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乳がんの情報サイト

監修:
聖路加国際病院 乳腺外科部長・ブレストセンター長
山内 英子 先生

がんになると、身体だけでなく心の問題にも向き合うことが、しばしばあります。
がんばりすぎず、ときには弱音を吐いたっていい。患者さんも家族も、それは同じなのです。

Q1. がんの告知を受けて本人も家族も驚きましたが、告知は当たり前のことなのでしょうか。

Q2. 手術までの間、どのように母(患者)に接すればよいでしょうか。

Q3. 診断の結果を待っている間、何もしてあげられないことがつらいです。家族ができることはありますか。

Q4. あっという間に手術日が決まり、手術以外の方法はなかったのかと悩んでいます。この病院で、このまま手術を受けてもよいでしょうか。

Q5. 乳がんになった母の「治療に対して希望すること」をどのように確かめればよいでしょうか。

Q6. 乳がんという診断を受けた後、母がよく眠れないようで気分も塞ぎ込んでいます。家族が言ってはいけない言葉はありますか。

Q7. 同居する義母が乳がんになりました。小学生と中学生の子ども(孫)にも、本当のことを伝えたほうがよいでしょうか。

Q8. 遠くに住む母は、胸に少し痛みがあると「再発したのではないか」と心配になるようで、私や、私の兄弟のところに頻繁に電話がかかってきます。どのように接すればよいでしょうか。

Q9. 本人が迷惑をかけたくないと、家族の助けを嫌います。どのようにサポートすればよいでしょうか。

Q10. 本人が残された時間をどこで、どのように過ごしたいのかを知りたいのですが、私たち家族に気兼ねしているのか、本音を言いません。どうすれば気持ちを確かめられますか。

Q11. 再発を告げられ、落ち込んでいる母に、どのような言葉をかければよいのでしょうか。

Q12. 母が亡くなった後、「あのときにこうすればよかった」「もっと、よい介護ができたはずなのに」と後悔することばかりで苦しいです。このような思いをもつのは仕方がないことでしょうか。

Q13. 担当医に「治療法がない」と言われました。この先、どうすればよいですか。

Q14. 積極的治療が受けられなくなり、うつ状態になっているようです。家族はどうすればよいでしょうか。

Q15. 転院が続くと、乳がんの母を支える私でさえ医師や病院から見捨てられたように感じます。患者本人はさらに孤独感を増しているようです。どのように医師や医療機関とつながればよいでしょうか。

Q1. がんの告知を受けて本人も家族も驚きましたが、告知は当たり前のことなのでしょうか。

患者さんが納得して治療を選択するためにはがんの告知が必要と考えられています。

突然「がんである」ことを告げられて、ご本人もご家族も驚かれたことでしょう。ただ、今は医師が本当の病名を伝えることはごく普通のことになっています。患者さんが自分で意思決定し、納得して治療を選択するために、たいていの場合ではがんの告知は必要と考えられています。また、患者さんと医療者、ご家族など周囲の人たちが一体となって治療を進めていくためにも、病状や今後の見込みの情報を共有しておくことが大切にされています。

医師は、がんの告知とともに、さまざまな情報を伝えているはずですが、患者さんやご家族は衝撃を受けて話が頭に入らないことも多いので、ご家族もわからないことがあれば遠慮なく再度尋ねるようにします。がんの告知を受けると、ほとんどの患者さんは死を意識されるようですが、この告知は「いつまで生きられるのか」という余命の告知とは別のものです。そのことをご家族も理解しましょう。

そしてご家族として大事なことは、ショックを受け、絶望感にさいなまれている患者さんの思いを受け止め、そのつらい気持ちを吐き出せるよう、患者さんの話にじっと耳を傾けることです。自分の状況を受け入れて、気持ちに折り合いが付けられるようになるまでには、個人差はあるものの誰でも時間が必要です。

もちろん、家族も同じようにショックを受けているので、自分の気持ちを抱え込まず、医療者や友人など誰かに話すことが必要です。がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターでは、家族からの相談も受け付けていますので、このような機関を活用するのも一つの方法です。病院によっては、がん患者さんやそのご家族の精神的なサポートをしてくれる精神腫瘍医がいます。

