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乳がんの情報サイト

監修:
聖マリアンナ医科大学 乳腺・内分泌外科
津川 浩一郎 先生

誰もががんになる可能性があるんだから、私だけが特別ではないんだ。いままでの生活は、できるだけ変えないように。自分らしく、楽しく生活しながら治療していきたい。

病気と上手につきあって自分らしく

 乳がんは長くつきあっていく病気です。結論を急ぐ必要はありません。あなた自身と向き合って気持ちを正直に受けとめ、どのようにつきあっていくのか、あなたらしいスタイルを考えることが必要です。これまでの人生設計どおりにはいかないかもしれません。病状や治療によってプランを変えなければならないこともあるでしょう。身体の変化から、気力や楽しみ、仕事、人間関係など、さまざまなものを失うこともあるかもしれません。行き詰ったときには、少し立ち止まって一呼吸ついてみませんか?
 失ったものは取り戻せないかもしれませんが、それとは別のかたちで得るものもあります。つらさや不安を抱えたままの日常生活でも、その中に楽しみや喜びを見つけることはできるのです。それはほんの小さな、ささやかなできごとかもしれません。それに気づけたとき、毎日の充実感が違ってくるでしょう。考え方や気持ちを少し切り替えるだけで、状況が見違えるほど変わることもあります。
 少しだけ特別と思えることや楽しいことを、少しずつでも生活に取り入れるのも、自分らしいつきあい方の1つです。やりたいことはできる限り制限せず、あなただけの新しい日常生活を見つけてみましょう。あなたの望むライフスタイルを、あなたの意思で選択する自由までは奪われていないのです。

狼のイメージ

さまざまな感情に向き合うために

 どうしても死を意識してしまうのは自然なことです。死について考えることは、あらためて生きる意味を考えることにつながります。
 いまは前向きな気持ちになれなかったとしても、焦ることはありません。後ろ向きなときがあってもいいのです。同じ状況なのに元気にしているように見える人も、不安や恐怖などさまざまな感情に悩まされる日もあるのです。いつでも元気なふりをしたり、無理に明るく振る舞う必要はありません。あなた自身の感情を否定しないでください。考えや思い、ふるまいなどに正解があるわけではないので、あなたらしくいることを大切にしましょう。
 そして、あなたの気持ちに向き合うことが、現状を受けとめることにつながります。落ち込んだとき、じっと静かにしていたい人もいれば、ストレスを発散させたい人もいるように、考え方や価値観はそれぞれです。受けとめ方も人それぞれ、あなたの思いに沿った方法がきっとあります。治療の選択を迫られたとき、あなたが納得できる方法を選ぶことが「よい選択」であるように、まずは自分が何を大切にしたいのか、考えや気持ちを整理しましょう。