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乳がんの情報サイト

監修:
聖路加国際病院 乳腺外科部長・ブレストセンター長
山内 英子 先生

乳がんの治療は長い時間がかかります。治療に対する考え方も人によってさまざまです。
患者さんが安心して治療に専念できるように、家族はどんなことを知っておくとよいでしょうか。

Q1. 母が乳がん検診を受け、しこりが見つかりました。どこの病院に行けばよいですか。

Q2. 地方で独り暮らしの母が乳がんになりました。母が暮らす地方の病院と子どもが暮らす都会の病院のどちらで治療を受けるのがよいですか。

Q3. 診断の結果を待っている間、何もしてあげられないことがつらいです。家族ができることはありますか。

Q4. 母も私も医師の説明が十分に理解できないのではないかと心配です。病状の説明を受ける際、医師に確認することは何ですか。

Q5. あっという間に手術日が決まり、手術以外の方法はなかったのかと悩んでいます。この病院で、このまま手術を受けてもよいでしょうか。

Q6. 医師の説明を受ける際、母と同席することを求められていますが、遠くに住んでいるので行けません。担当医の説明を電話で聞くことはできますか。

Q7. 診断を受けた担当医から「半年間、様子を見ましょう」と言われましたが、放置しても問題はありませんか。

Q8. 患者本人も含め、家族の中で治療に対する意見が分かれています。どうすればよいでしょうか。

Q9. セカンド・オピニオンとは何ですか。

Q10. 入院生活で困ったときは、誰に相談すればよいですか。

Q11. 母は高齢なので定期的に通院するのが大変です。入院して抗がん剤治療(化学療法)を受けられますか。

Q12. ホルモン療法とは、どのような治療法ですか。

Q13. 補整下着やかつら、帽子はどこで買えますか。

Q14. 担当医にがん以外の持病を伝える必要がありますか。

Q15. セカンド・オピニオンを受けたいのですが、担当医に言い出せません。どうすればよいですか。

Q16. 化学療法とは、どのような治療法ですか。

Q17. 口内炎などのために、食事が十分に摂れなくなりました。食べさせたいのですが、どうすればよいでしょうか。

Q18. 再発が見つかりました。これからどのような治療が行われていくのでしょうか。

Q19. 放射線療法とは、どのような治療法ですか。

Q20. 母が痛みをこらえています。見ているほうがつらくなりますが、仕方がないことでしょうか。

Q21. ホスピス(緩和ケア病棟)は、どのようなタイミングで利用するのがよいですか。

Q22. がんの症状が進行し、だんだん食べられなくなりました。それを見ているのがつらいです。点滴で栄養を補給したほうがよいですか。

Q23. 今の病院では診断結果が出るのに時間がかかりそうです。もっと早く診断をつけてくれる病院に移るためには、どのような方法がありますか。

Q24. 病状が進行し、受けられる治療法の選択肢がわずかしかありません。どうすればよいでしょうか。

Q25. 治療後に運動をしてもよいですか。

Q26. 手術後の経過観察期間には、全身の検査は、どのくらいの頻度で受ければよいでしょうか。いつまで病院にかかる必要がありますか。

Q27. モルヒネは麻薬中毒になると聞きましたが、使っても怖くないですか。

Q28. 担当医に「治療法がない」と言われました。この先、どうすればよいですか。

Q29. がんの確定診断を受けた病院で、そのまま治療を受けてもよいですか。

Q30. 再発が怖いので、乳房を全摘し、病巣を徹底的に取り除いたほうが安心ですか。

Q31. 乳房の再建を考えているのですが、手術と同時に受けられますか。

Q32. 手術の日は病院に泊まり込み、看病したほうがよいでしょうか。

Q33. 術後にがんの取り残しが見つかりました。もう一度、手術をしなければなりませんか。

Q34. 妻は体調を取り戻してきたようですが、日常生活で気をつけることは何ですか。また、 性生活を再開させてもよいですか。

Q35. ホスピスと緩和ケア病棟、緩和ケアチームの違いは何ですか。

Q36. ターミナルを迎えた母にとってホスピスに入院したほうが楽に過ごせるでしょうか。

Q37. 西洋医学は副作用が怖いので、補完代替療法を受けさせてもよいでしょうか。

Q38. 担当医が忙しくて聞きたいことがあっても気兼ねします。どうすればよいですか。

Q39. 既往症のために予定の治療ができないといわれました。どうすればよいでしょうか。

Q40. 外来化学療法を受けています。「具合が悪いときは電話してください」といわれていますが、どのような症状になったときに連絡すればよいのでしょうか。

Q41. 強い副作用を伴う抗がん剤は体に悪いと聞きました。化学療法を受けないほうがよいですか。

Q42. 再発をしないためには何を食べればよいですか。がんに効果のある健康食品やサプリメントにはどのようなものがありますか。

Q43. 漢方薬は、再発の予防に効きますか。

Q44. 医師に副作用を訴えたのですが、うまく伝わりません。どうすればよいでしょうか。

Q45. 家族が通院に付き添ったほうがよいでしょうか。

Q46. ワクチン療法のような免疫療法を受けたいのですが、どうすればよいのでしょうか。

Q47. テレビで紹介されていた治療法を受けさせたいと考えていますが、どうすればよいでしょうか。

Q48. 転院が続くと、乳がんの母を支える私でさえ医師や病院から見捨てられたように感じます。患者本人はさらに孤独感を増しているようです。どのように医師や医療機関とつながればよいでしょうか。

Q1. 母が乳がん検診を受け、しこりが見つかりました。どこの病院に行けばよいですか。

しこりが良性なのか悪性なのかを判断するために、自宅近くの乳腺科のある病院や診療所(クリニック)で精密検査を受けましょう。

乳がん検診でしこりが見つかっても必ずしも乳がんとはかぎりません。しこりの原因は、乳がんのほかに乳腺の良性腫瘍、乳腺症、皮下脂肪のかたまりなどがあります。しかし、がんである可能性も否定できないため、お母様にはまず自宅近くの乳腺科のある病院や診療所(クリニック)で精密検査を受けてもらうようにしましょう。

精密検査では、最初に「問診」が行われ、乳房の状態や乳がんのなりやすさを判断するために月経の状況や出産・授乳の経験、家族でがんにかかった人の有無などの質問があります。そして、乳房やしこりの状態を観察したり触ったりする「視触診」、乳房をX線で撮影する「マンモグラフィ」、超音波を利用して乳房やしこりの状態を調べる「超音波検査(エコー検査)」が行われ、悪性が疑われるかどうかを判断します。

悪性の可能性がある場合、「細胞診」、「組織診」などで良性か悪性かを判断します。さらに、必要に応じて「CT(コンピューター断層撮影)」、「MRI(磁気共鳴画像装置)」などの検査が行われます。いずれにせよ、精密検査をきちんと受けることが大切だということをご家族も理解しましょう。

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乳腺専門医の所在を知りたいのなら
日本乳癌学会「乳腺専門医」

Q2. 地方で独り暮らしの母が乳がんになりました。母が暮らす地方の病院と子どもが暮らす都会の病院のどちらで治療を受けるのがよいですか。

病院の選択は、患者さんの意思だけでなく、ご家族の生活環境やがんの進行状況、治療法によっても違ってきます。乳がんの診断を受けた病院の担当医にこれからの治療の見通しを確認しましょう。

どこの病院で乳がんの治療を受けるのかは、患者さん本人の意思はもちろんのこと、ご家族の生活環境や病気の進行状況により、どのような治療をどのくらいの期間受けるのかということによっても判断は違ってきます。

また、乳がんの治療は、手術、薬、放射線などを組み合わせて行い、何通りもの方法があります。その患者さんにとって、どのような組み合わせの治療が最善の方法なのか、担当医とじっくり話し合って決めることになります。

ご家族が主体となって決める場合は、乳がんの診断を受けた病院の担当医にこれからの治療の見通しを確認したうえで、患者さんの要望も確かめましょう。そして、患者さんの気持ちを尊重しながら、高齢の場合は療養中の介護の必要度も勘案し、患者さんとご家族の負担ができるだけかからない場所で治療を受けられるよう総合的に判断します。

また、家族だけでの判断に迷うときは、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターに相談し、アドバイスを受けるのも一つの方法です。相談支援センターでは、その病院にかかっていない患者さんやご家族の相談にも電話や面談で応じています。

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乳がん治療や診断について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q3. 診断の結果を待っている間、何もしてあげられないことがつらいです。家族ができることはありますか。

まだ確実な診断を受けていないこと、病期(ステージ)に応じた治療法があること、家族も治療を支えていくことなどを伝えて、なるべく気持ちを落ち着かせてあげましょう。

患者さんに何も言えなくても、側にいてあげるだけでもいいのです。まだ確実な診断を受けていない段階であること、また、診断されても乳がんは病期(ステージ)に応じた治療法があること、そして自分たち家族も治療を支えていくことを患者さんに伝えて、なるべく気持ちを落ち着かせてあげましょう。

長い闘病生活においては、治療だけでなく、さまざまな場面で選択しなければならないことが出てきます。そのときに患者さんが自分の治療を決められるよう、今からご家族ができるだけいろいろな情報を集めておきましょう。がん治療は「情報戦」ともいわれ、知っているのと知らないのとでは受ける治療も違ってきます。国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページ「がん情報サービス」には、乳がんの基本的な情報をはじめ、緩和ケアや心のケア、食事などの生活支援情報が掲載されています。

また、乳がんの治療を専門とするのは、乳腺の専門医です。診断を受ける病院や担当医が乳腺を専門としているかを確かめましょう。そして、専門医にかかっていないなら、現在の担当医に紹介を受けるか、日本乳癌学会のホームページで乳腺専門医を探し、最善の治療を受けられる態勢を整えたいものです。

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乳がん治療や診断について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法

乳がんの生活支援情報について知りたいのなら
「がん情報サービス」:食生活とがん
「がん情報サービス」:心のケア
「がん情報サービス」:生活の支援が必要なとき
「がん情報サービス」:緩和ケア

