあります。

点突然変異

監修:小川 吉明先生(東海大学医学部内科学系 血液・腫瘍内科)

Q. 白血病細胞を早いうちに、悪性化する前にしっかり減らすメリットは何ですか?

CMLの治療は、BCR-ABL蛋白のはたらきを抑えることで白血病細胞を減らし、残存する白血病細胞の悪性化を防ぐことをめざします。
白血病細胞をゆっくり減らす治療を行った場合、白血病細胞が時間の経過とともにさらに悪性化し、増殖していき病気が移行期、急性期へと進行するリスクがあります[7]
また、より早い時期にBCR-ABL蛋白の働きを抑えることは、BCR-ABL蛋白の変形(点突然変異)を防ぐためにも重要であると考えられています[4]
したがって、早いうちに白血病細胞を減らす治療を適切に行い、より深いレベルの奏効に到達させることが重要です[7][8]
BCR-ABL蛋白のはたらきをしっかりと抑えて、より早期に白血病細胞を減らすためにも、主治医の先生や薬剤師さんの説明の通り、きちんとお薬を服用するようにしましょう。

監修:田中 英夫先生(地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立安佐市民病院 血液内科)

Q. 主治医から、「分子標的治療薬は少なくとも何年かは飲み続けなければならない」と言われました。ただ、ほかにも持病を持っており、持病がCMLの治療に支障をきたさないか、また、CMLの治療を始めることで持病が悪化しないかどうか不安です。

持病を持っている場合は、治療方針やお薬の選択に影響しますので必ず主治医に伝えましょう。
分子標的治療薬の服用によってあらわれやすい副作用は、お薬ごとに異なっており、持病がある方にはその副作用が持病に影響を及ぼさないよう、注意を払う必要があります。
例えば、血糖値を上げる傾向がある分子標的治療薬は、重度の糖尿病の患者さんへ処方するのを控えたり、肺に水がたまる副作用が出る可能性のある分子標的治療薬は、高齢の患者さんや血圧が高い患者さん、肺や気管支の病気を持つ患者さんへ処方するのを控えたりします。
CMLの治療は、長期にわたり継続することが重要ですから、継続にあたって不安がある場合は主治医へ伝えて下さい。

監修:中前 博久先生(大阪市立大学大学院 医学研究科 血液腫瘍制御学)

Q. 薬を飲み忘れてしまうことがあります。飲み忘れを防ぐための工夫があれば教えて下さい。

薬を飲み忘れる理由は人によって様々で、仕事や学校で日中外出している方は、忙しくてつい昼のお薬を飲み忘れてしまったり、外出していなくても、何かあって慌ただしい時に、薬を飲んだか飲んでいないかをふと忘れてしまったりすることもあるでしょう。
飲み忘れを防ぐために、例えばこのような方法があります。

  • 服用したら手帳やカレンダーに記録する
  • スマートフォンや携帯電話、パソコン、目覚まし時計などのアラームを服用時間にセットしておく
  • 「朝起きた時と仕事から帰る時に服用する」など、服用のタイミングを習慣化する
  • 手帳やカレンダー、薬のシートなどに服用時間を書いておく
  • 家族や周りの人に、服用時間の声かけをお願いする

また、スマートフォンをお使いの患者さんは、本サイト内でご紹介している「CML服薬手帳アプリ」をご利用いただけます。
https://gan-kisho.novartis.co.jp/cmlstation/treatment/app


この「CML服薬手帳アプリ iPhone版、Android版」は、服薬時間を知らせるアラーム機能やカレンダー機能があり、飲み忘れ防止に役立つほか、検査値や副作用の記録も簡単にできるようになっていますので、こちらを見ながら診察の際に主治医と相談するということも可能です。

CML服薬手帳アプリ

監修:中前 博久先生(大阪市立大学大学院 医学研究科 血液腫瘍制御学)

Q. 貧血がひどく輸血を受けました。輸血にも副作用はあるのでしょうか?

CMLの治療や病気の進行により重度の貧血が起こった場合に、赤血球の数と機能を補充する目的で赤血球を輸血することがあります。
このほか、血小板の数が少なくなり、出血傾向がみられる場合にも、血小板を輸血することがあります。
これらの輸血を行った後、頻度は高くありませんが、輸血の成分に対する免疫反応の副作用があらわれることがあります。その主な症状は発熱、寒気、皮膚の発赤・痒み、蕁麻疹などです。これらは輸血の開始後すぐに起こる症状です。
ごくまれに、輸血後数時間~数週間たってから息苦しさや体調変化を感じることがあります。その場合はすぐに主治医へご連絡下さい。

監修:永井 正先生(日本赤十字社 栃木県赤十字血液センター)

  1. Baccarani M. et al.: J Clin Oncol. 27: 6041, 2009

  2. Baccarani M. et al.: Blood 122:872, 2013

  3. Rosti G. et al.: Cancer Treat Rev. 38: 241, 2012

  4. Kantarjian HM. et al.: Lancet Oncol. 12:841, 2011

  5. Etienne G. et al.: J Clin Oncol. 35:298, 2017

  6. O‘Hare T. et al.: Blood 110:2242, 2007

  7. Hughes TP. et al.: Blood 123:1353, 2014

  8. Hochhaus A. et al.: Blood 121: 3703, 2013