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告知の際のコミュニケーションについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:家族とのコミュニケーション

患者さんの心の動きについて知りたいなら
「がん情報サービス」:がんと心
「がん情報サービス」:ストレスへの心の反応

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

精神腫瘍医の所在について知りたいのなら
日本サイコオンコロジー学会「登録精神腫瘍医制度」

こころやコミュニケーションのサポートについて(ノバルティスファーマ)
こころやコミュニケーションのサポート

Q2. 手術までの間、どのように母(患者)に接すればよいでしょうか。

手術を待つ間は不安が募ります。患者さんの言葉に耳を傾けて、温かく見守りましょう。

手術を待つ間は、患者さんもご家族も不安が募ることでしょう。この期間は、患者さんにとっては、できるだけ心身の調子をよくしておくこと、入院とその後の療養に備えて、仕事や家事の大事な部分を引き継いでおくことが大切になります。また、趣味のような、手術後にしばらくできなくなることをするなど、何かに取り組むことが不安な気持ちを安らげ、手術に向かう心の準備にもなります。手術を待つ間、このような日常が過ごせるように患者さんを支えてあげることがご家族の役割になります。そして、患者さんがしてもいいこと、しないほうがいいことの情報を共有し、患者さんに必要以上の安静を強いる必要はありません。

この時期、患者さんは周囲の人たちに「普通に接してほしい」と思いつつも、自分にかまってくれないと「心配していない」と寂しく感じるなど複雑な思いを抱えています。家族も患者さんの気持ちの変化が大きいことに戸惑いますが、患者さんの言葉に耳を傾けて、温かく見守りましょう。

また、患者さんが乳がん治療の予習をしたり、医師の説明を聞いたりするのにつき合うのもいいでしょう。ご家族が図書館などで乳がんに関する本や闘病記などを探して読むのもいいかもしれません。こうしたことがご家族自身の患者さんの手術に対する心の準備や、闘病に伴う生活の変化への備えにつながります。

患者さんの精神的な不安や落ち込みが気になり、どのように対応してよいのかわからない場合、また、ご家族自身もつらさに耐えられない場合は担当医や看護師、精神的なサポートをしてくれる精神腫瘍科の医師やがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターなどに相談するのも一つの方法です。

なお、手術の前後に抗がん剤や放射線療法の予定がある場合は、これらの治療後に副作用として口内炎が起こったり、免疫力が低下して虫歯や歯周病が進行したりすることがあるため、事前に歯科でのチェックや治療を患者さんに勧めてあげてください。

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患者さんの心の動きについて知りたいなら
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Q3. 診断の結果を待っている間、何もしてあげられないことがつらいです。家族ができることはありますか。

まだ確実な診断を受けていないこと、病期(ステージ)に応じた治療法があること、家族も治療を支えていくことなどを伝えて、なるべく気持ちを落ち着かせてあげましょう。

患者さんに何も言えなくても、側にいてあげるだけでもいいのです。まだ確実な診断を受けていない段階であること、また、診断されても乳がんは病期(ステージ)に応じた治療法があること、そして自分たち家族も治療を支えていくことを患者さんに伝えて、なるべく気持ちを落ち着かせてあげましょう。

長い闘病生活においては、治療だけでなく、さまざまな場面で選択しなければならないことが出てきます。そのときに患者さんが自分の治療を決められるよう、今からご家族ができるだけいろいろな情報を集めておきましょう。がん治療は「情報戦」ともいわれ、知っているのと知らないのとでは受ける治療も違ってきます。国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページ「がん情報サービス」には、乳がんの基本的な情報をはじめ、緩和ケアや心のケア、食事などの生活支援情報が掲載されています。

また、乳がんの治療を専門とするのは、乳腺の専門医です。診断を受ける病院や担当医が乳腺を専門としているかを確かめましょう。そして、専門医にかかっていないなら、現在の担当医に紹介を受けるか、日本乳癌学会のホームページで乳腺専門医を探し、最善の治療を受けられる態勢を整えたいものです。

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乳がん治療や診断について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法

