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乳がんの情報サイト

監修:
聖路加国際病院 乳腺外科部長・ブレストセンター長
山内 英子 先生

Q1. 母は高齢で体調もよくないため、通院に付き添いたいのですが、仕事でなかなか休みがとれません。家族のための社会保障制度は何かありますか。

Q2. 自営のために仕事が休めず、高齢の母の通院に付き添えません。何かよい方法はありますか。

Q3. 母が乳がんの手術後、体力が低下して独りで生活するのが難しくなったので、介護保険サービスを利用したいと思っています。手続きはどうすればよいですか。さらに毎月の費用はどのくらいかかるのでしょうか。

Q4. 遠くに住む母は、胸に少し痛みがあると「再発したのではないか」と心配になるようで、私や、私の兄弟のところに頻繁に電話がかかってきます。どのように接すればよいでしょうか。

Q5. 治療を受けながら母の生活がどのように変わっていくのか不安です。以前と同じような日常生活を送れるのでしょうか。

Q6. 治療後に運動をしてもよいですか。

Q7. 手術後の経過観察期間には、全身の検査は、どのくらいの頻度で受ければよいでしょうか。いつまで病院にかかる必要がありますか。

Q8. 妻は体調を取り戻してきたようですが、日常生活で気をつけることは何ですか。また、 性生活を再開させてもよいですか。

Q9. 西洋医学は副作用が怖いので、補完代替療法を受けさせてもよいでしょうか。

Q10. 再発をしないためには何を食べればよいですか。がんに効果のある健康食品やサプリメントにはどのようなものがありますか。

Q11. 漢方薬は、再発の予防に効きますか。

Q12. 家族が通院に付き添ったほうがよいでしょうか。

Q13. ワクチン療法のような免疫療法を受けたいのですが、どうすればよいのでしょうか。

Q14. テレビで紹介されていた治療法を受けさせたいと考えていますが、どうすればよいでしょうか。

Q15. 転院が続くと、乳がんの母を支える私でさえ医師や病院から見捨てられたように感じます。患者本人はさらに孤独感を増しているようです。どのように医師や医療機関とつながればよいでしょうか。

Q16. 治療が一段落したので新しく仕事を探そうと思っています。がん経験者向けの求人システム、または相談先はありますか?

Q1. 母は高齢で体調もよくないため、通院に付き添いたいのですが、仕事でなかなか休みがとれません。家族のための社会保障制度は何かありますか。

育児・介護休業法には、通院の付き添いなど介護が必要な日だけ休める「介護休暇制度」があります。勤務する会社ではどのような制度が利用できるのかを人事担当者に確認してみましょう。

育児・介護休業法では、働く人が介護と仕事を両立できるようにいろいろな制度が設けられています。そのうち、通院の付き添いなど介護が必要な日だけ休める制度に「介護休暇制度」があります。これは、要介護状態にある家族の介護をしている従業員は、対象となる家族が要介護状態に至るごとに1回、通算93日まで休暇を取得することができるというものです。

企業によっては対象となる家族の範囲を広げたり、取得できる日数を増やしたり、介護休暇制度を充実させているところもあるようですが、従業員100人以下の企業は2012年6月30日まで義務化が猶予されていますので、介護休暇制度がない場合もあります。この制度は、ある一定の条件を満たしている期間雇用者(同一の事業主に1年以上雇用されているなど)も利用できます。

このほか、企業には介護のために「時間外労働」や「深夜業」を制限する制度、また「短時間勤務制度」(介護のために所定の労働時間の短縮を図る)などを設けることが法律によって定められていますので、勤務する会社ではどのような制度が利用できるのかを人事担当者に確認してみましょう。また、家族の介護をしながら仕事を続けることを理解してもらえるように上司や同僚にも相談したいものです。

なお、育児・介護休業法による制度を利用した際に起こったトラブル(パートタイム従業員になるように強要された、給料を減額されたなど)についての相談は、各都道府県の労働局雇用均等室で受け付けています。