乳腺専門医の所在を知りたいのなら
日本乳癌学会「乳腺専門医」

こころやコミュニケーションのサポートについて(ノバルティスファーマ)
こころやコミュニケーションのサポート

Q4. 母も私も医師の説明が十分に理解できないのではないかと心配です。病状の説明を受ける際、医師に確認することは何ですか。

病状や治療法について詳しく聞きます。あらかじめ質問を用意し、メモを取ったり、あらかじめ担当医に「家族と共有したいので録音をしても良いですか?」と許可を取った上で、録音を取ってもいいでしょう。説明がよく理解できなかった場合はもう一度説明してもらいましょう。

担当医の説明を受ける際、患者さんや家族が確認しておきたいポイントとしては、次のようなものがあります。

  • がんのタイプ
  • 検査の結果
  • 診断は確定したのか、それとも疑いの段階か
  • 発生した部位と拡がり、他の部位への転移について(進行期=ステージ)
  • 受けられる治療にはどのようなものがあるか
  • その中で担当医が勧める治療法とその理由
  • 他の医療機関では別の治療法があるのか
  • すぐに出てくる副作用と長期間経ってから出てくる副作用
  • がんの治療が持病や持病の治療に影響するかどうか
  • 今までどおりの生活ができるか
  • ふだんの生活の中で気をつけること
  • 参加できる臨床試験があるかどうか
  • 治療に関わってくれるスタッフにはどんな職種の人がいるのか
  • 疑問や質問が出てきたら、誰に連絡すればいいのか

などです。

医師と重要な話をするときには、患者さんもご家族も緊張しがちで、終わってみると内容をよく覚えていないことがあります。説明を受ける際には後でおさらいするためにも、メモを取ったり、担当医に許可を取った上で録音したりします。

説明が十分に理解できなかった場合には、もう一度、担当医に説明してもらいましょう。その際、どこがわからないのかを書き出し、事前にメモを渡しておくと面談がスムーズに進みます。

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受診の際に聞くべきことをチェックするなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P27

Q5. あっという間に手術日が決まり、手術以外の方法はなかったのかと悩んでいます。この病院で、このまま手術を受けてもよいでしょうか。

疑問や不安は担当医に聞いて解消を。相談支援センターの看護師にも相談できます。

担当医から丁寧な説明を受け、十分に納得したうえで治療を決めたとしても、「他の方法のほうがよかったのではないか」と患者さんやご家族の気持ちは揺れるものです。治療に対する考えは日々変わるものですし、受け取る情報が増えることもあって、むしろ迷いが出てくるのは当たり前です。

ただ、疑問や不安を残したままで手術を受けると、手術の結果を受け入れられない場合もあり得ます。あとで後悔しないためにも、今、頭が痛くなるほど悩んでおくことが重要です。何でも遠慮せずに担当医に質問し、何度でも説明を受けましょう。がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターの看護師に相談するのも、治療に対する不安事項を整理できる一つの方法です。

一方で、どんな治療法でも完璧ではなく、副作用などのデメリットがあることも理解しておきたいものです。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q6. 医師の説明を受ける際、母と同席することを求められていますが、遠くに住んでいるので行けません。担当医の説明を電話で聞くことはできますか。

できるだけ同席を。同席できないときには、友人や知人に頼んだり、担当医に許可を得た上で録音するのも方法です。

治療の説明には時間がかかり、検査の数値や画像を見ながら行われることもあるため、すべての説明を電話で聞いて理解するのは難しいでしょう。また、患者さん一人では説明された内容を思い違いしたり、忘れたりすることもよくあります。できれば時間を作って、担当医と直接会って説明を受けることをお勧めします。

どうしても出向くことが難しく、電話で説明を受けたい場合は、後で誤解が生じないように、ご家族も診断の情報や治療内容を正確に理解することが大事です。電話の内容をメモしたり、メモや説明を聞くだけでは不安を感じるような場合は、担当医の許可を取った上で録音したりしておきましょう。

また、患者さんが説明を受けるときに、患者さんやご家族の友人・知人、病院にいるメディカル・ソーシャルワーカー(MSW)が同席できる場合もあるので、調整してみましょう。同席してもらった人に担当医の話をメモや録音で残してもらうのも方法です。

乳がんそのものや治療に関する知識を事前に持っておくことも大切です。がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターでは、看護師が一般的な診療情報を提供しています。このようなサービスを利用したり、担当医に診療情報提供書をもらったりしながら、理解を深めるようにしましょう。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q7. 診断を受けた担当医から「半年間、様子を見ましょう」と言われましたが、放置しても問題はありませんか。

良性と悪性の見極めがつかないケースや比較的ゆっくり進行する乳がんは、よくあります。不安が強い場合、納得できない場合はセカンド・オピニオンを受けてもいいでしょう。

良性の乳腺症や石灰化などでは画像診断の検査結果が乳がんと似ていて良性か悪性かの見極めも難しいので、担当医の指示に従い、定期検査を受けましょう。また、乳がんの中には早い段階で全身に転移するものもありますが、一般的には比較的ゆっくり進行します。定期検査を受ける際には担当医が乳がんを診る乳腺の専門家かどうかを確認しておくほうがいいでしょう。さらに、どのような診察や検査の結果から、様子を見るという判断をしたかについては、しっかりと聞いておくことが重要です。乳がんの診断ガイドラインでは、40歳以上はマンモグラフィー(乳房X線検査)が推奨され、腫瘤(しこり)があれば超音波検査や生検などでも調べることが薦められています。どうしても心配であれば、しこりを小さく切除して顕微鏡でがん細胞の有無を調べ、診断を受けるという方法もあります。

患者さん本人が不安な気持ちを抱えているようであれば、その気持ちをきちんと担当医に伝えることも大切です。担当医の説明に納得できない場合はセカンド・オピニオンを受ける方法もあります。

様子を見ている間は、患者さんが不安になりすぎず、いきいきと暮らせるように配慮してあげたいものです。適度の運動、バランスのよい食事で、乳がんのリスクファクターである肥満を避け、できるだけストレスがたまらないようにすることです。

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セカンド・オピニオンについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P26

乳がんの診断基準について知りたいのなら
日本乳癌学会の乳癌診断基準

Q8. 患者本人も含め、家族の中で治療に対する意見が分かれています。どうすればよいでしょうか。

持っている情報や理解度に差があるのかもしれません。まずは家族で情報共有を。

まず、患者さんや家族の間でそれぞれがどんな意見を持っているのか、どこが異なっているのかを整理してみましょう。そして、その治療法を推す理由もはっきりさせたうえで、再度話し合ってみると、実は同じように考えていたことがわかるかもしれません。

がんの告知や治療が進む中で、患者さんと家族は一緒に落ち込み、ときには冷静さを失ってしまいます。そのときの状況によって、意見や思いは変わるということも覚えておきたいものです。

家族の意見が分かれる原因の一つに、医療者から受け取っている情報量や理解度の差があります。患者さんは診察や病状の説明のときには緊張や不安で大事な情報を聞き逃したり、聞き間違えたりすることもよくあります。録音したり、家族が同席してメモを取ったりして、正確な情報をベースに治療法を話し合います。家族間で情報を共有することも重要です。連絡帳を用意し、医療者から提供された情報を書き留め、家族全員が患者さんの状況を把握できるようにしましょう。

また、舵取りをする船頭が多いと、舟はなかなか前に進みません。家族の中で舵取り役となるキーパーソンを決め、担当医や看護師にもキーパーソンは誰かを伝えましょう。患者さんの思いを聞く人、医療の情報を集める人など、家族間で緩やかに役割分担をしておくのもいいでしょう。

意見が食い違う背景には、お互いに口に出さないものの、医療スタッフへの信頼感の違いや経済的な心配などが隠れている場合もあります。意見の違いの根本にあるものを少し考えてみてもいいかもしれません。

患者さんと家族、あるいは家族の間で意見が対立すると、患者さんは本音を言えなくなることがあります。そういう様子が見られたら、看護師や担当医などに入ってもらい、家族がいない場所で話を聞いてもらいます。

治療を受けるのは患者さん本人であり、がんへの向き合い方は人によって異なります。最終的には患者さんの意思を尊重することが大事です。担当医と一緒に、時間をかけてよく話し合いましょう。

患者さんにとって何よりも大切なのは、家族からの「あなたには私たちがついているよ」というメッセージ、そしていつでも話を聞いてもらえるという安心感です。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q9. セカンド・オピニオンとは何ですか。

納得して治療を選べるように、別の医師の意見を聞くことです。担当医の方針と別の医師の意見が異なる場合は、もう一度、担当医とよく話し合うことが大切です。

セカンド・オピニオンとは、治療を始める前に、診断や治療法、治療の計画について、担当医とは別の医師の意見を聞くことです。より多くの情報が得られ、患者さんが自分に最も合った治療法や医療機関を納得して選ぶことができます。

診断時の進行期にもよりますが、乳がんは比較的進行がゆっくりしているので、セカンド・オピニオンを受けた後で治療法を選択するという時間が持てる場合がほとんどです。

ただ、患者さんが自分の病状や進行度、担当医の治療方針を把握しないまま、セカンド・オピニオンを受けてもあまり参考にならないので、これらの点についてしっかり理解したうえで、セカンド・オピニオンを受けるようにしましょう。もし患者さんが別の医師の意見を聞くことに気が進まないなら、周囲の人はその気持ちを尊重すべきです。

セカンド・オピニオンを聞きに行く場合には、担当医に診察の記録や検査結果を出してもらう必要があります。

セカンド・オピニオンを受けられる医療機関は、各地のがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターや患者団体に聞くとよいでしょう。手術に関して聞きたいなら外科医に、抗がん剤治療(化学療法)の選択肢を知りたいなら腫瘍内科医にと、意見を聞く医師を選ぶことも大事です。なお、セカンド・オピニオンの費用は、健康保険が適応されず、全額自己負担になります。