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「がん情報サービス」:食生活とがん
「がん情報サービス」:心のケア
「がん情報サービス」:生活の支援が必要なとき
「がん情報サービス」:緩和ケア

乳腺専門医の所在を知りたいのなら
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こころやコミュニケーションのサポート

Q4. あっという間に手術日が決まり、手術以外の方法はなかったのかと悩んでいます。この病院で、このまま手術を受けてもよいでしょうか。

疑問や不安は担当医に聞いて解消を。相談支援センターの看護師にも相談できます。

担当医から丁寧な説明を受け、十分に納得したうえで治療を決めたとしても、「他の方法のほうがよかったのではないか」と患者さんやご家族の気持ちは揺れるものです。治療に対する考えは日々変わるものですし、受け取る情報が増えることもあって、むしろ迷いが出てくるのは当たり前です。

ただ、疑問や不安を残したままで手術を受けると、手術の結果を受け入れられない場合もあり得ます。あとで後悔しないためにも、今、頭が痛くなるほど悩んでおくことが重要です。何でも遠慮せずに担当医に質問し、何度でも説明を受けましょう。がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターの看護師に相談するのも、治療に対する不安事項を整理できる一つの方法です。

一方で、どんな治療法でも完璧ではなく、副作用などのデメリットがあることも理解しておきたいものです。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

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「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q5. 乳がんになった母の「治療に対して希望すること」をどのように確かめればよいでしょうか。

患者さんが落ち着いているときに「治療を選ぶ際に何を大事にしたいと思っているのか」を聞き出してみましょう。第三者に聞いてもらうほうが患者さんが話しやすい場合もあります。

患者さんは、がんの告知を受けた直後では、それを受け止めるのに精一杯です。治療法の選択肢を提示されても、まだよく考えられないかもしれません。患者さんが治療に対する希望(どのような治療を受けたいのか)をイメージし、それをご家族に話すまでには時間がかかることが多いものです。

ご家族は、患者さんが落ち着いた様子のときに「治療を受ける際に何を大事にしたいと思っているのか」を聞き出してみましょう。例えば、大きな手術になっても、がんをできるだけ取り除くことを重視するのか、傷が残らないようにしたいのか、仕事に早く復帰したいのかなど、治療と身体、心、生活のことについて、具体的に答えやすい質問をしてみます。そして、患者さんが希望することに優先順位をつけるのを手伝います。紙に書き出してみるのもいいでしょう。このような作業を一緒に行うことで、患者さんの希望をきちんと確かめることができ、家族も治療法に関する情報を共有できます。これは治療を決めていくうえで大変重要なことです。

患者さんとご家族の関係やお互いの性格によっては、担当医や看護師、友人・親戚など第三者が入る、あるいは第三者に聞いてもらうほうが患者さんは話しやすい場合もあります。患者さんが希望を言いやすい「場面」や「タイミング」に配慮することも大切です。

また、患者さんの希望を聞くつもりが、ご家族自身の希望を押しつけたということがないように注意したいものです。

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「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q6. 乳がんという診断を受けた後、母がよく眠れないようで気分も塞ぎ込んでいます。家族が言ってはいけない言葉はありますか。

乳がんの診断後2週間を過ぎると、患者さんの心は少しずつ落ち着きを取り戻してきます。励ましの言葉を慎み、見守ることが大切です。いつまでも状態が改善しないときは心の専門家のサポートを受けることも考えましょう。

乳がんと診断された患者さんの心を最初に襲うのは強い衝撃だといわれています。診断時の経験を振り返り、患者さんの多くは「頭の中が真っ白になり、何も考えられなくなった」と語ります。そして時間が少し経つと、患者さんの心は乳がんの治療や今後の生活に対する強い不安を感じたり、「なぜ、私だけが乳がんになってしまったのか」と憂うつな気分に見舞われたりします。また、物事に集中できない、眠れない、食欲がない、息苦しいといった身体的な症状を伴うこともあります。

しかし、このような心や身体の反応は誰にでも見られることです。一般的には2週間ほどで患者さんの心は少しずつ落ち着きを取り戻すといわれ、それまでの間は「頑張れ」といった励ましの言葉は慎み、温かく見守るようにしたいものです。2週間以上経っても気分の落ち込みや眠れないといった症状が改善しないときは、心の専門家(精神腫瘍医、精神科医、心療内科医、臨床心理士など)のサポートを受けることを考えてもよいでしょう。