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育児・介護休業法による制度について知りたいのなら
厚生労働省・財団法人21世紀職業財団「両立支援のひろば/働く方々へ」

雇用均等室の所在について知りたいのなら
厚生労働省「労働局雇用均等室」

Q2. 自営のために仕事が休めず、高齢の母の通院に付き添えません。何かよい方法はありますか。

高齢者の場合は、病院への送迎サービスやホームヘルパーの付き添いなどの介護保険サービスを利用する方法があります。通院に関して困ったことがあれば、メディカル・ソーシャルワーカー(MSW)に相談しましょう。

65歳以上の高齢者の場合は介護保険サービスを利用できるため、まず介護保険の申請を行い、要介護認定を受けましょう。そのうえで、ケアマネジャー(介護支援専門員)に相談して病院への送迎サービスやホームヘルパーの付き添いなどのケアプランを組んでもらいます。介護保険の手続きには時間がかかりますが、介護保険の申請をしていれば暫定ケアプランにもとづいて介護保険サービスを開始することができます。

また、自宅から病院への送迎だけでよい場合は「福祉有償運送サービス」を利用する方法もあります。これは社会福祉協議会や訪問介護サービスを提供する訪問介護事業所などが行っているサービスで、通常のタクシーの半額程度の料金で利用できるため、経済的な負担も軽減できます。

がん患者さんの通院に関して困ったことがあれば、治療を受けている病院もしくはがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターのメディカル・ソーシャルワーカー(MSW)に相談しましょう。相談支援センターでは、地域の患者さんやご家族からの相談も受け付けています。

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介護保険制度の手続きやサービスについて知りたいのなら
東京都福祉保健局「介護保険パンフレット」

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q3. 母が乳がんの手術後、体力が低下して独りで生活するのが難しくなったので、介護保険サービスを利用したいと思っています。手続きはどうすればよいですか。さらに毎月の費用はどのくらいかかるのでしょうか。

介護保険を利用するには自治体への申請が必要です。要介護認定を受けたうえでサービスは開始され、利用者の自己負担金はサービス費用の1割になります。

介護保険サービスを利用するには、自治体への申請がまず必要です。自治体で配布される介護保険の申請書を記入したうえで、65歳以上の人は介護保険証を添えて市区町村の介護保険担当課もしくは地域包括支援センターに提出します。

その後、市区町村から派遣された認定調査員が家庭を訪問し、利用者の心身の状態や日常生活の状況に関する聞き取り調査を行います。同時に市区町村の担当課では主治医(病院の担当医または地域のかかりつけ医)に意見書の作成を依頼し、後日それらの資料をもとに要介護認定の審査が行われ、要介護度が判定されます。この期間は通常1か月ほどかかるといわれています。

要介護度は7段階(要支援1・2、要介護1~5)に区分され、段階に応じて必要な介護サービスの量が決められています。要介護認定の区分が決定すれば、ケアプラン(居宅支援サービス計画書)を作成することになりますが、要支援1・2と認定された人は地域包括支援センターで利用できるサービスなどの助言を受け、プランを組むことになります。

要介護1~5に認定された人は、地域の居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャー(介護支援専門員)の中から、利用者や家族が自由に選んだケアマネジャーと相談しながらケアプランを組んでいくことになります。

介護保険サービスの自己負担金はサービス費用の1割になりますが、それぞれの区分ごとに限度額(表)が設けられており、限度額を超えた分は全額自己負担になります。介護保険についてわからないことがあれば、治療を受けている病院もしくはがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターのメディカル・ソーシャルワーカー(MSW)に相談しましょう。相談支援センターでは、地域の患者さんやご家族からの相談も受け付けています。

■表 居宅サービスの利用限度額

要介護状態支給限度額(1月当たり)本人負担(原則1割)
要支援149,700円4,970円
要支援2104,000円10,400円
要介護1165,800円16,580円
要介護2194,800円19,480円
要介護3267,500円26,750円
要介護4306,000円30,600円
要介護5358,300円35,830円