担当医の方針とセカンド・オピニオンが異なった場合には、まずは担当医と話し合うことが大切です。セカンド・オピニオンの目的は転院をするためではなく、あくまでも納得したうえで治療法や医療機関を選択することです。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法
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セカンド・オピニオンについてさらに詳しく知りたいのなら
「がん情報サービス」:セカンド・オピニオン、紹介状についてのQ&A

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Q10. 入院生活で困ったときは、誰に相談すればよいですか。

病棟の看護師に相談しましょう。入院から退院まで同じ看護師が患者さんをサポートする「プライマリーナース制」を取り入れる病院も増えています。

手術後に一人でトイレに行けない、同室の患者さんのいびきが気になって眠れないなど、入院生活では予想もしなかった出来事がいろいろ起こります。入院生活を快適に過ごすことは早い回復につながります。困ったときは我慢せずに病棟の看護師に相談してみましょう。患者さんの訴えに耳を傾け、相談に応じるのも看護師の大切な役割の一つです。最近では「プライマリーナース制」といって、入院から退院まで一人の患者さんを同じ看護師が受け持つ仕組みの病院も増えてきました。

また、病室を変わりたいときやほかの入院患者さんとの間でトラブルが起こったときは、病棟の責任者である看護師長に相談したほうが早く解決することもあります。入院費をはじめ経済的な問題で困ったときは、看護師長から医療ソーシャルワーカーを紹介してもらうとよいでしょう。

Q11. 母は高齢なので定期的に通院するのが大変です。入院して抗がん剤治療(化学療法)を受けられますか。

抗がん剤が進歩し副作用に対する治療も改善されてきたことから、抗がん剤治療は外来で行われることが主流です。担当医に一度、相談してみましょう。

近年は、抗がん剤が進歩し、飲み薬だけで治療することもあります。さらに抗がん剤の副作用に対する対策も改善されてきました。そのため、抗がん剤を使い始めるときは入院して様子を見ながら行われる場合もありますが、副作用などの問題がなければ、それ以降の治療は外来に切り替わります。あるいは、最初から入院しないで外来で行うことも多くなりました。

患者さんや家族にとっては、できるだけ自宅に近い病院で治療を受けられることが望ましいのですが、抗がん剤治療などの専門的な医療はどこの病院でも気軽に受けられるものではありません。質の高い安全な治療を提供するために、ここ数年はがん診療の拠点となる病院に患者さんを集めて治療する「集約化」の動きが進んでいます。そのため、とくに地方においては患者さんが通院しづらい状況になっています。

「通院するのが大変」という理由だけでは入院治療はできない可能性が高いと思われますが、担当医に一度、相談してみましょう。

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化学療法について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんの薬物療法

Q12. ホルモン療法とは、どのような治療法ですか。

女性ホルモンに影響される(感受性のある)乳がんに対して行われる、女性ホルモンを抑える薬を服用する治療法です。

乳がん患者さんの6~7割は、女性ホルモンによって、がんが増殖しやすくなっています(「ホルモン感受性乳がん」「ホルモン依存性乳がん」)。

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、卵巣の機能が正常で月経がきちんと来る女性では、エストロゲンとプロゲステロンが多く分泌されており、閉経前後や閉経してからは、副腎から分泌される男性ホルモンをアロマターゼという酵素がエストロゲンに変えています。そこで、乳がんでは組織診や手術で切除したがんから、これらの女性ホルモンと結合する受容体があるかどうかを調べ、女性ホルモンに影響されやすいかどうかをおおよそ判断します。

ホルモン感受性乳がんであれば、女性ホルモンを抑制するホルモン療法が効果があります。ホルモン療法では、年齢や影響している女性ホルモンに応じて、抗エストロゲン薬や選択的アロマターゼ阻害薬、黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制薬などが使われます。

ホルモン療法は長期間にわたることが多く、ほてりやむくみ、体重増加など、いわゆる更年期障害に似た副作用が起こります。また、抗エストロゲン薬の長期使用で血栓症や子宮がんのリスクが上がり、選択的アロマターゼ阻害剤で骨粗鬆症のリスクが上がることが知られています。

患者さんも家族もホルモン療法の意味と副作用についてきちんと理解しておきましょう。

また、副作用は早めに対応することが大切です。気になる症状が見られたら、担当医、看護師、薬剤師に相談しましょう。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:診断・治療方法
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q13. 補整下着やかつら、帽子はどこで買えますか。

補整下着やかつら、帽子の購入先の情報は病棟看護師が教えてくれます。サンプル品を展示している病院もあります。さらに詳しい情報が知りたいときは、乳がん看護認定看護師に相談してみましょう。

乳房切除術を受けると乳房のふくらみがなくなるため、左右の胸の違いが目立つだけでなく、胸の重さに差が生じることによって体のバランスが取れなくなることがあります。このような不具合を調整し、外見もカバーするのが補整下着です。また、乳がんの化学療法で使用される抗がん剤の多くは脱毛の副作用が起こりやすく、治療を開始して2~3週間後に髪の毛などが抜け始めます。治療が終われば再び生えてきますが、治療中は脱毛を予防する有効な手段がないため、かつらや帽子などで対応することになります。

補整下着やかつら、帽子に関する基本的な知識、購入先などの情報は入院中に病棟看護師が教えてくれます。病院によってはサンプル品を展示しているところもあります。商品の選び方や購入する際のポイント、代用品の工夫などの詳しい情報が知りたい場合は、乳がん看護認定看護師(日本看護協会の認定資格。乳がん看護の分野で熟練した看護技術と知識を身につけた看護師)に相談するとよいでしょう。がん診療拠点病院で活動している乳がん看護認定看護師の中には、その病院で治療を受けていない患者や家族の相談に応じてくれる人もいます。

がん診療拠点病院に設置されている相談支援センターにまず連絡し、その病院に乳がん看護認定看護師が所属していれば紹介してもらいましょう。

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「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

乳がん看護認定看護師の所在について知りたいのなら
日本看護協会「乳がん看護認定登録者一覧」

Q14. 担当医にがん以外の持病を伝える必要がありますか。

受けられない検査や治療があったり、治療中や治療後に思わぬ症状が出たりすることがあるので、持病は必ず伝えましょう。

がんの治療法を決めるときには、がんの病状だけでなく、持病がある場合にはその影響も考えなくてはいけません。持病によっては、受けられない検査や治療法があり、薬を変更したり、薬の飲み合わせなどによって薬の副作用が強く出たり、効果が弱くなったりすることも考えられます。薬物療法の後に免疫力が下がり、持病が悪化したり、感染症にかかりやすくなったりすることもよくあります。

また、持病によっては手術にリスクを伴う場合があるため、今、受診している病院では治療が受けられず別の病院を紹介されることもあります。場合によっては、持病の治療を担当している医師と乳がん治療の担当医が事前に連絡を取り合い、情報を交換する必要があるため、担当医には持病について事前にきちんと伝えます。とくに患者さんが高齢の場合は、お薬手帳を参考にしたり、患者さんとのコミュニケーションをよく取ったりしながら、家族が持病やふだん飲んでいる薬について正確に把握しておきましょう。

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Q15. セカンド・オピニオンを受けたいのですが、担当医に言い出せません。どうすればよいですか。

よりセカンド・オピニオンを効果的に受けるためにも、担当医とじっくり話し合い、病状や病態を把握したうえで、依頼してみましょう。

担当医に気兼ねしてセカンド・オピニオンを言い出せない患者さんや家族は少なくないようですが、多くの医師はセカンド・オピニオンにそれほど抵抗を感じておらず、意外にすんなり了解してくれるケースが多いと考えられます。

担当医にどうしても言い出せない場合は、セカンド・オピニオンを受ける医師を決めて、その医師から担当医に診療情報(病理検査結果、画像診断フィルムなど)の提供を依頼してもらう方法もあります。がん診療拠点病院にある相談支援センター、入院中ならば担当の看護師や院内の医療相談室などに相談してみるのもいいでしょう。

また、セカンド・オピニオンを受ける際には、担当医によるファースト・オピニオンの内容(がんの種類、病状や治療方針)をしっかり把握していないと、セカンド・オピニオンを受けても他の医師の意見のどこが担当医と同じでどこが違うのかがわからず、治療選択の助けにならない場合もあります。まずは担当医とじっくり話し合ってからのほうがより意味のあるセカンド・オピニオンになるでしょう。

さらに、セカンド・オピニオンを受けたら、その内容を担当医に報告することも大事です。セカンド・オピニオンに対する担当医の意見を聞くことで、病気や治療法への理解がさらに深まり、患者さんや家族の治療に対する希望もはっきりしてきます。

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Q16. 化学療法とは、どのような治療法ですか。

「抗がん剤」と呼ばれる薬剤を使う治療法を示します。乳がんの場合は手術療法や放射線療法と組み合わせて使われ、がん細胞の増殖を抑える効果があります。

化学療法という言葉は広い意味では化学物質(薬)を使う治療法を指し、感染症などの領域でも化学療法という言葉が使われることがあります。一方、狭い意味では、「抗がん剤」と呼ばれる薬剤を使う治療法を指します。また、他のがんの薬物療法全般を指す場合もあります。治療の説明を受けたときには、医療スタッフが抗がん剤のみの話をしているのか、分子標的薬(がんに特有の、あるいはがん細胞に多い分子に結合して、がん細胞の増殖を抑える作用のある薬)やホルモン療法(がんを増殖させるホルモンを抑える治療法)も含めて化学療法と言っているのかを確認しておくと、話が混乱せず、理解しやすくなるはずです。

抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑える薬で、活発に増殖する細胞を攻撃するため、正常な細胞もダメージを受けます。とくに細胞の増殖が盛んな、血液(特に白血球)や、舌、胃腸の粘膜、髪の毛などが影響を受けます。そのため、副作用として吐き気や嘔吐、手足のしびれ、発熱、むくみ、脱毛、口内炎などさまざまな症状があらわれますが、個人差が大きいことも知られています。副作用に対しては症状を和らげる支持療法が進み、たとえば吐き気や嘔吐には効果の高い吐き気止め(制吐剤)がうまく使われるようになってきました。