また、乳がんの発症から数年が経過しても、患者さんの心は前に進んだり後戻りしたりしながら、常に揺れ動いています。気持ちが安定しないことを理解したうえで、普段どおりに接することも大切です。

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Q7. 同居する義母が乳がんになりました。小学生と中学生の子ども(孫)にも、本当のことを伝えたほうがよいでしょうか。

患者さんの治療や療養が始まると、お子さんの生活にも影響が出てきます。同じ情報を共有していることが望ましいでしょう。

患者さんが病気になる前の家族の関係性や土地柄(がんに対する偏見が強い)などによっても状況は異なるため、未成年の子ども(孫)に真実を伝えることの判断は難しいものです。しかし、患者さんの治療や療養が始まると、そのサポートをする家族も一緒に闘病生活に入ります。また、小さな子どもでも家族の変化を敏感に感じ取ります。お子さんの生活にも影響が出てきますので、同じ情報を共有していることが望ましいといえます。

子どもに伝えるときは、余計な不安感や疎外感を与えないように家族みんながそろっている場所で話すのがよいとされています。その際は、乳がんがどのような病気で、患者さんがどのような状態に置かれていて、これからどのような治療を受けるのかを客観的に説明することが大事です。また、子どもの性格や年齢に応じての配慮も必要です。たとえば①悲しいことにダメージを強く受ける性格であれば家族の誰かが心のケアをする、②難しい言葉を使わない、③すべての情報を一度に説明するのではなく何度かに分けて話す、④明るい見通しやプラスの情報も入れるといった工夫をします。

そして、患者さんが治療を始めることで家族の生活にどのような影響が出てくるのかを話したうえで、お子さんにできる範囲で具体的な協力を求めてみましょう。子どもは自分なりに家族の一員として患者さん(おばあちゃん)のために、そのサポートをする家族(お父さんやお母さん)のために何かしたいと思っているはずです。

患者さんが治療を受けている病院に精神腫瘍医や臨床心理士がいる場合は、子どもにダメージが少ない伝え方について相談するのも一つの方法です。

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がんになった家族を持つ子どもへのサポート情報を知りたいのなら
厚生労働省支援事業~Hope Tree(ホープツリー)パパやママががんになったら~

家族ががんになったときのサポート情報を知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:家族ががんになったとき

家族のがんについて、子どもにやさしく教えるためのパンフレットがあります
ノバルティスファーマ株式会社~がん領域への取り組み~資料ご紹介・ダウンロードコーナー

こころやコミュニケーションのサポートについて(ノバルティスファーマ)
こころやコミュニケーションのサポート

Q8. 遠くに住む母は、胸に少し痛みがあると「再発したのではないか」と心配になるようで、私や、私の兄弟のところに頻繁に電話がかかってきます。どのように接すればよいでしょうか。

患者さんが抱える不安の中でも再発が占める割合は大きいものです。誰かに話すことで気持ちが少し楽になるはずですから、ご家族の心に余裕があるときには、耳を傾けて受け止めてあげましょう。

大半の患者さんは、がんと診断されたときから再発や転移のことを考えてしまい、不安や恐怖に苛まれるといわれています。それだけ患者さんが抱える不安の中でも再発が占める割合は大きく、体のどこかに痛みがあると再発したのではないかと不安になってしまうのも無理はありません。患者さんはその不安を話すことで気持ちが少し楽になるはずですから、ご家族の心に余裕があるときには、耳を傾けて受け止めてあげましょう。

ただ、担当医の診察を速やかに受けたほうがよい場合もあるので、①どのようなときに痛むのか、②いつ頃から痛むのか、③どんな痛みなのか(痛み止めを飲む必要があるくらいの強い痛みなのか、慢性的に痛むのか)、④どのくらい続いているのか、⑤以前にも同じような痛みはあったのか、⑥痛みの原因で考えられることはあるかなど、症状や状況について患者さんと一緒に整理しましょう。このような作業を通して客観的に判断することで、患者さんが冷静になれることもあります。大切なことは、その痛みが本当に再発からくる痛みなのかどうかを、客観的に見極め、それに沿った対処をすることです。