※標準的な額のため、地域区分により異なる場合があります。

対象サービス:
訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・通所介護・通所リハビリテーション・短期入所生活介護・短期入所療養介護・福祉用具貸与・地域密着型サービス

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介護保険制度の手続きやサービスについて知りたいのなら
東京都福祉保健局「介護保険パンフレット」

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q4. 遠くに住む母は、胸に少し痛みがあると「再発したのではないか」と心配になるようで、私や、私の兄弟のところに頻繁に電話がかかってきます。どのように接すればよいでしょうか。

患者さんが抱える不安の中でも再発が占める割合は大きいものです。誰かに話すことで気持ちが少し楽になるはずですから、ご家族の心に余裕があるときには、耳を傾けて受け止めてあげましょう。

大半の患者さんは、がんと診断されたときから再発や転移のことを考えてしまい、不安や恐怖に苛まれるといわれています。それだけ患者さんが抱える不安の中でも再発が占める割合は大きく、体のどこかに痛みがあると再発したのではないかと不安になってしまうのも無理はありません。患者さんはその不安を話すことで気持ちが少し楽になるはずですから、ご家族の心に余裕があるときには、耳を傾けて受け止めてあげましょう。

ただ、担当医の診察を速やかに受けたほうがよい場合もあるので、①どのようなときに痛むのか、②いつ頃から痛むのか、③どんな痛みなのか(痛み止めを飲む必要があるくらいの強い痛みなのか、慢性的に痛むのか)、④どのくらい続いているのか、⑤以前にも同じような痛みはあったのか、⑥痛みの原因で考えられることはあるかなど、症状や状況について患者さんと一緒に整理しましょう。このような作業を通して客観的に判断することで、患者さんが冷静になれることもあります。大切なことは、その痛みが本当に再発からくる痛みなのかどうかを、客観的に見極め、それに沿った対処をすることです。

また、患者さんの中には闘病記を読んだり、がん患者の交流会で同じ病気と闘っている人の悩みを聞いたりしているうちに再発の恐怖に苦しんでいるのは自分だけではないことがわかり、気持ちが落ち着いたという人もいます。患者さんの精神的な状況に応じて、家族が闘病記を取り寄せてみたり、がん患者の交流会に参加することを勧めたりするのもよいかもしれません。がん診療連携拠点病院では、がん患者さんが交流できる場所として「がん患者サロン」を定期的に開催している施設が増えています。近くにあるがん診療連携拠点病院に問い合わせてみましょう。

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がん患者さんの心の状態やケアについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんと心
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:家族向けの心のケアの情報

がん診療連携拠点病院の所在について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がん診療連携拠点病院の情報

Q5. 治療を受けながら母の生活がどのように変わっていくのか不安です。以前と同じような日常生活を送れるのでしょうか。

乳がんは経過の長い病気です。治療を受けることによって起こる不安は、そのつど解消していきながら、がんの治療とつき合っていきましょう。日常生活にも不便なことが出てきますので、治療が始まる前に療養生活の準備や治療に伴う体への負担、生活に与える影響について担当医や看護師に尋ねるようにしましょう。

手術で乳がんを取り除いたあとも必要に応じてホルモン療法や化学療法、放射線療法が行われます。また、治療に伴う副作用対策が改善されてきたことから、入院せずに外来通院で治療が行われることも多くなってきました。日常生活にもいろいろ不便なことが出てきますので、これらの治療を始める前に、療養生活の準備や治療に伴う体への負担、生活に与える影響について担当医や看護師に尋ねるようにしましょう。見通しがつくことによって安心できますし、治療中の生活をできるだけ快適に過ごす方法を考えることができます。