抗がん剤は単独で使われることは少なく、いくつかの抗がん剤を組み合わせて、あるいは分子標的薬やホルモン療法などと併用されることがよくあります。

血液がんは抗がん剤などの薬物療法が主な治療法ですが、臓器のがん(主に固形がん)は手術や放射線療法との組み合わせで使われることが一般的です。

近年は、通院による外来化学療法が主流です。外来化学療法には普段の生活スタイルをある程度維持しながら治療できるメリットがあります。ただ、夜間に発熱があったときの連絡方法など、自宅で起こりうる症状の対応策をしっかり聞いておく必要があります。また、最近は飲み薬の抗がん剤が登場しており、飲み忘れにも注意が必要です。

化学療法を受ける際には、家族も患者さんとともに担当医の説明を受け、治療の方法や投与スケジュール、予想される副作用やその対処法について確認しておきましょう。また、他の病気で服用している薬があれば事前に伝えましょう。

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化学療法について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんの薬物療法

Q17. 口内炎などのために、食事が十分に摂れなくなりました。食べさせたいのですが、どうすればよいでしょうか。

症状がつらくて食べられないときは患者さんの状態に合わせてやわらかいものや刺激の少ないものなど食べやすいものを用意し、食べられるときに食べてもらうようにします。

化学療法(抗がん剤による治療)や放射線療法などの治療の副作用で、口内炎や味覚異常、吐き気や嘔吐などの症状を伴うことがあります。副作用の強い時期を過ぎれば食べられるようになることが多いのですが、症状がつらくて食べられないときは患者さんの状態に合わせてやわらかいものや刺激の少ないものなど食べやすいものを用意し、食べられるときに食べてもらうようにしましょう。

口内炎ができたときは、うす味で水分が多めのやわらかい料理が食べやすいといわれています。また、食材を刻んだりミキサーにかけたりして小さくすると飲み込みやすくなります。冷たいお茶や水をこまめに取り、口の中の潤いを保つことも口内炎の症状を和らげるのに効果的です。口内炎を治療する内服薬やうがい薬、塗り薬などもありますので、担当医や看護師に相談してみましょう。つらい症状を我慢させることはありません。

治療中や療養中の食事の工夫について詳しく知りたいときは、担当医または看護師に申し出て、管理栄養士につないでもらい、アドバイスを受けるのがよいでしょう。

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治療中の食事のヒントについて知りたいのなら
財団法人がん研究振興財団:食事に困った時のヒント(がん治療中の患者さんとご家族のために)
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:患者必携 がんになったら手にとるガイド 食事と栄養のヒント P183
兵庫県立大学大学院看護学研究科21世紀COEプログラム「がん看護ケア方法の開発プロジェクト」:食べられないときの食事の工夫―化学療法の前・中・後―

Q18. 再発が見つかりました。これからどのような治療が行われていくのでしょうか。

再発の状態によって、一人ひとりの治療法は異なります。担当医の診断をしっかりと理解し、患者さんやご家族の希望にそった治療が選択できるようにしましょう。

再発の治療といっても、基本的には今までと同じようにがんの状態と体調に応じて、手術、薬物療法、放射線療法などから選択し、同時に、体や心の痛みを取り除き、生活を支え、その人らしさを保てるようにする支持療法がより一層重視されるようになります。ただ、再発してからの病状には個人差が大きく、再発に関して診療ガイドラインで定まった治療法があっても、その通りに進まないことはよくあります。患者さんの病状や治療法をよく知り、わからないことは担当医や医療スタッフに尋ねましょう。

また、再発を知ることは、がんの告知以上に強いショックを受けるともいわれます。これまでの治療は何だったのか、これからどうなるのかと患者さんは怒りや不安、悲しみに襲われます。再発後は、それまで以上に患者さん自身がどのように過ごしていきたいのかが大事になってきます。乳がんは比較的経過の長い病気です。患者さんの気持ちが落ち着いた頃を見計らって、ご家族でお互いがどのように過ごしたいと思っているのかを話し合ってみるのもよいと思います。

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再発についてのサポート情報を知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:患者必携 もしも、がんが再発したら―本人と家族に伝えたいこと

Q19. 放射線療法とは、どのような治療法ですか。

放射線でがん細胞を壊す治療法です。乳がんでは乳房温存療法の手術後の照射が一般的です。

放射線療法は、手術や薬物療法とともに、がんの3大療法の一つで、放射線をがんに照射して、細胞のDNAに働きかけ、がん細胞を壊したり、がん組織を小さくしたりする治療法です。細胞分裂が速い細胞によく効くため、正常細胞よりもがん細胞のほうがダメージを受けます。通常、使われるのはX線やγ線、電子線で、炭素線と陽子線を使う粒子線治療も行われています。体の外から照射する方法と、小さな線源を体の中に入れて照射する方法があり、体の表面に近い部分にできる乳がんでは体外からの照射で治療するのが一般的です。

放射線療法は単独で行われる場合と、手術や化学療法と組み合わせて行われる場合があります。乳がんでは放射線療法が単独で行われることはほとんどなく、乳房温存療法では、乳房部分切除の後、患部の側の残った乳房全体に外部照射します。ほとんどの場合は外来で治療できます。

臓器を切除する手術とは異なり、臓器の形や機能を残せるというメリットがある一方で、放射線を照射した部分を中心とした皮膚障害(日焼けをしたようなピリピリ感など)、だるさ、食欲不振、吐き気、口内炎などの副作用が出ます。また、治療後、半年から数年経ってから神経や皮膚などに「晩期障害」が出るケースもあります。照射してすぐは、皮膚が敏感になっているので、洗うときはそっと洗い、皮膚への刺激が少ない綿素材の下着などを着用しましょう。

治療中は患者さんの体調に気を配り、無理をさせないようにしましょう。なお、外部照射をしても家族など周りの人への影響はないので、放射線被ばくを心配する必要はありません。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん

放射線療法について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:放射線療法総論

放射線について知りたいなら
独立行政法人 放射線医学総合研究所 放射線Q&A

Q20. 母が痛みをこらえています。見ているほうがつらくなりますが、仕方がないことでしょうか。

痛みを上手にコントロールする方法が確立されているので、痛みに対しても適切な治療を受けることが大切です。

痛みに耐えることによって、がんに勝っているような気持ちになるのは多くの患者さんによくみられる心理です。しかし、それは必要のない我慢です。WHO(世界保健機関)では、がんの痛みは治療すべき症状であると提言し、「がん疼痛治療指針」を発表しています。この治療指針をもとに現在、多くの医療機関では痛みを上手にコントロールする方法が確立されていますので、痛みに対しても適切な治療を受けることが大切です。家族は、そのことを患者さんに伝えるとともに、担当医にも患者さんの痛みの状態(①いつから、②どこが、③どのように、④どの程度の強さで、⑤痛みが強くなるとき、痛みが楽になるときなど)と、痛みに対する患者さんの気持ちを伝え、きちんと痛みを取り除いてもらいます。

また、痛みが上手にコントロールできないときは緩和ケアチームのサポートを受けるのもよいでしょう。緩和ケアチームでは、痛みのケアを専門とする緩和ケア専門医や緩和ケア認定看護師が中心となって活動しています。さらに近年は、緩和ケア外来を開設する医療機関も増えてきましたので、積極的に利用しましょう。

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がんの痛みについて知りたいのなら
痛みを我慢しない(がん情報サービス)

緩和ケアについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う・緩和ケア

緩和ケアチームの所在について知りたいのなら
日本緩和医療学会「緩和ケアチーム登録」:登録施設一覧ページ
日本ホスピス緩和ケア協会「受けられる場所を探す」:緩和ケアチーム

緩和ケア専門医の所在について知りたいのなら
日本緩和医療学会「専門医認定制度」:専門医名簿

緩和ケア認定看護師の所在について知りたいのなら
日本看護協会「緩和ケアの認定看護師登録者一覧」

Q21. ホスピス(緩和ケア病棟)は、どのようなタイミングで利用するのがよいですか。

ホスピス(緩和ケア病棟)に入院できるのは、がんの進行に伴う体のつらい症状や精神的な苦痛があり、積極的治療の適応がない、あるいは希望しない患者さんです。利用にあたっては条件がありますので、施設に問い合わせてみましょう。

日本でホスピスが始まったのは1973年のことです。以来、キリスト教系の民間病院を中心に少しずつ全国に広がり、1990年には公的医療保険が適用される「緩和ケア病棟」が新設されました。そのため、「ホスピスケア」のほぼ同義語として「緩和ケア」という言葉が使われるようになりました。このように名称に違いはありますが、現場で行われている治療やケアの内容に大きな差はありません。ホスピスケアや緩和ケアの基本的な考え方は、積極的な延命治療は行わず、患者さんの人間性を最大限に尊重しながら、身体的ケア、精神的ケア、社会的ケア、スピリチュアルペイン(死を意識することで起こる苦痛や苦悩)ケアを提供していくというものです。

ホスピスや緩和ケア病棟に入院できるのは、がんの進行に伴う体のつらい症状や精神的な苦痛があり、がんを治すことを目的とする治療(手術、化学療法、ホルモン療法、放射線療法など)の適応がない、あるいはこれらの積極的治療を希望しない患者さんです。ホスピスや緩和ケア病棟を利用するためには入院条件を満たしている必要があります。

近年、ホスピスや緩和ケア病棟の利用を希望する患者さんが増えていますので、申し込んでもすぐには入院できないことがあります。切れ目のないケアを受けるためにも、ホスピスや緩和ケア病棟の利用を考えた時点で、入院の条件や待機期間などを各施設に問い合わせるのがよいでしょう。

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緩和ケア病棟の所在について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:緩和ケア病棟のある病院の情報
日本ホスピス緩和ケア協会「受けられる場所を探す」:ホスピス緩和ケア病棟

ホスピスケアについて知りたいなら
日本ホスピス緩和ケア協会「ホスピスってなあに?」
日本ホスピス緩和ケア協会「ホスピス緩和ケアQ&A」
日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団「ホスピス・緩和ケアとはなんですか」