また、患者さんの中には闘病記を読んだり、がん患者の交流会で同じ病気と闘っている人の悩みを聞いたりしているうちに再発の恐怖に苦しんでいるのは自分だけではないことがわかり、気持ちが落ち着いたという人もいます。患者さんの精神的な状況に応じて、家族が闘病記を取り寄せてみたり、がん患者の交流会に参加することを勧めたりするのもよいかもしれません。がん診療連携拠点病院では、がん患者さんが交流できる場所として「がん患者サロン」を定期的に開催している施設が増えています。近くにあるがん診療連携拠点病院に問い合わせてみましょう。

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がん患者さんの心の状態やケアについて知りたいのなら
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がんの闘病記について検索したいのなら
NPO法人連想出版「闘病記ライブラリー」

がん診療連携拠点病院の所在について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がん診療連携拠点病院の情報

Q9. 本人が迷惑をかけたくないと、家族の助けを嫌います。どのようにサポートすればよいでしょうか。

患者さんの負担感を和らげるために、家族が手助けしたいと思っていることを伝えたうえで、患者さんが家族に頼みたいと思っていることを具体的に挙げてもらい、お互いに無理がないように調整しましょう。

家族のサポートをどのくらい受けたいかは、病状やその日の体調、患者さんの性格や家族との関係によってさまざまでしょう。また、自分のために家族が人生のすべてを犠牲にしているのではないかと悩まれる患者さんは少なくありません。病気になる前と変わらず、自分でできることは自分でしたいと考える患者さんもいますし、自分の生活や病状を家族に細かく知られるのがわずらわしいと考える患者さんもいます。あるいは、これから先にもっと助けてもらう時期が来るから、今は自分でできることをするべきだと思っているのかもしれません。

このような患者さんの家族に対する負担感を和らげるには、まずは「患者さんのために、どのようなことをしたい」と考えているのかをきちんと伝えてみましょう。そして、患者さん自身の希望もじっくりと聞きます。患者さんが家族に頼みたいと思っていることをできるだけ具体的に細かく挙げてもらい、箇条書きにして整理するといいでしょう。そのうえで労力や時間、かかるお金などの面も考慮し、お互いに無理がないように調整します。患者さんや家族の生活や体調が変わったときには、新たに話し合ってみましょう。

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がん患者さんの心の状態やケアについて知りたいのなら
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Q10. 本人が残された時間をどこで、どのように過ごしたいのかを知りたいのですが、私たち家族に気兼ねしているのか、本音を言いません。どうすれば気持ちを確かめられますか。

患者さん自身は「家族に負担をかけたくない」という遠慮があり、家族に自分の希望を率直に伝えにくいことがあるのかもしれません。患者さんの気持ちを聞き出す方法の一つとして第3者の力を借りてみましょう。

多くの患者さんは「家族に負担をかけたくない」という遠慮があり、自分の希望を率直に伝えにくいようです。また、残された時間をどこで、どのように過ごしたいのかと聞かれても、すぐに答えが出てこないこともあります。

患者さんの気持ちを聞き出す方法の一つとして、第3者の力を借りてみましょう。患者さんも信頼できる他人になら本音を話せるかもしれません。患者さんの兄弟姉妹、親戚、友人や知人など、普段から打ち解けて何でも話をしている人に相談してみます。もし、心当たりがなければ、患者さんが信頼している医療者に働きかけてもらうのもよいでしょう。患者さんや家族の心のサポートにあたる精神科医や心理療法士に相談すると、患者さんの気持ちを聞き出すためのよいアドバイスをもらえることもあります。

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Q11. 再発を告げられ、落ち込んでいる母に、どのような言葉をかければよいのでしょうか。

患者さんにかける言葉を探すよりも、いつも傍にいることを伝え、患者さんに寄り添いましょう。

再発とは、手術で取りきれていなかった目に見えないがんが再び現れたり、薬物療法(抗がん剤治療)や放射線療法で小さくなったりあるいは大きさが変化しなかったがんが再び増大したりすることをいいます。