また、患者さんの日常生活に支障を来たす場合は、公的な福祉サービスや介護サービスを積極的に活用し、サポート体制を整えましょう。困ったことがあれば何でも遠慮せずに看護師やメディカルソーシャルワーカーに相談することをおすすめします。がん診療連携拠点病院に併設されている相談支援センターでは、地域の患者さんや家族からの相談にも応じています。

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乳がんの治療について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

生活支援の情報について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う・生活の支援が必要なとき

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q6. 治療後に運動をしてもよいですか。

担当医に相談のうえ、適度な運動を。治療後の体力の回復や気分転換、リラックスに役立ちます。

体力を回復させたり、維持したりするために、適度な運動は大切です。とくに入退院の前後では運動量が落ち、体力も低下しやすいので、無理のない範囲で軽い運動を行い、少しずつ体力をつけたいものです。

担当医から運動の許可が下りたら、家の中で、その場での足踏み、深い呼吸の繰り返しなど簡単な動きから始めてみましょう。家事の量を少しずつ増やしていくだけでもよい運動になります。体力が回復してきたら、短時間の散歩などに出てみましょう。患者さんが外に出るのを怖がったり、億劫がったりしているようなら、最初はご家族が付き添われるとお互いに安心です。

また、筋肉を伸縮させるストレッチで体をほぐし、心身をリラックスさせることもよいでしょう。肩や腕を動かす運動、胸や背中の筋肉を伸ばす運動は、乳がんの手術後のリハビリテーションとしても最適です。ただし、方法はリハビリ医や看護師、理学療法士などに正しく教えてもらいましょう。

もちろん、体調が悪いときには無理に運動しないことが大事です。

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療養中の運動について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:患者必携 がんになったら手にとるガイド「体調を整えるには」

Q7. 手術後の経過観察期間には、全身の検査は、どのくらいの頻度で受ければよいでしょうか。いつまで病院にかかる必要がありますか。

担当医の指示に従い、定期的に診察や検査を受けます。乳がんでは約10年間は経過観察します。

治療を終えて間もない時期は、病状や治療の効果や副作用を確認するために1~2週間に一度、あるいは1か月に一度と頻回に診察を受けることになります。ただし、検査は最初の1年は3か月から半年に一度、その後は1年に1回くらいの頻度になり、だんだん間隔が開いていきます。診察や検査の頻度および内容は病状や治療方法、治療の結果によっても異なりますので、担当医の指示に従いましょう。

乳がんは10年以上経過しても、稀に再発するケースがあるため、長期にわたる経過観察が必要です。反対側の乳房にがんができることもあるため、反対側の乳房のマンモグラフィー検査なども行われます。

また、定期的な診察や検査の時期でなくても、気になる症状があれば速やかに受診しましょう。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん

Q8. 妻は体調を取り戻してきたようですが、日常生活で気をつけることは何ですか。また、 性生活を再開させてもよいですか。

規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な休養と睡眠に留意します。性生活は夫婦で率直に話し合い、患者さんの気持ちを大事にしながら、ゆっくり再開しましょう。

体調管理の基本は、①規則正しい生活、②バランスの取れた食事、③十分な休養と睡眠といわれています。体調が戻ったあとも健康を保つために、これらの点を留意しましょう。さらに手洗いやうがいなどの感染防止、ストレスの発散などに努めることも大切です。また、適度な運動は体力の維持や回復に役立つといわれています。最初は短時間の散歩で十分なので、患者さんを誘って一緒に出かけてみましょう。

性生活については、夫婦で率直に話し合い、患者さんに自分らしい生活を取り戻したいという心のゆとりがあるようなら、再開させてもよいでしょう。患者さんの気持ちを大事にゆっくり進めましょう。最初は以前のようにいかない可能性もありますが、性交に至らなくても手をつなぐ、優しく抱き合う、背中や手足をマッサージするなどのスキンシップを行うことによりお互いのぬくもりを感じられることもあります。一般的な性生活にこだわらず、二人の絆を確かめられる方法を夫婦で探してみましょう。