Q22. がんの症状が進行し、だんだん食べられなくなりました。それを見ているのがつらいです。点滴で栄養を補給したほうがよいですか。

人生の最後に向かう過程の一つとして食欲が低下していきます。この時期の点滴による栄養補給は、担当医や緩和ケア医に十分に相談し、的確に対処してもらいましょう。

食欲があることは健康の証であり、患者さんがだんだん食べられなくなるのを見るのは家族としてつらいことです。人生の最後に向かう過程で、患者さんの状態によっては食欲が低下していきます。この時期に無理に食べさせたり、あるいは点滴で栄養補給したりすることによって状態が悪化することがあります。また、便秘や嘔吐・吐き気など他の症状が食欲不振の原因になっていることもあるため、担当医や緩和ケア医に十分に相談し、的確に対処してもらうことが大切です。

そのうえでの食事の留意点としては、栄養価よりも本人が食べたいものを優先し、食事の量にはこだわらないようにします。消化がよく口あたりのよい食べ物(麺類、酢のもの、果物など)を用意するほか、食べられないときは香りだけでも楽しんでもらいましょう。食事の工夫については管理栄養士のアドバイスを受けることをおすすめします。

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ターミナル期の食事のポイントについて知りたいなら
日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団「がん緩和ケアに関するマニュアル」:第5章痛み以外の身体的諸症状のマネジメント
日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団「がん緩和ケアに関するマニュアル」:第7章日常生活の援助

Q23. 今の病院では診断結果が出るのに時間がかかりそうです。もっと早く診断をつけてくれる病院に移るためには、どのような方法がありますか。

別の病院に行っても検査のやり直しで時間がかかってしまうことがほとんどです。いつごろ診断がつくのか、見通しを担当医に尋ねましょう。

乳がんかもしれない、あるいは再発かもしれないというときに診断がつかない状態はご本人もご家族も気持ちが落ち着かないことでしょう。焦る気持ちはお察しします。けれども、たとえ別の病院に移っても、診察や検査をやり直すことになってしまい、時間と費用が無駄になってしまいかねません。また、診断が早そうな病院を探したり、紹介状を用意してもらったりするのにも手間と時間がかかります。

まずは現在の病院で、いつごろ診断がつくのか、見通しを担当医に尋ねましょう。合わせて、診断に時間がかかっている理由も聞いてみることをお勧めします。それでも待つことに納得できない場合は、別の病院でまずはセカンド・オピニオンでみてもらい、診断までの時間を含めて、聞いてみることを考えてもよいでしょう。

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セカンド・オピニオンについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P26

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:診断・治療方法
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q24. 病状が進行し、受けられる治療法の選択肢がわずかしかありません。どうすればよいでしょうか。

それでもまだできることは残されています。患者さんご本人の気持ちを大切にしながら、合わせて生活や心を支える緩和ケアなども検討してみましょう。

病状が進行し、受けられる治療法の選択肢がわずかしかなくなったとしても、患者さんや家族がまだできることは残されています。担当医とよく話し合い、患者さんご本人にとって最善の治療を選びましょう。もしも進行を抑えるための積極的な治療に限界が生じても、体や心の痛みを取り除き、日々の生活を支える緩和ケアなどを検討してみてはどうでしょうか。つらい症状をコントロールすることで体が楽になり、気持ちにも余裕が生まれて、よりよい日常を過ごすことにつながるかもしれません。

患者さんの状況に応じて、ほかの乳腺専門医の意見を聞くセカンド・オピニオンなども利用しながら、患者さんもご家族も納得のいく治療を選択することが大事です。

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緩和ケアや患者さんの生活を支えることについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:緩和ケア

Q25. 治療後に運動をしてもよいですか。

担当医に相談のうえ、適度な運動を。治療後の体力の回復や気分転換、リラックスに役立ちます。

体力を回復させたり、維持したりするために、適度な運動は大切です。とくに入退院の前後では運動量が落ち、体力も低下しやすいので、無理のない範囲で軽い運動を行い、少しずつ体力をつけたいものです。

担当医から運動の許可が下りたら、家の中で、その場での足踏み、深い呼吸の繰り返しなど簡単な動きから始めてみましょう。家事の量を少しずつ増やしていくだけでもよい運動になります。体力が回復してきたら、短時間の散歩などに出てみましょう。患者さんが外に出るのを怖がったり、億劫がったりしているようなら、最初はご家族が付き添われるとお互いに安心です。

また、筋肉を伸縮させるストレッチで体をほぐし、心身をリラックスさせることもよいでしょう。肩や腕を動かす運動、胸や背中の筋肉を伸ばす運動は、乳がんの手術後のリハビリテーションとしても最適です。ただし、方法はリハビリ医や看護師、理学療法士などに正しく教えてもらいましょう。

もちろん、体調が悪いときには無理に運動しないことが大事です。

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療養中の運動について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:患者必携 がんになったら手にとるガイド「体調を整えるには」

Q26. 手術後の経過観察期間には、全身の検査は、どのくらいの頻度で受ければよいでしょうか。いつまで病院にかかる必要がありますか。

担当医の指示に従い、定期的に診察や検査を受けます。乳がんでは約10年間は経過観察します。

治療を終えて間もない時期は、病状や治療の効果や副作用を確認するために1~2週間に一度、あるいは1か月に一度と頻回に診察を受けることになります。ただし、検査は最初の1年は3か月から半年に一度、その後は1年に1回くらいの頻度になり、だんだん間隔が開いていきます。診察や検査の頻度および内容は病状や治療方法、治療の結果によっても異なりますので、担当医の指示に従いましょう。

乳がんは10年以上経過しても、稀に再発するケースがあるため、長期にわたる経過観察が必要です。反対側の乳房にがんができることもあるため、反対側の乳房のマンモグラフィー検査なども行われます。

また、定期的な診察や検査の時期でなくても、気になる症状があれば速やかに受診しましょう。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん

Q27. モルヒネは麻薬中毒になると聞きましたが、使っても怖くないですか。

モルヒネは、WHOの「がん疼痛治療指針」の中でも認められている効果の高い鎮痛薬です。痛みのある患者さんに使用するかぎり、精神的な依存を起こすことはありません。

モルヒネは医療用麻薬に分類される薬剤で、痛みを緩和する目的で以前から使用されてきました。アヘンが原料となることから「モルヒネ=麻薬」との印象が強く、患者さんや家族の中にはモルヒネ中毒を心配する人がいます。しかし、痛みのある患者さんに使用するかぎり、精神的な依存を起こすことはありません。

WHO(世界保健機関)は1986年に「がん疼痛治療指針」を発表し、痛みの強さに応じて3段階の尺度(1.弱い痛み、2.中等度の痛み、3.強い痛み)を決め、それに対応する具体的な鎮痛薬と使い方を示して、痛みの治療の標準化を図りました。この3段階ラダーにおいても、モルヒネは強い痛みに対応する効果の高い強オピオイド製剤として認められています。最近は、モルヒネ以外にもオキシコドンやフェンタニルなど新しいオピオイド製剤が開発されてきたので、それぞれの薬剤の特徴をふまえたうえで患者さんの痛みに合わせて使い分けるようになってきました。

モルヒネにかぎらず、これらのオピオイド製剤には吐き気や眠気、便秘などの副作用の頻度が高いことがわかっていますが、副作用が現れる前にそれぞれの症状に対処する薬剤を投与して予防します。モルヒネを使用することに対して不安や疑問があるときは、遠慮せずに担当医や看護師、薬剤師に相談し、痛みを我慢することは避けてください。

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がんの痛みや対処法について知りたいなら
痛みを我慢しない(がん情報サービス)
SCORE-G「がんの痛みネット」

Q28. 担当医に「治療法がない」と言われました。この先、どうすればよいですか。

がんと共存しながらよりよく生きるために、これからの治療方針について担当医としっかり話し合い、納得できないときはセカンド・オピニオンを受けたほうがよいでしょう。

担当医が「治療法がない」と言う場合、様々な状況があると思います。担当医の説明の仕方によって患者さんは見捨てられたような感じを強く受け、途方に暮れることがよくあります。しかし、「治療法がない=見捨てられる」ことではありません。がんと共存しながらよりよく生きることを考えましょう。

そのためには、つらい症状をコントロールし、体や心が楽になるための緩和ケアや支持療法(がんそのものに伴う症状や治療による副作用に対して予防や軽減させる治療)を主体にすることが大切になってきます。まずは、本人や家族の治療に対する希望を伝えたうえで、これからの治療方針について担当医としっかり話し合い、納得がいかないときは、セカンド・オピニオンを受けたほうがよいでしょう。

また、「治療法がない」と言われると、経済的な心配をされる患者さんやご家族も少なくありません。患者さんが契約している生命保険の内容によっては、生きている間に死亡保険金の一部か全額が受け取れる場合があります。詳細については契約している生命保険会社にお問い合わせください。さらに、介護が必要になったときは介護保険も利用しましょう。がんは特定疾患に指定されているので、40~64歳の人でも介護保険サービスを使うことができます。

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緩和ケアについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う・緩和ケア

支持療法について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う・さまざまな症状への対応

セカンド・オピニオンについてさらに詳しく知りたいのなら
「がん情報サービス」:セカンド・オピニオン、紹介状についてのQ&A

介護保険制度の手続きやサービスについて知りたいのなら
東京都福祉保健局「介護保険パンフレット」

Q29. がんの確定診断を受けた病院で、そのまま治療を受けてもよいですか。

治療を担当する医師が「乳腺専門医」の資格を有しており、乳がん診療ガイドラインに基づいた治療を受けられるのかどうかを確かめましょう。

がんの治療に関しては、多くのがんで科学的根拠に基づいた、現時点での最善の治療法をまとめた「がん診療ガイドライン」が作成されています。乳がんの治療を受ける際も、乳がん診療ガイドラインに基づいた治療を受けることをおすすめします。今後、新薬などの臨床試験に参加する機会があるときにも、診療ガイドラインに準じた標準的な治療を受けていないと臨床試験の対象者とならないことがよくあります。その意味でも診療ガイドラインに基づいた治療を受けておいたほうがよいでしょう。