一般的に、再発を告げられた患者さんの心に起こる衝撃は、最初のがん告知のときよりも深刻だといわれています。自分のがんに対する情報をある程度持っているだけに心により大きなダメージを受けるからです。また、これまでの治療でめざしてきた「治癒」という目標を変更せざるを得ず、気持ちを立て直すまでにとても時間がかかります。

再発の告知を受けた後の反応は、人によってさまざまです。そのため、周りの人は患者さんの反応をよく観察し、それに合わせた対応を心がけることが大切です。深く落ち込み、動揺が強い場合は、周りの人が話しかける言葉も耳に入ってこないことが多いものです。そんなときは患者さんにかける言葉を探すよりも、いつも傍にいることを伝え、患者さんに寄り添いましょう。そして、患者さんが自分から話せるような気持ちになったら、時間をかけて今後のことを話し合いましょう。

患者さんへの対応に困ったときは、精神腫瘍医や臨床心理士のアドバイスを受けるのも一つの方法です。担当医や看護師に相談してみてください。

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再発についてのサポート情報を知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:もしも、がんが再発したら[患者必携]本人と家族に伝えたいこと(PDF版)

こころやコミュニケーションのサポートについて(ノバルティスファーマ)
こころやコミュニケーションのサポート

Q12. 母が亡くなった後、「あのときにこうすればよかった」「もっと、よい介護ができたはずなのに」と後悔することばかりで苦しいです。このような思いをもつのは仕方がないことでしょうか。

患者さんが亡くなった後に後悔する気持ちが残るのは、どんなに一生懸命に行なっても、どの家族にもみられることです。遺族へのグリーフケア(悲嘆ケア)を行う医療機関もありますので、専門家の助けも借りながら、つらい気持ちを抱え込まないようにしましょう。

患者さんが亡くなった後に後悔する気持ちが残るのは多かれ少なかれ、どの家族にもみられます。立ち直りには通常1年ほど時間がかかりますが、個人差があり、なかには数年かかる人もいます。感情を無理に押し込めたり、自責の念にとらわれすぎたりしないことが大切です。

遺族が体験する身体的あるいは精神的打撃に対しては「後治療」と呼ばれる医学的な援助が必要になることがあります。近年は遺族も「第2の患者」と認識されるようになり、遺族に対するグリーフケア(悲嘆ケア)を行ったり、「遺族外来」を設置して精神腫瘍医が治療にあたったりする医療機関も出てきました。つらいときは一人で抱え込まず、専門家の助けも借りましょう。遺族ケアを行っている医療機関の所在を知りたいときは、お住まいの近くのがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターに問い合わせてみてください。

また、語り合える家族や友人がいれば、つらい気持ちを話してみるのもよいです。全国にはグリーフケアの活動を行っている自助グループがいろいろありますので、そういった団体のミーティングに参加してみるのもよいかもしれません。

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遺族ケアについて知りたいなら
埼玉県ホームページ:大切な人を失うということ(遺族ケア)
埼玉医科大学国際医療センター:精神腫瘍科/遺族外来
九州がんセンター:遺族ケア/緩和ケアチームのご案内

悲嘆ケアについて知りたいなら
悲嘆回復ワークショップ:ケアを受けたい方へ

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q13. 担当医に「治療法がない」と言われました。この先、どうすればよいですか。

がんと共存しながらよりよく生きるために、これからの治療方針について担当医としっかり話し合い、納得できないときはセカンド・オピニオンを受けたほうがよいでしょう。

担当医が「治療法がない」と言う場合、様々な状況があると思います。担当医の説明の仕方によって患者さんは見捨てられたような感じを強く受け、途方に暮れることがよくあります。しかし、「治療法がない=見捨てられる」ことではありません。がんと共存しながらよりよく生きることを考えましょう。

そのためには、つらい症状をコントロールし、体や心が楽になるための緩和ケアや支持療法(がんそのものに伴う症状や治療による副作用に対して予防や軽減させる治療)を主体にすることが大切になってきます。まずは、本人や家族の治療に対する希望を伝えたうえで、これからの治療方針について担当医としっかり話し合い、納得がいかないときは、セカンド・オピニオンを受けたほうがよいでしょう。