性生活について困ったことがあれば、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターの看護師に電話をかけるのも1つの解決法です。顔が見えず匿名性が高いので、対面では聞きにくいことを相談できるメリットがあります。

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体調管理のポイントについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:患者必携 がんになったら手にとるガイド「体調を整えるには」

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q9. 西洋医学は副作用が怖いので、補完代替療法を受けさせてもよいでしょうか。

補完代替療法は、がんの治療法として効果があると科学的に証明されたものはありません。信頼できる情報源から正しい情報を集めたうえで、担当医に必ず相談し、患者さんにとって本当に必要なものなのかどうかを慎重に考えましょう。

補完代替療法とは、手術や化学療法、放射線療法など、いわゆる西洋医学で行われる治療を補ったり、その代わりに行ったりする医療のことです。健康食品やサプリメント、鍼灸、マッサージ療法、運動療法、心理療法、心身療法など、さまざまな方法があります。

ただ、現段階では、がんの治療法として効果がある(生存率を上げる)と科学的に証明されたものはありません。がんそのものによる痛みや、西洋医学の治療による副作用を和らげるために使用することを推奨した研究やガイドラインもありません。

また、補完代替療法の中には、西洋医学と併用することによって治療の効果を弱めたり、体に思いもよらない害を与えたりするものもあります。補完代替療法を利用したいときは、信頼できる情報源(下記リンク参照)から正しい情報を集めたうえで、担当医に必ず相談し、患者さんにとって本当に必要なものなのかどうかを慎重に考えましょう。

なお、西洋医学にかぎらず、治療には副作用がつきものです。それは補完代替療法も例外ではありません。がん治療の主流である西洋医学の治療(化学療法、放射線療法)による副作用については、近年、さまざまな対策(支持療法)が講じられるようになり、以前よりも苦痛を軽減できるようになりました。治療による副作用が心配なときは、担当医、看護師に相談するようにしましょう。

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補完代替療法について詳しく知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんになったら手にとるガイド 補完代替療法を考える
「がん情報サービス」:代替療法(健康食品やサプリメント)
厚生労働省がん研究助成金「補完代替医療」(がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究班)

Q10. 再発をしないためには何を食べればよいですか。がんに効果のある健康食品やサプリメントにはどのようなものがありますか。

米国対がん協会の報告書では、再発予防には「野菜と果物」を十分に食べることが望ましいとされていますが、サプリメントを使って大量に取ることは慎重に行うようにアドバイスしています。

再発を防ぐための効果的な食品は、誰もが知りたい情報の1つです。こうしたニーズを反映し、がんの治療効果をうたった、さまざまな健康食品やサプリメントが売り出されています。しかし、実際には体験談のみで科学的に検証されていないものが多いのが現状です。「○○で治る」といった断定型の表現には注意しましょう。

国立がん研究センターがん対策情報センターのウェブサイト「がん情報サービス」では、食事療法などの生活習慣とがん患者の健康状態の関係性を調査した研究論文をまとめた米国対がん協会の報告書を紹介しています。報告書では乳がんについても取り上げており、乳がんの再発を予防するライフスタイルとして望ましいのは、治療中と治療後は「健康体重の維持」に努めて肥満を避け、同時に「野菜と果物」の摂取量を増やすこと、そして、治療後は「運動の増加」を心がけることとされています。ただし、野菜と果物の摂取量を増やす際に、サプリメントを使って大量に取ることは慎重に行うようにアドバイスしています。

健康食品やサプリメントを利用したい場合は、信頼できる情報源(下記リンク参照)から正しい情報を集めたうえで、担当医に必ず相談し、患者さんにとって本当に必要なものなのかどうかを検討するようにしましょう。

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がんと食事について詳しく知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う 食生活とがん がんと食事について

Q11. 漢方薬は、再発の予防に効きますか。

漢方薬は体の調子を整えたり、苦痛を和らげたりする働きがありますが、ほかの薬剤と併用すると思わぬ反応を引き起こすこともあります。利用する場合は必ず担当医に相談しましょう。