また、乳がんの治療を専門とする医師は「乳腺専門医」です。担当医がこの資格を持っているかどうかを確認しましょう。日本乳癌学会では乳腺専門医の名簿や乳腺専門医を育成する認定病院のリスト、乳がん診療ガイドラインをホームページで公開し、『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』(金原出版刊)を書籍として発行しています。治療に入る前に一度、目を通してみることをおすすめします。

さらに、国では全国どの地域でも質の高い治療を受けられるように「がん診療連携拠点病院」を指定しています。がん診療連携拠点病院の多くには乳腺専門医が在籍していますので、病院選びの1つの目安になります。

ただ、患者さんが確定診断を受けた病院での治療の継続を強く望んでいる場合には、転院を無理強いしないことです。また、どの病院であっても、治療方針に納得できない場合はセカンド・オピニオンを受けたり、患者さん自身が望む病院への紹介状を書いてもらったりする方法もあります。家庭の事情や通院の距離、担当医などスタッフとの相性も考慮しましょう。その半面、病院を替えると診察や検査がやり直しになり、治療開始が遅くなることも考えられます(進行の遅いタイプの乳がんの場合には治療が少々遅くなってもそれほど問題にはなりません)。どの病院で治療を受けるかはご本人、家族も含めてよく話し合ったうえで決めるようにしましょう。

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乳腺専門医の氏名と所在について知りたいのなら
日本乳癌学会:乳腺専門医

乳腺専門医を育成する認定病院の所在について知りたいのなら
日本乳癌学会:認定施設・関連施設

乳がん診療ガイドラインの内容について知りたいのなら
日本乳癌学会:乳癌診療ガイドライン

乳がんの診療を行っているがん診療連携拠点病院について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がん診療連携拠点病院の情報 乳がんの診療を行っている病院

セカンド・オピニオンについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P26

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q30. 再発が怖いので、乳房を全摘し、病巣を徹底的に取り除いたほうが安心ですか。

乳がんの手術は「できるだけ小さく切除し、乳房を温存する」方向に変わりましたが、最近では乳房を切除した後に乳房再建術を受ける方法を選ぶ人も増えています。担当医から病状や治療の選択肢、再建術のメリットやデメリットについてよく説明を受けて選ぶことが大切です。

以前は、乳がんはまず胸部やリンパに拡がり、そこから全身へ拡がっていくので、胸部やリンパを手術にて徹底的に取ることにより乳がんの全身への転移を防ぐことができると考えられていました。その後、転移に関する研究から乳がんがしこりとして見つかる以前から、すでに微小転移の形で体内に転移の種が存在すると考えられるようになり、乳がんは全身病だといわれるようになりました。また、乳房を残しても全摘した場合と治療効果(生存率)が変わらないことがわかってきました。それに伴い、乳がんの手術は「がん細胞の取り残しがないようにできるだけ大きく切除する」ことから「できるだけ小さく切除し、乳房を温存する」方向へと変わりました。ただし、手術で患部を取るだけでは同じ胸に再発が起こってくるため、放射線を照射して再発率を低下させることが行われています。それでも、全摘する場合に比べて再発率は少し高くなります。乳房を全摘すると再発のリスクは減らせますが、全摘することによる乳房の喪失感は拭えませんので、乳房再建を検討することが必要です。担当医から病状や治療の選択肢についてよく説明を受け、患者さんの希望を汲み取りながら、治療法を選ぶことが大切です。納得ができないときはセカンド・オピニオンを受けるといいでしょう。

また、手術でほぼ完治する人は全体の1割といわれており、残り9割の人は手術後にホルモン療法や化学療法(抗がん剤)、などを組み合わせることで再発を予防するのが一般的ですが、乳房の手術の選択によって、これらの全身に対する治療が変わることはありません。

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乳がんについて知りたいなら
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「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q31. 乳房の再建を考えているのですが、手術と同時に受けられますか。

乳房切除手術と同時に行う「一期再建」と、後から再建手術を受ける「二期再建」の2つの方法があります。一期再建のほうが身体的・コスト的な負担は少ないといわれますが、病状によっては受けられないこともあります。

再建とは、乳がんや治療のために失われた乳房を再び形成する手術のことです。通常、おなかや背中などの自分の組織か、シリコンなどの人工物を使います。乳がんを切除する手術と同時に再建する「一期再建」と、術後しばらく経ってから再建する「二期再建」とがあります。

一期再建は手術が一度で済むこともあり、二期再建に比べて患者さんへの負担は少ないといわれています。また、公的医療保険が適用されます(人工物を使った再建手術の場合、手術や入院には保険が効きますが、シリコンなど人工物の費用は自費になります)。ただ、病状によっては切除手術の経過を見たうえで、二期再建するほうが望ましい場合もあります。また、この手術は再建手術に慣れている形成外科医が行うほうがきれいに仕上がります。再建を希望する場合は、担当医に伝え、切除手術の前に再建の方法や担当する医師について、よく相談しておくことが大切です。病状によっては受けられないこともあります。

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乳房再建について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P15

乳がんについて知りたいなら
「がん情報サービス」:乳がん

Q32. 手術の日は病院に泊まり込み、看病したほうがよいでしょうか。

日本の病院には基準看護が導入されており、泊まり込みの看病は必要ありません。泊まりで付き添いを希望する場合は、事前に担当医、病棟の看護師長、担当看護師に相談しましょう。

日本の病院には基準看護が導入されており、患者さんの身のまわりの世話はすべて看護師らが行います。したがって、手術の前日や当日を含め、家族が付き添って看病する必要はありません。ただ、病状が心配なので付き添いたい場合、または患者さんに認知症などの心配される既往症がある場合などは、医師の許可のもとで、泊まり込んでの看病が可能なこともあります。手術の前にあらかじめ担当医や病棟の看護師長、担当看護師に相談し、確認しておきましょう。

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乳がんについて知りたいなら
「がん情報サービス」:乳がん

Q33. 術後にがんの取り残しが見つかりました。もう一度、手術をしなければなりませんか。

再手術が行われることもありますが、放射線療法や薬物療法(抗がん剤、ホルモン剤)が選択されることもあります。担当医から十分な説明を受け、よく相談しましょう。

乳房温存手術を行う場合、取り残しがないように手術中に病理検査(術中迅速診断)が行われますが、乳がんは乳房内に多発したり、乳管を通して網の目のように拡がっていくことがみられたりしますので、手術で取りきれたかどうかの判断が難しいことがあります。そのため、術後に十分な時間をかけて、顕微鏡の下で、確認をします。術後に行われる詳細な病理検査によって取り残しが判明した場合は、もう一度、手術を行い、乳房の一部を切除したり、残した乳房をすべて切除したりすることもあります。乳房がどのくらい、どんな状態で残っているのかなどによっても、その人によって選択される治療法は異なりますので、担当医から十分な説明を受け、これからの治療法についてよく相談してください。納得がいかない場合は別の医師の意見(セカンド・オピニオン)を受けるのもよいでしょう。

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セカンド・オピニオンについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P26

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Q34. 妻は体調を取り戻してきたようですが、日常生活で気をつけることは何ですか。また、 性生活を再開させてもよいですか。

規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な休養と睡眠に留意します。性生活は夫婦で率直に話し合い、患者さんの気持ちを大事にしながら、ゆっくり再開しましょう。

体調管理の基本は、①規則正しい生活、②バランスの取れた食事、③十分な休養と睡眠といわれています。体調が戻ったあとも健康を保つために、これらの点を留意しましょう。さらに手洗いやうがいなどの感染防止、ストレスの発散などに努めることも大切です。また、適度な運動は体力の維持や回復に役立つといわれています。最初は短時間の散歩で十分なので、患者さんを誘って一緒に出かけてみましょう。

性生活については、夫婦で率直に話し合い、患者さんに自分らしい生活を取り戻したいという心のゆとりがあるようなら、再開させてもよいでしょう。患者さんの気持ちを大事にゆっくり進めましょう。最初は以前のようにいかない可能性もありますが、性交に至らなくても手をつなぐ、優しく抱き合う、背中や手足をマッサージするなどのスキンシップを行うことによりお互いのぬくもりを感じられることもあります。一般的な性生活にこだわらず、二人の絆を確かめられる方法を夫婦で探してみましょう。

性生活について困ったことがあれば、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターの看護師に電話をかけるのも1つの解決法です。顔が見えず匿名性が高いので、対面では聞きにくいことを相談できるメリットがあります。

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体調管理のポイントについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:患者必携 がんになったら手にとるガイド「体調を整えるには」

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q35. ホスピスと緩和ケア病棟、緩和ケアチームの違いは何ですか。

いずれもがんに伴うあらゆる苦痛を和らげるための治療やケアを提供します。ホスピスと緩和ケア病棟はターミナル期のがん患者さんを対象に、緩和ケアチームはすべてのがん患者さんを対象に一般病棟や外来でもケアを提供しています。

ホスピスとはターミナル期のがん患者さんを対象に治療やケアを提供する施設で、その基本的な考え方は積極的な延命治療を行わず、患者さんが抱えている身体的、精神的、社会的、霊的(死を意識して起こる)苦痛を和らげ、最後まで患者さんが自分らしく生きられるようにサポートします。

日本におけるホスピスケアは1970年代から始まり、キリスト教系の病院を中心に少しずつ広がり、1990年に国がホスピスケアを提供する施設として「緩和ケア病棟」を新設すると全国に普及しました(2012年8月現在、認可されている緩和ケア病棟は255施設)。このような歴史的背景のもと、ホスピスと緩和ケア病棟ではほぼ同じケアが行われています。

ただし、近年、緩和ケアの考え方としてターミナル期だけでなく、がんと診断された初期の段階からすべてのがん患者さんに提供すべきという方向性に変わってきました。そのため、麻酔科医、精神科医、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど、さまざまな医療スタッフで構成される緩和ケアチームが活動するようになり、一般病棟や外来でも緩和ケアが行われるようになりました。がんに伴う苦痛や症状を和らげるために緩和ケアを受けたいときは担当医または外来・病棟の看護師に相談してください。

