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結節性硬化症の情報サイト

監修:
鳥取大学名誉教授
大野耕策 先生

結節性硬化症は、どうしておこるのですか?

結節性硬化症は、遺伝子の異常(遺伝子が変化してしまうこと)が原因でおこる病気です。
原因となる遺伝子は2つあり、どちらか片方、または両方の異常によって結節性硬化症を発病します。

原因は2つの遺伝子のうち、どちらか、あるいは両方の異常

結節性硬化症では、TSC1(ティーエスシーワン)遺伝子またはTSC2(ティーエスシーツー)遺伝子のどちらかに異常がおこることが原因の病気ということがわかっています。

遺伝子が少し変化してしまうと、正常なタンパク質がつくれなくなります

人間の体の70%は水ですが、残りの30%のうち、60%強をタンパク質が占めています。遺伝子は、体の中で人体の設計図のようなはたらきをしています。TSC1遺伝子にはハマルチンというタンパク質の設計図、TSC2遺伝子にはツベリンというタンパク質の設計図がそれぞれ書き込まれています。これらの遺伝子に異常がおこると、正常なハマルチンとツベリンがつくれなくなります。

細胞をふやすはたらきなどが、コントロールできなくなります

通常、ハマルチンとツベリンは、mTOR(エムトール)というタンパク質の、ブレーキ役としてはたらいています。mTOR(エムトール)は、細胞や血管をつくったり、脳の神経ができるときにはたらく重要な役割のタンパク質です。ところが、ハマルチンやツベリンがうまくはたらかなくなってしまうと、mTOR(エムトール)をきちんとコントロールできなくなり、mTOR(エムトール)は必要以上にはたらいてしまいます。その結果、細胞がふえすぎて大きな塊(腫瘍)ができやすくなったり、脳の神経にも影響して、てんかんがおこったり、さまざまな精神遅滞(言葉や読み書きの発達に遅れが出るなど)があらわれたりします。

遺伝子に変化がおこる前(通常な状態)

遺伝子に変化がおこる前

TSC1TSC2遺伝子は
ハマルチンとツベリンをつくる
設計図としてはたらきます

ハマルチンとツベリンが協働して
エムトールのブレーキ役として
はたらいています

必要なときには、ブレーキをかけず、
新しい血管や細胞ができます

遺伝子に変化がおこった後(結節性硬化症の状態)

遺伝子に変化がおこった後

TSC1TSC2遺伝子が変化してしまうと、ハマルチンとツベリンをつくる設計図も壊れてしまいます

正常なハマルチンやツベリンがつくれなくなってしまうと、エムトールがブレーキ役としてはたらけなくなり、エムトールが必要以上にはたらいてしまいます

この病気は遺伝するのですか?

結節性硬化症は遺伝する病気です。結節性硬化症の患者さんの遺伝子を調べると、TSC1遺伝子またはTSC2遺伝子に異常(遺伝子が変化してしまうこと)がおこっています。結節性硬化症患者さんの場合、2つある遺伝子セットのうち片方に異常がある状態で、その子どもはそのどちらか一方の遺伝子セットを受け継ぐことになります。異常のあるほうを受け継ぐ確率、異常のないほうを受け継ぐ確率は半々なので、およそ半分の確率で子どもに結節性硬化症が遺伝します。

患者さんの子どもは、結節性硬化症を発病しますか?

結節性硬化症の患者さんが結婚して子どもを産むときに、その子どもが結節性硬化症を発病するかどうかはわかりません。およそ半分の確率で子どもが結節性硬化症の原因の遺伝子を受け継ぎますが、その遺伝子を受け継いだからといって結節性硬化症に特徴的な症状が出るとはかぎりません。また、患者さんの子どもが結節性硬化症になった場合にも、重症になるか、軽症で済むかは親と同じというわけではなく、予測ができません。

親が結節性硬化症でなくても発病するのですか?

親が結節性硬化症でなくても発病する病気で、結節性硬化症患者さんのうち、親も結節性硬化症の方は全体の3分の1にすぎません。残りの3分の2の患者さんは、両親ともに結節性硬化症とみられる症状はみつかりません。この場合は、ぐうぜん患者さんのお父さんの精子またはお母さんの卵子の遺伝子に異常がおこってしまったと考えられます。