漢方薬は補完代替療法の一つに位置づけられるもので、体の調子を整えたり、がんそのものによる、あるいは西洋医学の治療によって起こる苦痛を和らげたりする働きがあります。近年、「漢方外来」を開設するがん専門病院が少しずつ増えていますが、そこで行われているのは再発予防というよりも漢方治療が得意とする体調の回復や、従来の治療法では治りにくい症状(食欲がない、体が重い、吐き気が取れない、よく眠れないなど)を改善することが主流のようです。

また、漢方薬もほかの薬剤との飲み合わせによって体に思わぬ反応を引き起こすことがあります。患者さんや家族の中には漢方薬を試してみたいと考える人も少なくないですが、治療中に漢方薬を利用する場合は必ず担当医に相談しましょう。

なお、漢方外来などの情報を入手したい場合は、がん診療連携拠点病院の中に設置されている相談支援センターに問い合わせてみるのも一つの方法です。

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補完代替療法について詳しく知りたいのなら
厚生労働省がん研究助成金「補完代替医療」(がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究班)

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q12. 家族が通院に付き添ったほうがよいでしょうか。

患者さんの心身の調子を見て、付き添うかどうかの判断を。患者さんの体調が思わしくなかったり不安が強かったりする場合は、無理のない範囲で調整し、付き添うほうが患者さんも安心でしょう。

退院後にホルモン療法や化学療法などの治療を継続していても、副作用がうまくコントロールされていれば、ふだんどおりの生活を送れることがほとんどです。通院も患者さんが自分ひとりでできるのであれば、必ずしも付き添わなくてもかまいません。

しかし、副作用の症状は患者さん本人にしかわからないので、患者さんがつらそうなときは我慢をさせず、担当医や看護師に遠慮なく伝えられるよう、手助けするために一緒に外来受診することも一つのサポートです。

ときには付き添い、担当医との診察の様子を見ることで、家族は想像していなかった患者さんの不安や悩みなどを知ることができるかもしれません。担当医の話を一緒に定期的に聞くことで、家族もこれからの見通しが理解しやすくなり、今後の治療を決めるのにも役立つかもしれません。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q13. ワクチン療法のような免疫療法を受けたいのですが、どうすればよいのでしょうか。

情報を集め、担当医や相談支援センターに聞いてみましょう。

一口に免疫療法といっても、さまざまなワクチンをはじめ、免疫細胞による治療にはいろいろな方法があります。世界的にみると、免疫療法は前立腺がんや悪性黒色腫で臨床的効果が認められているに過ぎず、乳がんに関してはまだ多くの臨床試験が行われている段階です。免疫療法を行っている病院は限られますし、対象となるがんも異なります。なかには安全性や有効性を確認するための臨床試験として実施しているところもありますが、この場合は臨床試験の対象に当てはまらないと受けられません。また、「先進医療」として行われている免疫療法は健康保険が一部使えないため、先進医療分の施術費が全額自己負担になります。

免疫療法に関する情報(有効性、実施病院、対象者、費用など)は、担当医や、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターに聞いてみましょう。なお、健康保険の適用になっている免疫療法は現在のところありません。

ここで大事なのは、免疫療法が標準治療ではないことを知ることです。この治療を行うことで標準治療に代わることはできませんので、免疫療法を希望する場合は、よく担当医と相談してください。

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免疫療法について知りたいなら
「がん情報サービス」:免疫療法

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q14. テレビで紹介されていた治療法を受けさせたいと考えていますが、どうすればよいでしょうか。

情報の信憑性を含め、担当医や看護師、相談支援センターに相談してみましょう。

テレビや新聞などのメディアで紹介される治療法の中には、科学的に証明されていないものもあります。担当医に相談することなく、自己判断で始めたり、勝手に治療を変えたりしないようにしましょう。受けたいと思う新しい治療があるときは、担当医にしっかり相談し、意見を求めることをおすすめします。