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ホスピスや緩和ケア病棟の所在について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:緩和ケア病棟のある病院の情報
日本ホスピス緩和ケア協会「受けられる場所を探す」:ホスピス緩和ケア病棟

Q36. ターミナルを迎えた母にとってホスピスに入院したほうが楽に過ごせるでしょうか。

ホスピスには苦痛を軽減させる専門家が揃っていますので、一般病棟に入院するよりもきめ細かい治療やケアが受けられます。ただし、本人にとって最後を過ごす場所としてベストとはかぎらないので、患者さんの希望をもう一度、よく確認することが大切です。

ホスピス(緩和ケア病棟)には、がんの進行に伴う痛みや呼吸困難、全身倦怠感、吐き気・嘔吐、リンパ浮腫などのつらい苦痛を和らげる技術に精通した緩和ケア医や看護師(がん専門看護師、緩和ケア認定看護師)、心のつらさに対応する精神腫瘍医や臨床心理士などの専門スタッフが患者さんの治療やケアにあたっていますので、一般病棟に入院するよりきめ細かなケアが受けられるでしょう。 その人らしく最後まで過ごすためにあらゆる苦痛を取り除くことはとても重要なことです。しかし、ホスピス(緩和ケア病棟)が患者さん本人にとって「最後を過ごす場所」として必ずしもベストだとはかぎりません。最後の時間を、どこで、どのように過ごしたいのか、患者さんの希望をもう一度、確かめることが大切です。

最近は在宅でホスピスケアを提供する診療所が増えてきたので、自宅で過ごしたいという希望があった場合も、苦痛の少ないその人らしい生活を送ることが可能になってきました。ホスピス(緩和ケア病棟)や在宅ホスピスに関する情報は、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターに問い合わせてみましょう。

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ホスピスや緩和ケア病棟の所在について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:緩和ケア病棟のある病院の情報
日本ホスピス緩和ケア協会「受けられる場所を探す」:ホスピス緩和ケア病棟

在宅ホスピスや緩和ケアを提供する診療所の所在を知りたいのなら
NPO法人日本ホスピス緩和ケア協会「緩和ケアを提供する診療所・訪問看護ステーション等」
日本在宅ホスピス協会「末期がんの方の在宅ケアデータベース」
日本ホスピス・在宅ケア研究会「在宅医リスト」

相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q37. 西洋医学は副作用が怖いので、補完代替療法を受けさせてもよいでしょうか。

補完代替療法は、がんの治療法として効果があると科学的に証明されたものはありません。信頼できる情報源から正しい情報を集めたうえで、担当医に必ず相談し、患者さんにとって本当に必要なものなのかどうかを慎重に考えましょう。

補完代替療法とは、手術や化学療法、放射線療法など、いわゆる西洋医学で行われる治療を補ったり、その代わりに行ったりする医療のことです。健康食品やサプリメント、鍼灸、マッサージ療法、運動療法、心理療法、心身療法など、さまざまな方法があります。

ただ、現段階では、がんの治療法として効果がある(生存率を上げる)と科学的に証明されたものはありません。がんそのものによる痛みや、西洋医学の治療による副作用を和らげるために使用することを推奨した研究やガイドラインもありません。

また、補完代替療法の中には、西洋医学と併用することによって治療の効果を弱めたり、体に思いもよらない害を与えたりするものもあります。補完代替療法を利用したいときは、信頼できる情報源(下記リンク参照)から正しい情報を集めたうえで、担当医に必ず相談し、患者さんにとって本当に必要なものなのかどうかを慎重に考えましょう。

なお、西洋医学にかぎらず、治療には副作用がつきものです。それは補完代替療法も例外ではありません。がん治療の主流である西洋医学の治療(化学療法、放射線療法)による副作用については、近年、さまざまな対策(支持療法)が講じられるようになり、以前よりも苦痛を軽減できるようになりました。治療による副作用が心配なときは、担当医、看護師に相談するようにしましょう。

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補完代替療法について詳しく知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんになったら手にとるガイド 補完代替療法を考える
「がん情報サービス」:代替療法(健康食品やサプリメント)
厚生労働省がん研究助成金「補完代替医療」(がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究班)

Q38. 担当医が忙しくて聞きたいことがあっても気兼ねします。どうすればよいですか。

依頼すれば時間を空けてくれるはずです。担当医に言い出しにくい場合は看護師に頼んで仲介してもらいましょう。また、質問メモを作ってから面会しましょう。

患者さんやご家族から依頼すれば、担当医はたいていの場合は時間を割いてくれるはずです。診察のときや病室に回診に来た際に話をするのが難しい場合は、空いている時間を教えてもらい、予約します。担当医に言い出しにくい場合は外来または病棟の看護師に頼んで、担当医に時間を取ってほしい旨を伝えてもらうとよいでしょう。

質問したいこと、確認したいことはあらかじめ箇条書きのメモにしておきます。面会時間に応じて、質問項目の数を加減しましょう。医師に一度にたくさん質問して答えてもらっても患者さんや家族には十分に理解できないことが多いため、優先順位の高い順に2~3つに絞っておくのがおすすめです。担当医に質問メモを事前に手渡すのも一つの方法です。担当医に会えなければ、看護師に渡してもらうよう頼みましょう。

また、まず看護師に話を聞いてもらうといいこともあります。話したいことや問題点が整理され、担当医にどのように質問すればうまく伝わるのかを一緒に考えてくれたり、担当医との面談時に同席して会話の調整役をしてくれたりすることもあります。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q39. 既往症のために予定の治療ができないといわれました。どうすればよいでしょうか。

まず既往症をよく調べてもらい、治療できない理由をきちんと理解することが大切です。既往症によっては、他の医療機関で治療できることもありますので、セカンドオピニオンを受けてみましょう。

既往症の中にはがんの治療を行うことで、全身の状態を悪くさせてしまうものもあります。まず、既往症の状態をよく調べてもらい、がんの治療からどのような影響を受けるのか、がんの治療にどんな影響を及ぼすのかをきちんと理解することが大切です。既往症によっては、他の医療機関で対応が可能なことがあります。また、既往症がある患者さんのがんの治療方針は、医師や医療機関によって異なる場合があります。他の医師や医療機関でセカンドオピニオンを受けてみるといいでしょう。その際には、がんの病状のほか、既往症の経過、検査結果などがわかるとよりよいアドバイスが受けられます。また、患者さんが既往症でかかっている(かかっていた)医師の意見も聞いてみましょう。また、もし同じ病院内に患者さんの既往症の専門医がいる場合には、担当医に相談し了解を得たら、その医師の意見を聞いてみるのも一つの方法です。

セカンドオピニオンを受けたら、その結果を担当医に伝え、もう一度、治療方針について話し合います。場合によっては、紹介状などを通じて、医師同士に直接話し合ってもらうことも必要かもしれません。

治療を進めていくことになったら、がんの治療と既往症の治療のスケジュールと内容を医師とよく相談し、調整してもらうようにしましょう。

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セカンドオピニオンについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P26

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q40. 外来化学療法を受けています。「具合が悪いときは電話してください」といわれていますが、どのような症状になったときに連絡すればよいのでしょうか。

使用する薬剤によって出てくる症状は違いますので、担当医や外来化学療法室の看護師、薬剤師からよく説明を受け、どのような状態になったら電話をしたほうがよいのか、具体的に聞き、副作用に関する注意事項のメモを作っておきましょう。

治療に使用する薬剤の種類や治療の予定によって、気をつけなければならない副作用は異なります。家族も患者さんと一緒に担当医の説明を受け、わからないことがあれば遠慮なく聞きましょう。

使う薬の名前、効果や副作用(軽度・中程度・重度別に)、副作用が出てきやすい時間、副作用の対処法についてわかりやすいメモを作りましょう。難しければ、薬剤を販売している製薬会社では患者さん用の服薬記録などの資料を作成し、自社のホームページで閲覧できるようにしたり、外来化学療法室の看護師や薬剤師に配布したりしていますので、そのような資料も参考にしてみましょう。そして、そのメモを持ち歩くか、すぐに見られる場所に置いておきます。

実際に副作用と思われる症状が出て、受診することを迷ったときは、外来化学療法室の看護師や薬剤師に早めに電話で相談し、指示を受けましょう。

なお、経口の抗がん剤を服用している場合は、かかりつけ薬局の薬剤師にも、同じように副作用とその対処法を聞いておきます。治療を受ける前に起こりうる副作用の症状や、その対処法を知っていれば、安心して治療に臨めます。

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外来化学療法について知りたいなら
患者必携 がんになったら手にとるガイド
薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る P139

がんの薬物療法について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんの薬物療法
患者必携 がんになったら手にとるガイド
薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る P139

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q41. 強い副作用を伴う抗がん剤は体に悪いと聞きました。化学療法を受けないほうがよいですか。

どのような薬にも必ず副作用があります。抗がん剤治療を受けることでどのようなメリット(効果)とデメリット(副作用)があるのかを十分に理解したうえで、化学療法を受けるかどうか決めましょう。今は、副作用のつらい症状を抑えたり緩和したりする方法も進んでいます。

抗がん剤は、手術で切除しきれなかったがん、放射線療法で叩き切れなかったがん、全身に散らばっているかもしれないがん細胞を治療するために有用な治療法です。

ただ、抗がん剤はがん細胞だけでなく活発に増殖する正常な細胞に対しても作用するため、いろいろな臓器や機能に障害が起こります。これが副作用です。主なものとしては、吐き気や食欲不振、口内炎、骨髄抑制(白血球などが減る)などが挙げられます。

化学療法の治療効果を期待するのであれば、副作用にも付き合わなくてはなりません。しかし、近年は副作用対策が進歩し、つらい症状を薬剤で抑えたり、脱毛などの症状にはウィッグを使うなど生活上の工夫で緩和したりすることもできるようになりました。副作用がつらい場合は決して我慢しないで、早めに担当医や外来化学療法室の看護師や薬剤師に相談するよう、ご家族も患者さんにすすめてください。

