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移植片対宿主病(GVHD)情報サイト

監修:
大阪公立大学 血液腫瘍制御学 教授
日野 雅之 先生

病気にかかった血液細胞を健康な細胞と取り替える治療法です。

造血幹細胞移植は、病気の根治を狙う非常に強力な治療法です。
このため強い副作用や、合併症による死亡などの問題もありますが、それを上回る大きな利点を期待して行う治療法です。

病気にかかった血液細胞は前処理(化学療法剤や放射線照射) で治療。(化学療法 全身放射線照射 (TBI))→健康な造血幹細胞を点滴で移植。→正常な血液細胞が造られます。

メモ 造血幹細胞移植を行う条件

  • 同種移植の場合、造血幹細胞を提供するドナーがいること。
  • 高齢者ではなく、患者さんに十分な体力があること。(高齢者などでは、ミニ移植などの方法が適応になる場合があります。)
  • 重要な臓器の機能が保たれていること

造血幹細胞移植の種類

造血幹細胞移植はいくつかの種類があり、移植前処置の行い方、誰の造血幹細胞を移植するか、どの造血幹細胞を移植するかなどによって異なります。
移植の種類の選択は原疾患によって異なります。

画像:造血幹細胞移植の種類

移植前処理による分類

同種造血幹細胞移植における全身放射線照射を含む前処置や大量化学療法を主体とする前処置を用いた移植をフル移植とも呼びます。
前処置を弱くして患者さんの負担を軽くした移植をミニ移植と呼びます。

誰の造血幹細胞を使うかによる分類

誰の造血幹細胞を移植するかによって、大きく「自家移植」と「同種移植」に分けることができます。

  • 自家移植
    患者さん自身の造血幹細胞を事前に採取しておき、前処置後に移植する方法です。
イメージ画像:自家移植

悪性リンパ腫や多発性骨髄腫などの治療で多く用いられます。

長所短所
GVHDを発症せず、感染症も軽度。再発しやすい。

最近は患者さんの末梢血から造血幹細胞を採取する方法が主に用いられています。

  • 同種移植
    ドナーの造血幹細胞を採取し、前処置後の患者さんに移植する方法です。白血病や骨髄異形成症症候群、難治性の悪性リンパ腫、再生不良性貧血などの治療で多く用いられます。
イメージ画像:同種移植
長所短所
移植したドナーの免疫力は、病気の血液細胞を殺す効果がある(これをGVL効果という)。GVHDや感染症などの副作用が強くでやすい。

ドナーの骨髄から造血幹細胞を採取して移植する方法(骨髄移植)が主流でしたが、最近は末梢血幹細胞移植も増えています。

どの造血幹細胞を移植に使うかによる分類

移植する造血幹細胞のタイプにより3種類に分けられます。

  • 骨髄移植
    古くから行われている最も一般的な方法です。
    ドナーの骨髄から造血幹細胞を採取して移植する方法です。
  • 末梢血幹細胞移植
    骨髄から採取する方法の代わりとして普及しています。
    ドナーの末梢血から造血幹細胞を採取して移植する方法です。
  • さい帯血移植
    へその緒の血(さい帯血)を有効活用します。
    赤ちゃんの出産後に、へその緒や胎盤に含まれている造血幹細胞を採取して移植する方法です。

移植法を決めるながれ

血縁ドナーの有無、HLAの一致度、体重、細胞数(さい帯血の場合)、性別、血液型などを参考にドナーを探します。骨髄移植あるいは末梢血幹細胞移植が第1選択となり、状況に応じてさい帯血移植を選択します。HLAが不適合でも特殊な移植方法で血縁者間移植を行うこともあります。

チャート:移植法を決めるながれ

*平成22年度から骨髄バンクを介した末梢血幹細胞移植が行われるようになりました。
メモ:それぞれの移植法には長所と短所があります。医師とよく相談し、納得した上で移植法を決定しましょう。