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乳がんの情報サイト

監修:
聖路加国際病院 乳腺外科部長・ブレストセンター長
山内 英子 先生

Q1. 母が乳がん検診を受け、しこりが見つかりました。どこの病院に行けばよいですか。

しこりが良性なのか悪性なのかを判断するために、自宅近くの乳腺科のある病院や診療所(クリニック)で精密検査を受けましょう。

乳がん検診でしこりが見つかっても必ずしも乳がんとはかぎりません。しこりの原因は、乳がんのほかに乳腺の良性腫瘍、乳腺症、皮下脂肪のかたまりなどがあります。しかし、がんである可能性も否定できないため、お母様にはまず自宅近くの乳腺科のある病院や診療所(クリニック)で精密検査を受けてもらうようにしましょう。

精密検査では、最初に「問診」が行われ、乳房の状態や乳がんのなりやすさを判断するために月経の状況や出産・授乳の経験、家族でがんにかかった人の有無などの質問があります。そして、乳房やしこりの状態を観察したり触ったりする「視触診」、乳房をX線で撮影する「マンモグラフィ」、超音波を利用して乳房やしこりの状態を調べる「超音波検査(エコー検査)」が行われ、悪性が疑われるかどうかを判断します。

悪性の可能性がある場合、「細胞診」、「組織診」などで良性か悪性かを判断します。さらに、必要に応じて「CT(コンピューター断層撮影)」、「MRI(磁気共鳴画像装置)」などの検査が行われます。いずれにせよ、精密検査をきちんと受けることが大切だということをご家族も理解しましょう。

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乳腺専門医の所在を知りたいのなら
日本乳癌学会「乳腺専門医」

Q2.  診断の結果を待っている間、何もしてあげられないことがつらいです。家族ができることはありますか。

まだ確実な診断を受けていないこと、病期(ステージ)に応じた治療法があること、家族も治療を支えていくことなどを伝えて、なるべく気持ちを落ち着かせてあげましょう。

患者さんに何も言えなくても、側にいてあげるだけでもいいのです。まだ確実な診断を受けていない段階であること、また、診断されても乳がんは病期(ステージ)に応じた治療法があること、そして自分たち家族も治療を支えていくことを患者さんに伝えて、なるべく気持ちを落ち着かせてあげましょう。

長い闘病生活においては、治療だけでなく、さまざまな場面で選択しなければならないことが出てきます。そのときに患者さんが自分の治療を決められるよう、今からご家族ができるだけいろいろな情報を集めておきましょう。がん治療は「情報戦」ともいわれ、知っているのと知らないのとでは受ける治療も違ってきます。国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページ「がん情報サービス」には、乳がんの基本的な情報をはじめ、緩和ケアや心のケア、食事などの生活支援情報が掲載されています。

また、乳がんの治療を専門とするのは、乳腺の専門医です。診断を受ける病院や担当医が乳腺を専門としているかを確かめましょう。そして、専門医にかかっていないなら、現在の担当医に紹介を受けるか、日本乳癌学会のホームページで乳腺専門医を探し、最善の治療を受けられる態勢を整えたいものです。

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乳がん治療や診断について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法

乳がんの生活支援情報について知りたいのなら
「がん情報サービス」:食生活とがん
「がん情報サービス」:心のケア
「がん情報サービス」:生活の支援が必要なとき
「がん情報サービス」:緩和ケア

乳腺専門医の所在を知りたいのなら
日本乳癌学会「乳腺専門医」

こころやコミュニケーションのサポートについて(ノバルティスファーマ)
こころやコミュニケーションのサポート

Q3.  今の病院では診断結果が出るのに時間がかかりそうです。もっと早く診断をつけてくれる病院に移るためには、どのような方法がありますか。

別の病院に行っても検査のやり直しで時間がかかってしまうことがほとんどです。いつごろ診断がつくのか、見通しを担当医に尋ねましょう。

乳がんかもしれない、あるいは再発かもしれないというときに診断がつかない状態はご本人もご家族も気持ちが落ち着かないことでしょう。焦る気持ちはお察しします。けれども、たとえ別の病院に移っても、診察や検査をやり直すことになってしまい、時間と費用が無駄になってしまいかねません。また、診断が早そうな病院を探したり、紹介状を用意してもらったりするのにも手間と時間がかかります。

まずは現在の病院で、いつごろ診断がつくのか、見通しを担当医に尋ねましょう。合わせて、診断に時間がかかっている理由も聞いてみることをお勧めします。それでも待つことに納得できない場合は、別の病院でまずはセカンド・オピニオンでみてもらい、診断までの時間を含めて、聞いてみることを考えてもよいでしょう。

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セカンド・オピニオンについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P26

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:診断・治療方法
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q4.  母親が乳がんだと、私も乳がんになりやすいですか。

親族に乳がん患者さんがいる人は、いない人に比べて2倍以上、乳がんにかかりやすいことがわかっています。家族性乳がんは乳がん全体の20%前後、その中でも明らかな遺伝子がわかってきている遺伝性の乳がんは5~10%を占める程度です。心配な場合は、お母様の担当医に相談しましょう。

さまざまな研究から親族(親、子、姉妹)に乳がん患者さんがいる人は、いない人に比べて2倍以上、乳がんにかかりやすいことがわかっています。そして、そのリスクは乳がんを発症した親族の数が多いほど高まるといわれています。また、卵巣がんにかかった人が親族内にいる場合も乳がんのリスクが高まることが知られています。ただし、家族性乳がんは乳がん全体の20%前後、その中でも明らかな遺伝子がわかってきている遺伝性の乳がんは5~10%を占める程度で少数に過ぎません。乳がん家系だと思っていても医学的には遺伝の可能性がない場合もありますし、家族に乳がん患者がいなくても遺伝性が疑われる場合もあります。

日本乳癌学会の診療ガイドラインでは、①乳がんと診断された年齢が若い(50歳以下)、②1人の患者が同時または異なる時期に、2つ以上の原発性乳がんを発症した場合(両側の乳房に乳がんが認められた場合や、同じ側の乳房内に複数のタイプの乳がんがある場合を含む)、③1人の患者が乳がんと同時または異なる時期に、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんのいずれかを発症した場合、④父方母方のいずれかの家系の近縁者に2人以上、乳がん患者がいる場合、もしくは乳がん患者が1人しかいなくても卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんのいずれかの患者がいる場合、⑤乳がん患者が男性である場合の5項目のうち、1つでもあてはまるときは遺伝性乳がんの可能性を考慮し、詳細な評価を行うことが望ましいとされています。

専門的な検査(遺伝子検査)によって、お母様の乳がんが遺伝性の乳がんであることを確認することもできます。心配な場合はお母様の担当医に相談し、遺伝カウンセリングを紹介してもらうことも一つの方法です。近年、遺伝カウンセリングや家族性腫瘍の専門外来を設置する大学病院も増えています。いずれにしても家族に乳がん患者がいる人は、乳がんのリスクが決して低くないことを知り、定期的に検診を受けて早期発見や早期治療につなげていきましょう。

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家族性腫瘍について詳しく知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:遺伝性腫瘍・家族性腫瘍