また、「治療法がない」と言われると、経済的な心配をされる患者さんやご家族も少なくありません。患者さんが契約している生命保険の内容によっては、生きている間に死亡保険金の一部か全額が受け取れる場合があります。詳細については契約している生命保険会社にお問い合わせください。さらに、介護が必要になったときは介護保険も利用しましょう。がんは特定疾患に指定されているので、40~64歳の人でも介護保険サービスを使うことができます。

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緩和ケアについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う・緩和ケア

支持療法について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う・さまざまな症状への対応

セカンド・オピニオンについてさらに詳しく知りたいのなら
「がん情報サービス」:セカンド・オピニオン、紹介状についてのQ&A

介護保険制度の手続きやサービスについて知りたいのなら
東京都福祉保健局「介護保険パンフレット」

Q14. 積極的治療が受けられなくなり、うつ状態になっているようです。家族はどうすればよいでしょうか。

ご家族だけで対応することは難しいので、心の専門家や緩和ケアチームに相談してみましょう。体の状態が楽になることで、患者さんに“生きる気力”が再びわいてきます。

積極的治療が受けられなくなっても、体調を整える、いわゆる緩和ケアで生命予後の改善を望めることがあります。強い作用がある治療を行わなくなったことで、体が楽になり、その分だけ時間を有効に使える場合もあります。しかし、積極的治療が受けられなくなったとき、患者さんの心には最初の告知や再発時よりも強い衝撃が襲ってくるといわれています。そのため、うつ状態にもなりやすくなっています。このような状況に置かれた患者さんの心を支えるには、その人の存在を安定させるサポートが大切だと考えられています。

この時期、ご家族だけで患者さんの不安定な心に対応するのは難しいので、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。まず担当医に相談し、心の専門家(精神腫瘍医または精神科医、心理療法士)や緩和ケアチームを紹介してもらいましょう。

また、前述したように積極的治療が受けられなくなっても治療が何もできなくなるわけではありません。心や体の状態が楽になることで、患者さんに“生きる気力”が再びわいてくる可能性もあります。

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がん患者さんの心の状態やケアについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんと心
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:家族向けの心のケアの情報

緩和ケアについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う・緩和ケア

積極的治療が受けられなくなったときのサポート情報を知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:もしも、がんが再発したら[患者必携]本人と家族に伝えたいこと(PDF版)

Q15. 転院が続くと、乳がんの母を支える私でさえ医師や病院から見捨てられたように感じます。患者本人はさらに孤独感を増しているようです。どのように医師や医療機関とつながればよいでしょうか。

治療をしてくれる医師とは別に継続的に心身のサポートしてくれる医師を持つことが望ましいでしょう。その候補者には「緩和ケア医」や「精神腫瘍医」がいます。

乳がんの病状に応じた治療法を選択する中で、いくつかの医療機関を転院しながら治療を受けなければならないことも少なくありません。このような状況に置かれると、医師や医療機関から見捨てられたような気持ちになることがあります。よりよい療養生活を送るためには、治療をしてくれる医師とは別に継続的に心身のサポートしてくれる医師を持つことが望ましいといえます。その候補者としては「緩和ケア医」や「精神腫瘍医」がいます。

緩和ケア医といえば、ターミナル期に痛みのケアをしてくれる医師と思いがちですが、現在はその範囲にとどまらず、がん患者に起こるあらゆる苦痛に対して診断直後から看護師や薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど他職種と連携しながら継続的にサポートしてくれます。がん診療連携拠点病院の多くには「緩和ケア外来」が設置されているので、受診してみるのもよいでしょう。

精神腫瘍医とは、がん患者や家族の心のケアを中心に、よりよい療養生活が送れるように支えてくれる専門家です。その数は全国的にも少ないのが現状ですが、「精神腫瘍外来」を設置する病院も少しずつ増えてきました。いずれの専門家もがん治療に精通していることから、状況に応じた適切なアドバイスを受けることも期待できます。

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緩和ケアについて詳しく知りたいのなら
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