輸血療法はなぜ必要なの?
再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの患者さんにとって、輸血療法は、症状を軽くするために欠かせない治療法です。 不足している赤血球、血小板を輸血によって補います。
赤血球の輸血
貧血症状を改善するために、大部分の白血球を除去した赤血球製剤(赤血球濃厚液)を輸血します。
赤血球を輸血する基準
ヘモグロビン値 | 6~7g/dL以下 |
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※患者さんの状態によって異なります。
※上記の値は輸血をする目安です。貧血の進行度、罹患期間等により輸血をする目安の値や必要量が異なり、一律に決めることは困難です。主治医とご相談のうえ治療方針をご判断ください。
※10g/dL以上にする必要はありません。
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血小板の輸血
出血傾向が著しい場合、血小板製剤(濃厚血小板)を輸血します。
血小板を輸血する基準
血小板数 | 5,000/μL以下 |
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※患者さんの状態によって異なります。
※計画的に血小板数を10,000μL以上に保つように努めます。
※出血症状などが軽微な場合は、上記の値でも輸血しない場合もあります。主治医とご相談のうえ治療方針をご判断ください。
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- 輸血には、献血された血液からつくられた「輸血用血液製剤」を使います。
- 輸血による感染は日本赤十字血液センターによる厳重な管理体制でチェックされているので、ほとんどなくなっています。

輸血療法の留意点
- 輸血療法には、副作用がないわけではありませんので、輸血療法で起こりうる副作用について知っておくことが大切です。
- 副作用の多くは、輸血中あるいは直後に起こります。血液製剤がからだに合わないことで、皮膚のかゆみや、じん麻疹、発熱などが起こることがあります(じん麻疹の発現の頻度は、約50回に1回の割合)。
起こりやすい主な副作用

じん麻疹

かゆみ

眼や唇のむくみ

発熱
まれにしか起こらない重い副作用
ショック、呼吸困難 | 約1,000~10万回に1回の割合 |
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細菌感染 | 約300万回に1回の割合 |
GVHD | 最近はありません |
※ウイルス感染(肝炎ウイルスやHIVウイルス)の危険性もゼロではありません。
輸血を繰り返すことで起こる副作用
- 鉄過剰症(体の中に余分な鉄分がたまってしまって、臓器に障害を与える副作用)
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[出典:厚生労働省 平成31年3月「血液製剤の使用指針」の一部改正について]