また、がん以外の慢性疾患などを患っているならば、そのことを担当医に伝えましょう。場合によっては検査などで体調や病状を確認したうえで、化学療法を受けるかどうかを検討したり、薬の種類を変えたりする必要が出てきます。

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がんの薬物療法について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんの薬物療法
患者必携 がんになったら手にとるガイド
薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る P139

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「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q42. 再発をしないためには何を食べればよいですか。がんに効果のある健康食品やサプリメントにはどのようなものがありますか。

米国対がん協会の報告書では、再発予防には「野菜と果物」を十分に食べることが望ましいとされていますが、サプリメントを使って大量に取ることは慎重に行うようにアドバイスしています。

再発を防ぐための効果的な食品は、誰もが知りたい情報の1つです。こうしたニーズを反映し、がんの治療効果をうたった、さまざまな健康食品やサプリメントが売り出されています。しかし、実際には体験談のみで科学的に検証されていないものが多いのが現状です。「○○で治る」といった断定型の表現には注意しましょう。

国立がん研究センターがん対策情報センターのウェブサイト「がん情報サービス」では、食事療法などの生活習慣とがん患者の健康状態の関係性を調査した研究論文をまとめた米国対がん協会の報告書を紹介しています。報告書では乳がんについても取り上げており、乳がんの再発を予防するライフスタイルとして望ましいのは、治療中と治療後は「健康体重の維持」に努めて肥満を避け、同時に「野菜と果物」の摂取量を増やすこと、そして、治療後は「運動の増加」を心がけることとされています。ただし、野菜と果物の摂取量を増やす際に、サプリメントを使って大量に取ることは慎重に行うようにアドバイスしています。

健康食品やサプリメントを利用したい場合は、信頼できる情報源(下記リンク参照)から正しい情報を集めたうえで、担当医に必ず相談し、患者さんにとって本当に必要なものなのかどうかを検討するようにしましょう。

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がんと食事について詳しく知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う 食生活とがん がんと食事について

Q43. 漢方薬は、再発の予防に効きますか。

漢方薬は体の調子を整えたり、苦痛を和らげたりする働きがありますが、ほかの薬剤と併用すると思わぬ反応を引き起こすこともあります。利用する場合は必ず担当医に相談しましょう。

漢方薬は補完代替療法の一つに位置づけられるもので、体の調子を整えたり、がんそのものによる、あるいは西洋医学の治療によって起こる苦痛を和らげたりする働きがあります。近年、「漢方外来」を開設するがん専門病院が少しずつ増えていますが、そこで行われているのは再発予防というよりも漢方治療が得意とする体調の回復や、従来の治療法では治りにくい症状(食欲がない、体が重い、吐き気が取れない、よく眠れないなど)を改善することが主流のようです。

また、漢方薬もほかの薬剤との飲み合わせによって体に思わぬ反応を引き起こすことがあります。患者さんや家族の中には漢方薬を試してみたいと考える人も少なくないですが、治療中に漢方薬を利用する場合は必ず担当医に相談しましょう。

なお、漢方外来などの情報を入手したい場合は、がん診療連携拠点病院の中に設置されている相談支援センターに問い合わせてみるのも一つの方法です。

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補完代替療法について詳しく知りたいのなら
厚生労働省がん研究助成金「補完代替医療」(がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究班)

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「がん情報サービス」:相談支援センターの情報

Q44. 医師に副作用を訴えたのですが、うまく伝わりません。どうすればよいでしょうか。

つらいと感じていることをメモにまとめ、医師に渡して理解してもらいましょう。病棟や外来化学療法室の看護師や薬剤師などに相談するのも一つの方法です。

伝えたいことは箇条書きのメモにして、面談のときに読む、あるいは会えないときは看護師を通して担当医に手渡すと、患者さんがつらいと感じていることを理解してもらいやすいでしょう。また、メモ書きにすることにより、自分が訴えたいことを整理できる利点もあります。①いつから、②どのような症状が、③どのくらい続いて、④どうつらいのか、⑤市販薬やサプリメントを含めて何か他の薬を飲んでいないか、を書いてみて、面談の際に担当医にその症状が起こっている理由を聞きます。

また、入院中であれば病棟の看護師や薬剤師、通院中なら外来化学療法室の看護師や薬剤師にも相談してみましょう。話を聞いてもらうことによって問題点が整理され、担当医にどう言えば、うまく伝わるのかを一緒に考えてくれたり、場合によっては、担当医との面談時に同席して会話の調整役をしてくれたりすることもあります。担当医にうまく伝わらないからといって、つらい副作用を我慢するのはやめましょう。

患者さんや家族は治療の副作用だと思っていても、がんそのものによる症状であったり、精神的なストレスが隠れていたり、まったく別の病気であったりするケースもあります。つらい症状を副作用だと思い込まずに、誰かに相談することが大事です。

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乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q45. 家族が通院に付き添ったほうがよいでしょうか。

患者さんの心身の調子を見て、付き添うかどうかの判断を。患者さんの体調が思わしくなかったり不安が強かったりする場合は、無理のない範囲で調整し、付き添うほうが患者さんも安心でしょう。

退院後にホルモン療法や化学療法などの治療を継続していても、副作用がうまくコントロールされていれば、ふだんどおりの生活を送れることがほとんどです。通院も患者さんが自分ひとりでできるのであれば、必ずしも付き添わなくてもかまいません。

しかし、副作用の症状は患者さん本人にしかわからないので、患者さんがつらそうなときは我慢をさせず、担当医や看護師に遠慮なく伝えられるよう、手助けするために一緒に外来受診することも一つのサポートです。

ときには付き添い、担当医との診察の様子を見ることで、家族は想像していなかった患者さんの不安や悩みなどを知ることができるかもしれません。担当医の話を一緒に定期的に聞くことで、家族もこれからの見通しが理解しやすくなり、今後の治療を決めるのにも役立つかもしれません。

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乳がんについて知りたいなら
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「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q46. ワクチン療法のような免疫療法を受けたいのですが、どうすればよいのでしょうか。

情報を集め、担当医や相談支援センターに聞いてみましょう。

一口に免疫療法といっても、さまざまなワクチンをはじめ、免疫細胞による治療にはいろいろな方法があります。世界的にみると、免疫療法は前立腺がんや悪性黒色腫で臨床的効果が認められているに過ぎず、乳がんに関してはまだ多くの臨床試験が行われている段階です。免疫療法を行っている病院は限られますし、対象となるがんも異なります。なかには安全性や有効性を確認するための臨床試験として実施しているところもありますが、この場合は臨床試験の対象に当てはまらないと受けられません。また、「先進医療」として行われている免疫療法は健康保険が一部使えないため、先進医療分の施術費が全額自己負担になります。

免疫療法に関する情報(有効性、実施病院、対象者、費用など)は、担当医や、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターに聞いてみましょう。なお、健康保険の適用になっている免疫療法は現在のところありません。

ここで大事なのは、免疫療法が標準治療ではないことを知ることです。この治療を行うことで標準治療に代わることはできませんので、免疫療法を希望する場合は、よく担当医と相談してください。

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免疫療法について知りたいなら
「がん情報サービス」:免疫療法

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q47. テレビで紹介されていた治療法を受けさせたいと考えていますが、どうすればよいでしょうか。

情報の信憑性を含め、担当医や看護師、相談支援センターに相談してみましょう。

テレビや新聞などのメディアで紹介される治療法の中には、科学的に証明されていないものもあります。担当医に相談することなく、自己判断で始めたり、勝手に治療を変えたりしないようにしましょう。受けたいと思う新しい治療があるときは、担当医にしっかり相談し、意見を求めることをおすすめします。

その治療法についてテレビ局などに問い合わせる場合は、①どんな効果と副作用があるのか、②いつから何人くらいのどんな患者さんに使ったのか、③科学的なデータはあるか、④標準治療とどこが違うのか、⑤コストはどのくらいか、⑥使用期間はどのくらいか、といったことを確認します。そこで得た情報を担当医や看護師、がん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターの相談員に伝えて、情報の信憑性も含め、相談してみましょう。

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がんの治療法について知りたいなら
「がん情報サービス」:がんの治療法

補完代替療法について知りたいなら
患者必携 がんになったら手にとるガイド
補完代替療法を考える P175

乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん

Q48. 転院が続くと、乳がんの母を支える私でさえ医師や病院から見捨てられたように感じます。患者本人はさらに孤独感を増しているようです。どのように医師や医療機関とつながればよいでしょうか。

治療をしてくれる医師とは別に継続的に心身のサポートしてくれる医師を持つことが望ましいでしょう。その候補者には「緩和ケア医」や「精神腫瘍医」がいます。

乳がんの病状に応じた治療法を選択する中で、いくつかの医療機関を転院しながら治療を受けなければならないことも少なくありません。このような状況に置かれると、医師や医療機関から見捨てられたような気持ちになることがあります。よりよい療養生活を送るためには、治療をしてくれる医師とは別に継続的に心身のサポートしてくれる医師を持つことが望ましいといえます。その候補者としては「緩和ケア医」や「精神腫瘍医」がいます。

緩和ケア医といえば、ターミナル期に痛みのケアをしてくれる医師と思いがちですが、現在はその範囲にとどまらず、がん患者に起こるあらゆる苦痛に対して診断直後から看護師や薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど他職種と連携しながら継続的にサポートしてくれます。がん診療連携拠点病院の多くには「緩和ケア外来」が設置されているので、受診してみるのもよいでしょう。

精神腫瘍医とは、がん患者や家族の心のケアを中心に、よりよい療養生活が送れるように支えてくれる専門家です。その数は全国的にも少ないのが現状ですが、「精神腫瘍外来」を設置する病院も少しずつ増えてきました。いずれの専門家もがん治療に精通していることから、状況に応じた適切なアドバイスを受けることも期待できます。

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緩和ケアについて詳しく知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんの療養と緩和ケア

精神腫瘍医の所在について知りたいのなら
日本サイコオンコロジー学会「活動紹介」:登録精神腫瘍医制度

がん診療連携拠点病院の所在について知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がん診療連携拠点病院を探す