その治療法についてテレビ局などに問い合わせる場合は、①どんな効果と副作用があるのか、②いつから何人くらいのどんな患者さんに使ったのか、③科学的なデータはあるか、④標準治療とどこが違うのか、⑤コストはどのくらいか、⑥使用期間はどのくらいか、といったことを確認します。そこで得た情報を担当医や看護師、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターの相談員に伝えて、情報の信憑性も含め、相談してみましょう。

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がんの治療法について知りたいなら
「がん情報サービス」:がんの治療法

補完代替療法について知りたいなら
患者必携 がんになったら手にとるガイド
補完代替療法を考える P175

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q15. 転院が続くと、乳がんの母を支える私でさえ医師や病院から見捨てられたように感じます。患者本人はさらに孤独感を増しているようです。どのように医師や医療機関とつながればよいでしょうか。

治療をしてくれる医師とは別に継続的に心身のサポートしてくれる医師を持つことが望ましいでしょう。その候補者には「緩和ケア医」や「精神腫瘍医」がいます。

乳がんの病状に応じた治療法を選択する中で、いくつかの医療機関を転院しながら治療を受けなければならないことも少なくありません。このような状況に置かれると、医師や医療機関から見捨てられたような気持ちになることがあります。よりよい療養生活を送るためには、治療をしてくれる医師とは別に継続的に心身のサポートしてくれる医師を持つことが望ましいといえます。その候補者としては「緩和ケア医」や「精神腫瘍医」がいます。

緩和ケア医といえば、ターミナル期に痛みのケアをしてくれる医師と思いがちですが、現在はその範囲にとどまらず、がん患者に起こるあらゆる苦痛に対して診断直後から看護師や薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど他職種と連携しながら継続的にサポートしてくれます。がん診療連携拠点病院の多くには「緩和ケア外来」が設置されているので、受診してみるのもよいでしょう。

精神腫瘍医とは、がん患者や家族の心のケアを中心に、よりよい療養生活が送れるように支えてくれる専門家です。その数は全国的にも少ないのが現状ですが、「精神腫瘍外来」を設置する病院も少しずつ増えてきました。いずれの専門家もがん治療に精通していることから、状況に応じた適切なアドバイスを受けることも期待できます。

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緩和ケアについて詳しく知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんの療養と緩和ケア

精神腫瘍医の所在について知りたいのなら
日本サイコオンコロジー学会「活動紹介」:登録精神腫瘍医制度

がん診療連携拠点病院の所在について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がん診療連携拠点病院を探す

Q16. 治療が一段落したので新しく仕事を探そうと思っています。がん経験者向けの求人システム、または相談先はありますか?

治療が一段落したとのこと、よかったですね。
がん経験者が仕事を探していくうえで、利用できる公的な機関として、「ハローワーク」があります。
ハローワークでは、平成28年度から、「長期療養者等に対する就職支援事業」を全国で展開しています。これは、がんや肝炎・糖尿病など、治療が長期間にわたることで、働きながら治療をしていく方を支援するサービスです。具体的には次のとおりです。

がん診療連携拠点病院の最寄りのハローワークに、専任の「就職支援ナビゲータ-」が配置されています。そしてそのナビゲータ-が、がん患者さんのそれぞれの希望や治療状況を踏まえて、職業に関する相談や、職業紹介を行うというサービスです。
地域によっては、がん診療連携拠点病院に出張相談の窓口を開設している場合もありますので、お近くのがん診療拠点病院や、ハローワークに確認してください。なお、いずれも無料で利用できます。

最近は徐々に認知度もあがり、実際にこのサービスを利用して就職されている方も増えてきています。がんになったからと言って決して諦めないでくださいね。

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長期にわたる治療等が必要な疾病をもつ求職者に対する就職支援事業
事業実施安定所及び連携先拠点病院一覧 (平成28年度)
がん診療連携拠点病院などを探す(がん情報サービス)
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